結婚式は、人生の中でもひときわ華やかな晴れ舞台。
その特別な日に、幸せのお手伝いをする「ブライダル」の仕事は、多くの人が憧れる職業のひとつです。
ただ、ブライダルに関わる仕事はいくつも種類があり、それぞれ必要なスキルや資格が異なります。
今回は、「ブライダルの仕事に興味があるけど、具体的にどんな仕事があるのがわからない」という方に向けて、ブライダルの仕事の種類や、必要な資格などをお伝えしていきます。
自分はどのような形でブライダルの仕事に携わることができそうか、ぜひ夢を叶えるためのヒントにしてください。
1.こんなにある!ブライダル関連の仕事
それでは早速、ブライダル関連の仕事にはどのようなものがあるのか、順番にみていきましょう。
①ウェディングプランナー
新郎新婦の希望に沿って、ウェディングの日程、予算、式のプランなどの企画・提案を行う、「結婚式のトータルプロデューサー」です。
2人の理想の結婚式を叶えるために、ブライダルのプロとして企画から当日のエスコートまでを手厚くサポートします。
お客さんにとって記念すべき1日を素敵に演出する、非常にやりがいのある職業です。
②バンケットスタッフ
ホテルや結婚式場で、式当日のさまざまな業務を行うスタッフです。
会場のセッティング、料理やドリンク類の配膳、招待客の対応など、新郎新婦やゲストたちが心地よく過ごせるよう、各種のサービスを提供します。
テキパキとした手際の良さや、サービスのクオリティの高さを要求される仕事ですが、華やかなおめでたい場で働けることに魅力を感じる方も多いでしょう。
③結婚式場紹介サービス
結婚式場の情報提供や、式場の予約代行などがメインの仕事です。
新郎新婦の希望を聞いたり、相談に乗ったりして、2人の希望にマッチした式場探しやプランのアドバイスを行います。
結婚式場に関する情報がとても豊富で、たとえば、「海の見える場所で挙式がしたい」、「センスのいいレストランで披露宴をしたい」などの要望に対し、プロのアドバイザーとして具体的なプランを提供します。
④衣装のレンタル会社
衣装のレンタル会社では、主に冠婚葬祭で着用する衣装全般の貸し出しを行っています。
七五三や成人式で着物をレンタルしたことのある方も多いと思いますが、打掛やウェディングドレスなどブライダル関連の利用者も多数います。
ウェディングドレスに関しては、「ドレススタイリスト」や「ドレスコーディネーター」といって、披露宴で着用するドレスやアクセサリーなどのコーディネートを提案する仕事も人気です。
⑤メイクアップアーティスト
新郎新婦のヘアメイク、着物の着付けなどを担当します。
お色直しがあると式の合間に衣装が変わるので、その都度、衣装のイメージに合わせたヘアメイクを行います。
限られた時間内で高いレベルの仕上がりを要求されるため、経験やスキルはもちろん、美的センスも必要な素養のひとつ。
ホテルや結婚式場に所属するほか、フリーランスで働く人もいます。
⑥フラワーコーディネーター
式場に飾る花のトータルコーディネートや、花嫁のブーケなどを担当します。
新郎新婦の座る高砂や招待客のテーブルに飾る花、ドレスに合わせたブーケ、花束贈呈用の花束など、結婚式にはお祝いの花がたくさん必要です。
花の知識、手入れの方法、アレンジセンスなどが求められる花のプロフェッショナルです。
⑦司会者
披露宴で、司会進行役を務めます。
当日は分刻みのスケジュールになるため、事前の入念な打ち合わせをはじめ、当日は機転とトーク力を活かしたスムーズな進行が求められます。
型通りに進めるだけでなく、ウィットやユーモアをはさんで会場を盛り上げたり、ハプニングに臨機応変に対応したりと、個人の力量を問われる難易度の高い職業といえるでしょう。
プロとしてフリーで活躍している人のほか、プロダクションや専門の派遣会社に所属している人も多くいます。
⑧演奏者
披露宴の進行に合わせて、ピアノや電子オルガンを演奏します。
新郎新婦の入退場、ケーキ入刀、花束贈呈などの際の音楽を担当し、披露宴を盛り上げます。
ほかにも、歓談中のBGMや、ときには余興の歌の伴奏をすることも。
演奏技術だけでなく、突発的なリクエストに対しても即座に対応できるスキルが必要です。
ブライダル演奏者は、式場と提携している音楽事務所に所属するケースがほとんどです。
2.ブライダルの仕事に資格は必要?
ブライダルの仕事には、資格がなくてもできる仕事と、資格が必須、或いはあった方が有利になる仕事があります。
それぞれどのような仕事が該当するのか、みていきましょう。
①資格がなくてもできる仕事
ホテルや結婚式場のバンケットスタッフ、衣装のレンタル会社や結婚式場紹介サービスの社員などは、無資格でも働くことができます。
資格はないけれど、結婚式や披露宴などの華やかな職場で働きたい方、ウェディングと関わる仕事がしたい方、ブライダルの仕事が未経験という方におすすめです。
②資格が必須、あった方が有利な仕事
a.メイクアップアーティスト
メイクアップの仕事自体は資格がなくてもできますが、ヘアセットをするには国家資格である「美容師」の免許が必要です。
結婚式場ではメイクとヘアセットの両方を行うことが多いため、ブライダル業界でメイクアップアーティストとして働くのであれば、美容師の資格はほぼ必須といえるでしょう。
また、持っていると役立つ資格として、一般社団法人JMAの「日本メイクアップ技術検定」や、一般社団法人IBF国際美容連盟の「IBF国際メイクアップアーティスト認定試験」などがあります。
さらに活躍の場を広げたい方は、このような民間資格の取得も視野に入れるとよいかもしれません。
b.演奏者
ブライダル奏者になるには、所属する音楽事務所の求める演奏レベルに達している必要があります。
事務所が設けている独自のテストのほか、「ヤマハ音楽振興会のグレード5級以上」などを条件にしているところもあるので、事前に調べておきましょう。
たいていは、プロとして通用するレベルの実力を求められるので、高い演奏技術は当然のこととして、そこからさらにブライダル奏者としての教育を受けることになります。
c.フラワーコーディネーター
フラワーコーディネーターは、技術面だけでなく植物の知識や手入れのノウハウも正しく身につけていることが重要です。
専門学校などに通い、園芸やフラワーデザインをしっかり学んだ人が就職に有利といえるでしょう。
専門の資格には、国家資格の「フラワー装飾技能士」や、公益社団法人日本フラワーデザイナー協会の「フラワーデザイナー資格検定試験」などがあります。
仕事をするのに資格が必須というわけではありませんが、資格を保持していればフラワーコーディネーターとしての知識やスキルを有していることのアピールになるでしょう。
d.司会者
司会者の仕事をするのに特別な資格は必要ないものの、実際に仕事をするには司会者としての能力や技術に加え、結婚式に特化した知識が不可欠です。
そのため、まずは養成スクールなどに通って一から司会者のノウハウを学ぶ人も少なくありません。
資格は要らなくても、しっかり下積みを重ねてスキルを上げていかないと仕事を得るのは難しいでしょう。
また、司会者の仕事には性格や人間性も関係してくるため、ある程度個人の適性も問われます。
e.ブライダル界の人気資格「ウェディングプランナー」
ブライダル関連の資格の中で、とくに人気なのが「ウェディングプランナー」です。
ただ、ウェディングプランナーの仕事をするのに、必ずしも資格が必要というわけではありません。
無資格でブライダル業界に就職し、仕事をしながら経験と実績を積み重ねてウェディングプランナーの業務を任されるようになった人も少なくないでしょう。
とはいえ、婚礼やブライダル業界についての知識、接客マナー、営業スキル、プランニングなどをトータルに学ぶウェディングプランナーの資格は、ブライダル業界での就職や転職の際に有利に働くことは間違いありません。
ウェディングに関して総合的な知識を身につけるため、また、今後キャリアアップを目指すために、資格取得を検討してみる価値はあるでしょう。
ウェディングプランナーの資格としては、以下が有名です。
・全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会)認定「ブライダルプランナー検定」
・公益社団法人 日本ブライダル文化振興協会「ブライダルコーディネート技能検定」
国際規模で有名な「ABC協会認定ブライダルプランナー検定」には1級と2級があり、どちらもとくに受験資格を設けていないため、誰でも受験が可能です。
2級は毎年1,000人前後が受験をしており、合格率は82.9%です。
1級の受験者は2級の約半数程度で、合格率は77.8%となっています。
一方、日本ブライダル文化振興協会の「ブライダルコーディネート技能検定」は1~3級があり、実務経験がないと受けられない級もあるので要注意です。
また、こちらの検定は筆記試験に加え、ロールプレイ形式の実技試験も行われます。
3.コロナ後のブライダル業界はどうなる?
ここ10年、ゆるやかに減少傾向が続いていた国内の婚姻件数は、「令和婚」が話題となった2019年、7年ぶりに増加しました。

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況|第2表-1 人口動態総覧の年次推移」P6より作成(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/04_h2-1.pdf)
しかし、晩婚化や人口減少の動きに加え、最近は親しい間柄だけで行う小規模な結婚式や、写真撮影だけを行う「フォトウェディング」も注目されつつあります。
今後はこれまでのようにホテルや結婚式場で盛大に式や披露宴を行う人は減っていく可能性もあります。
また、2020年は新型コロナウィルスの感染拡大によって、結婚式の延期や中止が相次ぎ、「WEB婚」というオンラインで結婚式を行うカップルがニュースにもなりました。
これから先もコロナウィルスの感染状況によっては、ブライダル業界はしばらく厳しい状況が続くかもしれません。
また、これを機に結婚式の形を見直す人が増えてくれば、ブライダル業界全体において、今後はより多様なニーズに寄り添った戦略や工夫が必要になってくるでしょう。
4.まとめ
ブライダルの仕事はとても夢があり、人気の高い職業です。
無資格でできる仕事もあり、ブライダル業界で働くことは決して難しいことではありません。
まずは、自分にはどのような仕事ができるか、どういった形でウェディングの仕事に関われるかを考え、具体的に夢を叶えるための計画を立てていきましょう。

プロフィール:マネー・介護・福祉が専門のフリーライター。
独身時代は、都市銀行にて支店勤務ののち秘書室で役員秘書として従事。結婚退職後、介護福祉士の資格を取得し、福祉施設や訪問介護での勤務を経て、2016年よりライター活動を始める。Webメディアを中心に読者の方の役に立つ記事を多数執筆中。