各種就職人気ランキングでベスト10入りが多く、商社では一番人気になっているのが伊藤忠商事です。
文化放送キャリアパートナーズの調査では、全業種企業の中でも総合3位でした。
中国でのビジネスをいち早く展開し、また、傘下にファミリーマートなど有力企業を連ねる伊藤忠商事の採用情報、選考ステップや面接などの対策をみていきましょう。
1.「ひとりの商人、無数の使命」〜職種と初任給
伊藤忠商事の求める人物像は「世の中の変化に対応し、世界中で持続性のあるビジネスを創出していく人材」です。
企業としても、「ひとりの商人、無数の使命」という行動指針をはじめとして、「商人魂」を原点にしたメッセージが随所に見られます。
採用は「総合職」「事務職」の2種類です。
①総合職<大学・大学院卒>
総合商社なので当然ですが、総合職は第一条件として国内・海外への転勤があります。
また、内定後の配属ガイダンスで、社内全ての事業部門についての説明会が行われ、入社前に所属したい事業の希望を出すことができます。
また、TOEICなど英語力の点数に基準は設けていません。入社後に英語力をアップさせる研修制度があります。
2020年度は106名を採用しており、初任給は
大卒 255,000円(7月より266,667円)
院卒 290,000円(7月より300,000円)
となっています。
②事務職<短大卒、大卒、院卒>
本社勤務で、転勤はありません。ライフプランに応じて事務職で入社する人もいます。
一般的に「事務職」と呼ばれるものとは少し違い、諸案件の実務を担うプロフェッショナルといった色が濃いのが特徴で、総合職への転換制度もあり、毎年数人が総合職に転換しています。
2020年度は14名を採用しており、初任給は
短大卒 175,000円
大卒・院卒 210,000円(7月より241,667円)
となっています。
2.選考ステップと重視されるポイント
次は、伊藤忠商事の選考ステップとその内容です。
①エントリーシート提出から本エントリー完了まで(3~4月)
エントリーシート(ES)の内容は「志望動機」「自己PR」「学生時代に力をいれてきたこと」などです。
エントリーシート提出後にテストセンターで筆記試験を受けるのと、自己PR動画を撮影して提出しなければなりません。
動画は、1分間で1つの質問に答えるという内容です。
21年卒への動画の課題は
「あなたのこれまでの経験を、どのように伊藤忠商事で生かすことができると思いますか」
という内容でした。
また、エントリーシートと同時に、大学の成績を提出しなければならないという特徴もあります。
もちろん、成績だけが優先されるわけではありませんが、学生の特徴をみるひとつのポイントにはなっています。
テストセンターの成績はかなり重要視されると言われているので、対策をしておく必要があります。
②面接(6月~)
エントリーシート、テストセンター、動画、大学での履修履歴を元に書類選考が終わると、6月から面接が始まります。
伊藤忠に限らずですが総合商社になってくると対策が必要なのは「グループディスカッション(GD)」と「論文」です。
テーマについて公表はされていませんが、グループディスカッションで見られているのは「協調性」「コミュニケーション能力」です。
無理やり話の主導権を握りに行ったり、相手の話に聞く耳を持たないなどの行動を取ってしまうと即NGなのは言うまでもありません。
自分を優位に立たせるために言動の不一致を見せるのもよくありません。
グループディスカッションのテーマは企業によって様々ですが、「知識」だけを純粋に知りたがっているというわけではなく、その振る舞い方が見られている場合と、いかにその場で柔軟に物事を提案できるかが見られている場合があります。
伊藤忠商事の場合は前者「振る舞い方」がポイントです。
グループになったメンバーの特性をその場で見極め、自分がどういう役割を買って出るのかの機転とも言えます。
主導権を握りたがる人たちばかりの中で、冷静に議論の方向性を見つめ修正する役割を買って出る、そのような姿勢も必要です。
立ち回りを見るために、その場では答えの出しようがない大きなテーマが設定されることもあります。
また、論文対策としては、日頃からニュースをこまめにチェックし、常に考察するよう心がけるしかありません。
自分なりに分析し、自分だったらどうするか、その根拠は何か、と行った具合に、ひとつひとつのニュースを「受け流さない」ようにする習慣が必要です。
重要なのは思考の足跡。
①結論ファースト、理由セカンドの順
②現状を理解し、問題・課題を定め、自分だったらどのように解消するのか、その根拠は
「幅広く高いアンテナで情報収集する力」「考える力」は、伊藤忠商事で求められる基本スキルでもあります。
見知らぬ国で見つけた新しいものに価値を見出して人に売る、という商人精神の原点を考えると、必須の能力とも言えるでしょう。
3.伊藤忠商事の社風と傾向、就活で欠かせない対策
伊藤忠商事の社風は「自由闊達」そのものだと言われています。
若い社員であっても、個人に幅広い裁量を持たせており、実際、人員は「五大商社」の中ではもっとも少ないとも言われています。
そのため、「問題発見力」「解決力」についてのエピソードがエントリーシートでは特に好まれます。
部活でもアルバイトでもなんでも良いのですが、何か困難に遭遇した時にボトルネックを見抜き、同時に行動することのできる能力なのです。
この傾向は「どんな局面でもなんらかの結果を出す」ことへのこだわりとも考えられます。
「非財閥系」の総合商社であるというプライドも、社風に少なからず影響を与えている部分があるのでしょう。
伊藤忠は、かつては総合商社の中で「万年4位」と呼ばれ続けた会社でした。
しかし、2015年、ついに純利益で業界トップに立ち、「非財閥系の雄」という立ち位置を手に入れました。
財閥という後ろ盾に頼らず、「問題解決力」「突破力」の高い少数精鋭チャレンジャーを集めて次世代でも勝負をかけようという意識を強く打ち出しています。
このように言うと「厳しい体育会系」のように感じてしまうかもしれませんが、働き方改革には積極的で、その中の一つに「アルハラ防止」の規定も含まれています。
社内での会食に「一次会、午後10時まで」と規定を設ける徹底ぶりで、現代の価値観にしっかり対応する姿勢も見て取れます。
4.まとめと参考サイト・参考書籍
面接で大手企業になるとありがちな「なぜこの会社なのか」という質問は、
伊藤忠の場合、聞かれることはあっても、そこまで大きなポイントにはなりません。
伊藤忠が重視しているのは、
「伊藤忠という会社の中で自分は何をしたいか、できるか」
ということと、そのためにどんな経験をしたことがあるか、その整合性なのです。
なお、伊藤忠商事について知るための参考情報や書籍には以下のようなものがあります。
まず押さえておきたいのは、伊藤忠商事をモデルにした山崎豊子氏の名作「不毛地帯」です。
詳細なリサーチの上に数々の企業をモデルにしてきた山崎豊子氏の名作で、ドラマ化もされました。
伊藤忠が総合商社に変化していく過程や、商社というものがいかに泥臭いものかをリアルに描き出しています。
伊藤忠に限らず、総合商社の歴史を知る良い一作でしょう。
そして、「現在の伊藤忠」がコンパクトにわかるのが「伊藤忠よくわかるストーリー」です。
今後も「非資源」に力を入れるとしている伊藤忠商事が、現在どのようなブランドを手がけているか知ることができます。
・伊藤忠よくわかるストーリー
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/investor/story/01.html
そして、年1度発行の「統合レポート」には、伊藤忠商事の歴史から理念、各種カンパニーの事業の様子だけでなく、SDGsなどへの取り組みについても詳細に記されていますので、かならず目を通しておきたいところです。
・統合レポート2019(オンライン版)
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/doc/annual_report/online2019/
そして、歴史を誇り先人の思想を大切にする姿勢がよく見えるのが、歴史紹介のページです。歴代経営者の名言も収録されています。
読み物としても非常に興味深いので読んでおきたいサイトです。
・伊藤忠商事の歴史
https://www.itochu.co.jp/ja/about/history/index.html
少数精鋭で泥臭く仕事をしていくという社風から見ても、独立精神、開拓精神が最低限の資質として求められています。
伊藤忠商事 新卒採用情報