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世界でも有数規模の公共放送、NHKの採用情報と傾向、就活対策

世界でも有数規模の公共放送、NHKの採用情報と傾向、就活対策2

 

日本放送協会(NHK)は受信料収入を財源とする特殊法人です。

 

国内外に広く放送局・支局を持ち、「NHKワールド JAPAN」では世界中に向けて多言語で情報発信する世界でも有数の規模の公共放送で、全国職員採用と地域別採用の両方を実施しています。

 

NHKの採用情報や社風、対策などについてみていきましょう。

 

 

1.NHKの募集職種と初任給など

 

NHKの募集はまず、「全国職員」と「地域職員」に分かれ、職種はそれぞれ以下のようになっています。

 

全国職員

ディレクター

記者

アナウンサー

映像取材

映像制作

映像デザイナー

音響デザイナー

放送事業マネジメント

技術

地域職員

(8ブロック制)

ディレクター

記者

アナウンサー

放送事業マネジメント

技術

 

地域職員は全国8ブロックに分かれています。

関東甲信越、近畿、東海・北陸、中国、九州・沖縄、東北、北海道、四国

 

 

初任給は2019年度の実績で、

修士了:226,360円

大学卒:213,360円

短大・専門・高専卒:187,410円

となっています*1。

 

 

転勤範囲や転勤回数を考慮して、地域職員と全国職員で違いが生じます。

選考フローは、ES提出後2種類の筆記試験があります。

ひとつはSPI適性検査、次に小論文です。

 

過去の例としては、「『応』という漢字で連想することについて」800文字で記述するというものがありました*2。

 

その後複数回の面接を経て、内々定という流れです。

 

採用実績大学/学歴フィルター情報は、

早大、慶大、東大、法政大、上智大、京大、東北大、明大、中大、一橋大、阪大、東工大、お茶の水女子大、電通大、横国大、立教大、同志社、青学大、東京理科大、東京外大、北大、広島大、日大、九大、筑波大、東京芸大、千葉大、岡山大 ほか

となっています。

 

 

2.NHKの社風や面接

 

NHKというと非常に「お堅い」というイメージがあるかもしれません。

 

しかし、筆者もマスコミ勤務時代にNHKの記者と接する機会が多くありましたが、真面目な印象の人は多いものの想像ほど「お堅い」という訳でもありません。どちらかというと温和な雰囲気の人が多く、アットホームな会社であるという印象を受けました。

 

一方でやはり、民放とは違う「NHKである」ことへの誇りを持っている人が多くいます。

 

面接ではエントリーシートの内容やガクチカについて深掘りされます。

内定者の経験談として、このようなものが挙げられています。

<「内定者に聞く」NHK>

「面接官がエントリーシートを読み込んできてくれているので、「ここに書いてあるこれはどういう意味? 」と、ピンポイントに聞いてくれる。」
「何をやったかという成果より、どういう思いで取り組んだのかという内面を重視して聞いてくれていると感じました。」
「記者の面接は緊張しました。面接官も記者なので、すごく真剣。『僕はこう思うんだけど、あなたはどう思う?』って。」

日々のニュースをはじめ、日頃からひとつの出来事について深く考察する習慣をつけておくことが求められます。

社会問題に対しては、絶対的に正しい答えはないということが多くあります。よって、面接官の個人的意見を聞かされて、本当に同感できるのなら同感で良いのですが、そうでない場合は正直に自分の意見をしっかり話しましょう。

 

「間違っていたらどうしよう」などと考えてしまっては話せなくなりますし、その優柔不断な態度もチェックされてしまっています。最初はかみ合わなかったとしてもそこですぐに引くのではなく、論理的に話を展開し、理解してもらえるような話し方をするよう気をつけましょう。

 

また、地域職員採用の場合は、原則として地方放送局勤務になります。

地域に根ざした放送局として、地域の課題についてじっくりと取材したり放送したりするという仕事が待っていますので、その地域の問題や課題などについてしっかりと考えていなければなりません。

 

地域職員は様々なライフスタイルに合わせやすいというのは事実ですが、転勤が少なそうだから、という理由だけでは通用しない部分があります。

なぜこの地域で働きたいのか、この地域でNHK職員として働くことで何をしたいのか、といった部分について明確な説明ができるようにしましょう。

 

なお、NHKは求める人材像について、
創造性に富み、個性豊かで高い志と目的意識を持った人

としています。

ただ気をつけおきたいのは、「なぜNHKなのか」という点です。

ほかの業界では「なぜうちの会社なのか」を見つけるのは難しい部分もありますが、NHKと民放の間には誰にでも分かる違いがあります。

その上で、なぜ民放ではなくNHKなのかという部分については考えておきましょう。

また、志望する職種についてもなぜその職種を選んだのかしっかりと聞かれます。準備しておきましょう。

 

 

3.NHKへの就職後

 

全国勤務の職員は、基本的には最初の数年は地方局に配属されます。全く見知らぬ土地が最初に赴任先になる、というのはよくあることです。

よって1年目は地方勤務となることを前提にしておいたほうが良いでしょう。

NHKでは、「初任地は第二の故郷になる」と言われています。

 

そこから何度か転勤を繰り返すということになります。まずは地方で経験を積み、東京勤務、さらに海外支局のポストというのはやはり優秀な社員が勝ち取るもの、という構図があります。

 

民放の場合は全国で違う会社が系列を組んでいるという形ですから、東京のキー局に入社すれば最初から東京の局で働くことになります。ここが民放とNHKで大きく異なる点です。

そして、若いうちからすぐに番組制作に携わるOJTもまた特徴です。良いアイデアであれば新入社員の意見でも取り入れられやすい空気があります。

 

 

4.NHKへの就活で参考にしたいサイトとまとめ

 

まずNHKの現在の事業、そして今後の経営戦略について記されているのが「NHK経営計画」です。

 

こちらからダウンロードできます。

「NHK経営計画」:リンク

 

内定者が面接について紹介しているサイトもあります。

「内定者に聞く」:リンク

 

 

面接も全体的に和やかに進みます。

 

そして絶対に気をつけておきたい点として、「知ったかぶり」はしてはいけないという点があります。

ニュースなどに対する知識は必要ですが、使い慣れない専門用語を無理矢理使おうとしても、相手はベテランですので背伸びしていることをすぐに見抜いてしまいます。

 

無理をせずに、自分の言葉で、自分の範囲で考えていることを話しましょう。

積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢も求められます。

 

 

参考資料/参考サイト
*1「待遇・福利厚生」NHK
*2「就活NEXT 未来を変える会社2022-2023」日経HR p110
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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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