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資格の有無で年収アップも 不動産業界へ転職する際に有利になる資格を解説

不動産業界は、資格や経験、年齢を問わずに人材を求める企業が多いため、さまざまな業界の中で比較的転職がしやすい特徴があります。

また、年収が高い傾向にあるため、転職先の一つとして魅力ある選択肢とも言えるでしょう。

 

しかし、一まとめに不動産業界と言ってもさまざまな職種があります。

中には、資格を保有していることが絶対条件となる職種もあるため、資格の有無によって年収に大きな差が生じます。

もちろん、資格を保有していなくても入社することは可能です。

 

そこで今回は、「不動産業界への転職において、資格の重要性」について解説をしていきます。

ぜひ、転職活動の一助として下さい。

 

 

1.不動産業界の実態

 

厚生労働省が発表した「中途採用に係る現状等について」によると、不動産業界は中途採用の割合が高いことが分かります。

下記のグラフは、平成27年〜29年までの採用割合から算出した統計結果です。*1

 

中途採用に係る現状等について

引用)厚生労働省職業安定局 「中途採用に係る現状等について」p9(https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000557900.pdf)

 

 

このように、未経験者や年齢不問で人材を求めている企業が多いことに加え、不動産業界全体が人材不足なため、転職希望者を多く採用する傾向があります。

 

しかし一まとめに不動産業界といっても、さまざまな職種があります。

その種類は「営業」「総務や経理などの事務職」から「不動産鑑定士」「コンサルタントなどの専門職」まで幅広い職種が用意されているのです。

 

その中には、資格を保有していることが絶対条件の職種もあり、一般の事務職と比較をすると給与や待遇に大きな差があります。

高収入を得られる職種は基本的に国家資格を必要とするためですが、難易度の高さに加え業務内容の難しさも考慮され、スタート時点から給与が高く設定されることが多くあります。

 

しかし、どの資格も容易に取得できるものではありません。

 

例えば、不動産業界で必須と言われている「宅地建物取引士(宅建)」の資格合格率を見るだけでも、難易度の高さがうかがえます。

不動産取引適正推進機構が発表した「試験実施概要」を見ると、令和元年の宅建の受講者が220,797人に対し、合格者は37,481人と20パーセントにも及びません。*2

 

試験実施概要

引用)不動産取引適正推進機構 「試験実施概要」(https://www.retio.or.jp/exam/pdf/zissigaikyo.pdf)

 

そのため、資格保有者は、入社後も即戦力として期待されます。

これが、「資格を取得すると転職に有利になる」と言われている主な理由です。

 

では、実際に資格を保有の有無でどのくらい給与に差があるのかを見ていきましょう。

 

まずは、一般的な不動産業界の平均年収から見ていきます。

厚生労働省が平成30年に発表した「民間給与実態要計調査」を見ると、不動産業界の平均年収は446万円であることが分かります。*3

 

主に、事務職や営業職などがこちらの平均年収に当てはまる職種です。

 

平成30年 民間給与実態要計調査

引用)厚生労働省 「平成30年 民間給与実態要計調査」 P17(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)

 

反対に専門職の平均年収はどのくらいなのか、専門職である「不動産鑑定士」を例に見ていきましょう。

 

厚生労働省が発表した「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、不動産鑑定士の平均年収は46歳で754万となります。*4

 

令和元年 賃金構造基本統計調査

引用)厚生労働省 「令和元年 賃金構造基本統計調査」(http://www.naka-h.ibk.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=2390)

 

不動産業界の平均年収と比較をすると、約300万円の差があることになります。

勤続年数や役職によっては、年収1,000万円を超えることも難しくないでしょう。

このように、不動産業界では資格が直ちに収入アップに繋がる可能性があります。

そのため、この業界に転職を考える場合、可能な限り資格取得に挑戦を検討して下さい。

 

2.有利な転職を実現するために、欠かせない資格

 

では、どのような資格を保有していると有利な転職をすることができるのでしょうか?

以下、ひとつひとつ見ていきましょう。

 

①宅建建物取引士

 

最も重宝される資格は、やはり「宅建建物取引士(宅建)」です。

宅地建物取引業法により、ひとつの不動産事務所に対して5人に1人の割合で保有者を設置することが定められていることからも、王道と言えるでしょう。

 

また不動産には「独占業務」と呼ばれる領域があり、宅建保有者にのみ許されている仕事があります。

具体的に以下の3つです。

 

・「物件に関する重要事項の説明」

・「説明書への記名・捺印」

・「契約書への記名・捺印」

 

上記の業務内容は、不動産売買の取引時に必ず必要になります。

入社後に、企業から宅建の取得を求められるケースが多いため、優先して宅地建物取引士を取得しておくと良いでしょう。

 

②不動産鑑定士

 

不動産鑑定士は、時に「三大国家資格」に数えられることもある資格です。

難易度が非常に高いことで知られ、不動産関係の資格の中で最高峰の資格と言って良いでしょう。

 

土地や建物などの不動産に対する適正な価格を査定する他、「不動産を最大限有効使用するためのコンサルティング業務」を行うことが可能な資格です。

 

③土地家屋調査士

 

土地家屋調査士とは、分かりやすく言い換えると、不動産登記の専門家です。

具体的には、登記申請に必要な「土地や家屋の表示」に関する調査や測量、登記申請の代理業務を行います。

 

この業務は、土地家屋調査士のみが行える独占業務のため、非常に需要が高い資格といえます。

 

④マンション管理士

 

マンション管理士は、マンションを管理する専門的知識が求められる資格です。

「管理組合の運営」や「マンションの管理者や部屋の所有者の相談に応じて、アドバイスや改善点の指摘」を行うことなどが主な業務です。

 

こちらの資格を保有していると、独立する際に役立つほか、不動産業界内でも高い評価を受けられる事が多くなります。

マンション建設は根強い需要があるため、更に期待が高まる資格であると言えます。

 

⑤管理業務主任者

 

最後にオススメする資格は、「管理業務主任者」です。

マンション管理士と同様に、マンションに関する業務を行うために必要な資格ですが、業務内容が異なります。

 

こちらは主に、マンション管理業者が管理組合への指導や管理事務報告、管理委託業務に関する重要事項の説明を行う際に必要となります。

 

つまり、マンション管理組合が本来行うはずの業務を管理業者に委託する際に、窓口となって対応するのに必要な資格です。

 

3.転職を成功させるためには、資格の取得が重要

 

不動産業界は、資格を保有していなくても入社することは可能です。

しかしせっかく転職するのであれば、より良い待遇を受けたいと誰もが考えるものです。

 

転職はいわば、人生を大きく変える転機です。

自分自身のスキルアップや収入増を目指すのであれば、資格の取得は欠かせません。

この記事でご紹介した資格を取得して、あなたの活躍の場を広げることを検討してみてください。

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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。12歳と10歳の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も財閥系企業に転職しました。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく、人事/採用の担当としての本音をお届けします。

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