「夫が外で働き、妻は家庭を守る」という古くからの男女の役割分担が、当然のこととされてきた日本の社会でしたが、近年では様々なライフスタイルや価値観が受け入れられるようになってきました。
もはや、男性と同じようにバリバリと働き、家庭と仕事を両立させながら、キャリアアップしていく女性は珍しい存在ではありません。
今回は、「女子学生に人気が高い企業」について、詳しく解説をしていきます。
女性が輝きながら、社会において活躍していくことができる優良企業ばかりですから、女子就活生の方は、ぜひ、参考にしてください。
1.女子学生に人気が高い企業ランキング【TOP20社】
女子学生に人気が高い企業ランキングのTOP20社は、以下の通りです。(下図1)
【女子学生に人気が高い企業ランキング TOP20社】
順位 | 社名 | 業種 |
1位 | 明治グループ | 食品 |
2位 | 伊藤忠商事 | 商社 |
3位 | 味の素 | 食品 |
4位 | 博報堂 | 広告 |
5位 | カゴメ | 食品 |
6位 | バンダイ | ゲーム・アミューズメント機器 |
7位 | 全日本空輸 | 航空 |
8位 | ソニーミュージックグループ | 音楽・芸能 |
9位 | 大和証券グループ | 証券 |
10位 | 日本生命保険 | 生保 |
11位 | 大日本印刷 | 印刷 |
12位 | ロッテ | 食品 |
13位 | 日本航空 | 航空 |
13位 | 第一生命保険 | 生保 |
15位 | 損害保険ジャパン | 損保 |
16位 | JTBグループ | 旅行 |
17位 | 電通 | 広告 |
18位 | 講談社 | 出版 |
19位 | 集英社 | 出版 |
20位 | 三菱商事 | 商社 |
図1 参考)就職四季報女子版2022年「就職人気企業ランキング」P1025を参考に筆者作成
①女子学生に一番人気が高い企業は「明治グループ」
女子学生に一番人気が高い企業は「明治グループ」という結果になりました。
明治グループは、文化放送キャリアパートナーズが2019年に実施した「就職人気企業ランキング」でも、男女合わせて第5位にランクインしている人気企業です。*1
菓子・乳製品で国内トップクラスであり、流動食や粉ミルク、スポーツ関連食品などの事業も好調で、ますます発展していく兆しを見せています。
2位には伊藤忠商事がランクインし、こちらも毎年、人気企業ランキングの上位です。
2020年には時価総額が5大商社の中でトップとなり、自由な社風が魅力となっています。
3位は調味料で国内最大手の「味の素」がランクイン。
近年では、医薬品や化成品事業も展開しており、海外事業においては世界35か国に進出しているグローバル企業です。
4位は広告代理店国内2位の「博報堂」で、育休期間は、子どもが2歳到達後の4月末まで取得できるのが良い点でしょう。
5位にはトマト加工品の国内最大手「カゴメ」がランクインされ、3年後の新卒女性の離職率が4.0%と低いのが特徴です。
②上位5社中、3社が「食品」
「女子学生に人気が高い企業ランキングTOP20社」を参照すると、業種としては「食品」が一番多く、20社中4社がランクインされていました。
上位5社中でも3社が「食品」でしたが、女性という事で「食」に関連する業種に、興味を持つ方が多いのかもしれません。
その他には、「生保」「損保」などの保険業が3社と多く、「商社」「航空」「出版」など華やかな業界が後に続いています。
また、就職四季報女子版2022年「女子学生の就職人気企業ランキング」の調査で、ベスト100にランクインした業種のTOP5は下記のようになりますので、ぜひ、参考にしてください。
なお、女子学生に人気が高い企業の業種NO.1「食品」で、100社中12社がランクインしています。
【女子学生に人気が高い企業の業種ベスト5】
順位 | 業種 | 会社数(100社のうち) |
1位 | 食品 | 12 |
2位 | 銀行 | 10 |
3位 | 商社 | 6 |
3位 | 広告 | 6 |
5位 | 出版 | 4 |
図2 参考)就職四季報女子版2022年「女子学生の就職人気企業ランキング」P1025-1027を参考に筆者作成
2.女子学生に人気が高い企業トップ10社の概要
女子学生に人気が高い企業トップ10社の概要をまとめたものは、下図2の通りです。
【女子学生に人気が高い企業トップ10社の概要】
順位 | 企業名 | 新人女性の入社3年の離職率 | 平均勤続年数(年) | 平均年収 | 平均年齢 | 有給取得日数(年) | 女性既婚率 |
1位 | 明治グループ *2 | 6.7% | 15.1年 | 768万円 | 40歳 | 15.0日 | 50.30% |
2位 | 伊藤忠商事 *3 | 10.3% | 18.4年 | 1,566万円 | 42歳 | 12.3日 | 43.8 |
3位 | 味の素 *4 | 5.0% | 17.4年 | 956万円 | 44歳 | 16.9日 | 63.9 |
4位 | 博報堂 *5 | 17.8% | 12.5年 | NA | 非公開 | NA | NA |
5位 | カゴメ *6 | 4.0% | 12.2年 | 853万円 | 40歳 | 15.2日 | 52.9 |
6位 | バンダイ *7 | 17.9% | 9.1年 | NA | NA | 14.9日 | 48.9 |
7位 | 全日本空輸 *8 | NA | 9.3年 | NA | NA | NA | NA |
8位 | ソニーミュージックグループ | ND | ND | ND | ND | ND | ND |
9位 | 大和証券グループ*9 | NA | NA | 1,015万円 | NA | 16.0日 | NA |
10位 | 日本生命保険 *10 | NA | 13.9年 | NA | NA | 14.0日 | NA |
図3 *2~*10「就職四季報 女子版2022年」を参考に執筆者作成
①人気上位10社は有給取得日数が多く、平均年収が高い企業が多い
図3を参照すると、人気上位10社は「有給取得日数が多く、平均年収が高い」企業が多いことが読み取れます。
有給取得日数が一番多いのは「味の素」で16.9日。大和証券グループも16.0日と多い方でしょう。
また、一番平均年収が高いのは「伊藤忠商事」で、1,566万円(平均年齢42歳)となり堂々の1位です。
全体的に見ても、非公開の企業があるとはいえ、平均年収は760万円以上、有給取得日数は12.3日以上と条件の良い企業ばかりが選出されています。
②女子学生の人気ランキングの特徴は「華やかさ」
女子学生に人気がある企業ランキングの特徴としては、「憧れの業種」が強く反映されているのが特徴です。
今回ランキング上位20社に選出された企業の業種は、「広告」「出版」「航空」など華やかな業界が数多くランクインしています。
注意点としては見た目だけのイメージで業種を選ぶのではなく、自分がやりたいことや適性などに、ぴったりマッチしているのかどうかを、よく照らし合わせてみましょう。
2021年卒からの就職活動では、新型コロナの影響で、企業に直接接触できる機会は、決して多くはありません。
女性だけではなく、男性にも人気が高い企業を探し出し、就職活動を行う必要があるでしょう。
3.働く女性の現状は、正社員とパートでは大きく違いがある
日本の働く女性の現状は、正社員とパートでは、勤続年数や第1子出産後の就業継続などに、大きく違いがあります。
ここでは、正社員とパートの場合を比較して、働く女性の現状を解説していきます。
①正社員の3割以上が10年以上勤続
図4を参照すると、平成23年の調査では、正社員の37.1%が10年以上勤続していることが分かります。
同年の男性全体では50.3%となっており、男性と比較しても13.0%の差異がある程度です。
同じく平成23年の正社員以外の女性の場合は、10年以上の勤続年数は19.4%となっており、ほぼ正社員女性の半分程度の割合となっています。
同じ女性という立場であっても、正社員と正社員以外では、勤続年数にかなり開きがあるといえるでしょう。

図4 引用)厚生労働省「女子大学生就活ガイド」働く女性の現状を知る P5(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku08/dl/daigakusei.pdf)
②正社員の5割以上が第1子出産後も就業継続(パート・派遣は2割以下)
下図5は、正社員と正社員以外の女性の「第1子出産後の就業継続率」を表した表です。
こちらを参照すると、第1子出産後も就業を継続する正社員は、平成12年からの調査以降、5割以上の人が子どもを出産しても働き続けていることが読み取れます。
一方、正社員以外の場合は平成7~11年に15.2%まで下降し、その後は微増傾向にあるものの、依然として2割にも届かない状況です。
平成17~21年では、両者間において約3倍もの開きがあり、正社員の女性の方が、一定の会社で長期的に就業する傾向があるといえるでしょう。

図5 引用)厚生労働省「女子大学生就活ガイド」働く女性の現状を知る P5(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku08/dl/daigakusei.pdf)
4.まとめ
今回は、「女子学生に人気が高い企業」について、業種や企業名など詳しく解説をしていきました。
厚生労働省の「平成30年版働く女性の実情」によると、平成30年の女性の労働力人口は3,014万人と前年に比べ77万人増加し、男性は3,817 万人と33万人増加しました。
また、労働力人口総数に占める女性の割合は44.1%となり、前年より0.4ポイント上昇し、6年連続の増加となっています。*11
このように、この比率は年々上昇しており、女性の社会進出は着実に進んでいるといえるでしょう。
女性の活躍が注目される中で、「女子就活生に人気が高い企業はどこなのか?」ということは、気になるところではないかと思われます。
今回のランキングを参考にして、女子就活生の方は、自分にぴったり合った業種や企業を選びだし、実りある就職活動を行ってください。
*2 参考)就職四季報女子版2022年「明治グループ」P423 *3「伊藤忠商事」P164
*4「味の素」P424 *5「博報堂」P83 *6「カゴメ」P441 *7「バンダイ」P529
*8「全日本空輸」P684 *9「大和証券グループ」P263 *10「日本生命保険」P219
*11参考) 厚生労働省「平成30年版働く女性の実情」働く女性の状況 P1
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/18-01.pdf
就職四季報 女子版2022年「就職人気企業ランキング」P1024-1025
就職四季報 女子版2022年「就職人気企業ランキング」P1026-1027
就職四季報 女子版2022年「明治」P423