コスメやメイクが好き、憧れの化粧品業界で働きたい、化粧品の研究開発の仕事をしてみたいなど、化粧品会社への就職を志望している方はとても多いと思います。
そのような方にとって、
「化粧品会社では実際にどんな仕事をするのか」
「資格は必要なのか」
といった点は、非常に気になるところではないでしょうか。
今回は、化粧品会社の具体的な仕事内容、必要な資格や適性、平均年収などをくわしく解説していきます。
化粧品業界で働きたい方の役に立つ情報をまとめましたので、ぜひ今後の就職活動の参考にしてください。
1.化粧品会社の平均年収をチェック!
まず最初に、気になる「化粧品会社の年収」について見ていきましょう。
東洋経済新報社発表の、「国内上場企業の40歳の平均年収」をみると、化粧品会社の平均年収は659万円となっています。*1
下記の表は、2021年版の「会社四季報」より、人気化粧品メーカーの平均年収と平均年齢を示したものです。
企業 |
平均年収 |
平均年齢 |
資生堂 |
716万円 |
39.0歳 |
花王 |
812万円 |
40.6歳 |
コーセー |
867万円 |
42.4歳 |
※書籍「会社四季報 業界地図2021年版」P164より作成*2
国内大手である「資生堂」「花王」「コーセー」は、従業員の平均年齢がおおよそ40歳前後です。
年収は3社ともに上記の「上場企業の40歳の平均年収」より高い数値になっています。
なかでも「コーセー」は、平均年齢は他の有名メーカーに比べて多少高いものの、それを差し引いても年収は867万円と、かなりの高額です。
化粧品会社も企業によって年収の額にバラつきはありますが、売り上げの大きい大手の化粧品メーカーは給与水準が高く、年収も高額になる傾向にあります。
2.化粧品会社の仕事内容は?
次に、化粧品会社では具体的にどのような仕事をするのでしょうか。
化粧品会社の仕事には、「商品企画」「研究開発」「生産」「営業・広報」「販売」「一般事務」などの職があり、採用されるには専門的な知識が必須とされる部署もあります。
もう少し掘り下げていきましょう。
①商品企画
新商品の構想・企画がおもな仕事です。
市場調査や競合他社の調査をし、ターゲットや商品コンセプトなどの方向性を定め、どのような商品をつくるのか、デザインも含めた具体的な企画を考案します。
②研究開発
企画をもとにして、配合成分や機能について効果や安全性を検証したり薬事申請をしたりし、試作品を作ります。
化粧品にとって大切な要素となる使用感、発色、香りなどもこまかくチェックし、いくつも商品サンプルをつくるなど、根気のいるタフな仕事です。
化粧品メーカーで研究開発にかかわるには、大学で化学・生命科学・薬学など、理系学部を専攻していることが条件となるケースが多いです。
とくに大手の化粧品メーカーで研究職として働きたい場合は、理系の大学院を出ているとより有利になるでしょう。
③生産
化粧品を製造するための生産ラインを設計し、仕上がった商品に対して何度も検査を重ねていきます。
最終的な品質チェックを経て、いよいよ新商品の完成となります。
その後は、生産・品質管理・在庫チェック・出荷などの、一連の作業を担います。
④営業・広報
営業部は、デパートや小売店などに向けて、商品を売り込む仕事です。
しかし、ただ商品の良さをアピールするだけでなく、たとえばイベントの実施など、より戦略的な売り方の提案も行います。
広報部では、テレビCMや雑誌、Web広告等、さまざまな媒体で新商品のプロモーションを行います。
より印象に残るPR方法を考え、多くの人に商品を知ってもらうよう働きかけます。
⑤販売
デパートの美容カウンターなどで、お客様に直接コスメをアピールする仕事です。
商品のくわしい説明のほか、実際にその化粧品を使用してお客様にメイクをするなど、自らの知識と技術を最大限に活かして商品の魅力を伝えます。
⑥一般事務
事務系の職には、人事部や総務部での一般事務、営業事務、経理などがあります。
電話応対やデータ入力など、一般的なビジネススキルを求められます。
3.化粧品会社で働くためのスキルや適正は?
華やかな印象のある化粧品業界ですが、どのような人が化粧品会社で働くのに向いているのでしょうか。
①メイクやスキンケアが好きな人
まずは、コスメが好き、メイクやスキンケアが好きという人です。
自分の好きなことを仕事にしている人ほど、意欲的に仕事に取り組めるため、いろいろなことを素早く吸収できます。
そのぶん成長も早く、上司や先輩からもよい評価を受けやすいでしょう。
②人を美しくするお手伝いがしたい人
次に、化粧品を通して人を美しくすることに興味がある人です。
「シミやくすみといった肌悩みを改善するお手伝いがしたい」
「メイクの力で今よりもっとキレイになってほしい」
このような希望を持っている人にとって、化粧品会社はまさに最適な職場だといえるでしょう。
③コミュニケーション力がある人
多くの企業では、コミュニケーションスキルを高く評価しています。
例えばカネボウでは、求める人材像の一つに「協働により高い成果を生み出す人財」を挙げており、採用において「双方向の対話やコミュニケーションがとれる人物」を重視していることがわかります。*3
資生堂も、「COLLABORATE(共同して働く)」を信条とし、「組織の壁を取り払おう 1人ひとりの異なる強みを活かし、協力し合おう」というメッセージを発信しています。*4
市場において常に新しい価値を生み出していくためには、社員それぞれの経験や能力、アイディアをもとに、皆で協力し合って一つの仕事に取り組まなければなりません。
個人の能力を磨くことも大切ですが、それを周りの社員と共有し合うことで、一人では成しえない価値を生むことが可能になります。
また、化粧品会社では社内での交流だけでなく、取引先企業やお客様との信頼関係も重要です。
仕事を通し、さまざまな立場の人と良好な関係を築ける能力が求められるでしょう。
とくに営業職や美容部員は「販売」に携わる仕事であり、会社の売り上げに貢献する必要があります。
コミュニケーション力が不足していると、なかなか成果に結びつかず苦労することがあるかもしれません。
とはいえ、コミュニケーションスキルは経験とともに磨かれていくものでもあります。
ひとつひとつの仕事に真剣に向き合うことが、お客様のため、会社のため、そして自分の成長にもつながります。
「自分は引っ込み思案だから無理」と最初から諦めるのではなく、挑戦する勇気も大切にしましょう。
④チャレンジ精神のある人
コミュニケーションスキルと同様、求める人材像として「チャレンジ精神」を重んじている企業も少なくありません。
カネボウは「挑戦意欲を持ち続ける人財」として、「自らを革新することに挑戦し続ける」ことを挙げており、資生堂も「TAKE RISCS=リスクを恐れず挑戦しよう。Try & Error & Tryを実践しよう」と呼びかけています。*3 *4
コーセーの代表取締役社長である小林一俊氏は、
「年齢や経験を問わず多様な才能が集うことで、前例や常識にとらわれない発想や果敢なチャレンジが、新しいモノやコトを生み出す原動力となるものと期待しています。」
と述べており、どの会社も社員の新しい視点や試みに期待していることが伝わってきます。*5
4.化粧品業界の今後は?
ここ10年間、百貨店における化粧品の売り上げは順調な伸びを見せてきました。
ところが今年は、新型コロナの感染拡大による営業自粛や、渡航自粛要請による訪日客の減少により、大きく売上を落としているのが現状です。
日本百貨店協会のデータによると、令和2年9月の化粧品の売上は前年比-51.2%であり、8か月連続マイナスが続いています。*7
ただ、新型コロナの影響で売上高が落ちているのは事実であるものの、化粧品会社は生活に欠かせない商品を多く扱っているため、常に一定の需要が見込まれる業界でもあります。
感染状況が収まれば一気に消費が回復し、再び化粧品業界が活気づいてくることが期待されます。
5.まとめ
コスメ好きの方、美容に関心のある方にとって、化粧品メーカーへの就職はまさに夢の実現といえるかもしれません。
また、ブランドイメージや安定性、給与面などにメリットを感じて化粧品会社志望する方もいるでしょう。
化粧品会社は仕事内容も多岐に渡っており、まずは自分がその会社に入って何をしたいのか、目標を明確にすることが重要です。
それと同時に、人気が高く競争率の激しい業界でもあるため、念入りな企業研究を欠かさず、万全の準備をして採用試験に挑みましょう。
*2 参考)書籍「会社四季報 業界地図2021年版」P164(右端)
*3 参考)株式会社カネボウ化粧品「求める人材像」
https://kanebocos-recruit.jp/graduates/recruit/inside.html
*4 参考)株式会社資生堂「採用情報」
https://corp.shiseido.com/jp/careers/
*5 引用)株式会社コーセー「社長メッセージ」
https://www.kose.co.jp/company/ja/recruit/message/
*6 参考)書籍「会社四季報 業界地図2021年版」P165
*7 参考)一般社団法人 日本百貨店協会「令和2年9月 全国百貨店売上高概況」P4
https://www.depart.or.jp/store_sale/files/f58e4c0d4a9cb089f46d9dbf5b7147bdf3f62f6a.pdf

プロフィール:マネー・介護・福祉が専門のフリーライター。
独身時代は、都市銀行にて支店勤務ののち秘書室で役員秘書として従事。結婚退職後、介護福祉士の資格を取得し、福祉施設や訪問介護での勤務を経て、2016年よりライター活動を始める。Webメディアを中心に読者の方の役に立つ記事を多数執筆中。