総合家電大手のパナソニックは、家電以外にも住宅や車載など幅広い事業を手掛けています。
また、2021年卒からは通年採用を導入したほか、社内公募や社内複業、社外留業といった様々なキャリア育成制度があります。
求める人材は「大きな夢と高い志を持ち、チャレンジし続ける人」というパナソニックの採用情報や就活にあたって押さえておきたい情報を紹介します。
1.パナソニックの募集職種と初任給など
パナソニックが現在注力しているのは、以下の4分野です。
まず、分野の広さを把握しておきたいところです。
①家電
AV、白物、美容・健康などのBtoC家電のほか、業務用の冷熱機器、デバイスの開発、製造、販売。
②住宅
省エネ住宅向けエネルギーシステム、住宅・オフィス資材、街づくり。
③車載
カーナビなど車載エレクトロニクス、自動車用ミラー、車載電池など。
④B2B
システムインテグレーション、電子部品・材料など。
その上で、職種は「事務系」と「技術系」に分かれています。
事務系は
営業・マーケティング、経理、人事、法務、知的財産、調達、広報・宣伝、ロジスティクス、生産管理、カスタマーサービス など、
技術系は
研究開発、設計開発、生産技術、SE/技術営業、知的財産、情報システム、調達、品質管理など
の職種です。
初任給は、2019年の実績で
修士了:月給236,500円
学部卒:月給212,500円
となっています。
2.パナソニックの通年採用のスケジュールと「職種確約コース」「G100コース」
正しく知っておきたいのが、2021年卒から初めて導入された「通年採用」についてです。
新卒採用での「通年」というのは珍しい制度ですが、具体的には、毎月15日を締切として選考フローが始まるという形で、かつ、エントリー時期にかかわらず入社は4月(海外大学などの卒業時期によっては秋入社も)という方式です。
エントリー月を自由に選べるのは大きなメリットです。
ただこれは、一括採用のスケジュールに合わせるために、学生の時期にしかできないことを犠牲にするのはもったいない、という考え方に基づいて導入されたものです。
つまり逆に言えば、時期が自由なぶん、学生生活でどのような強みを築いたかという経験談はとても重視されるということでもあります。
通年のメリットを緩く考えてはいけません。
なお選考に落ちた場合は、次の年に再チャレンジすることができます。
また、パナソニックの事務系採用の中には、本人の適性を勘案して最初の配属先を確約する「職種確約コース」と、日本語がネイティブでない人向けの「G100コース」がありますが、この2つのコースは6月度の選考のみとなっています。
3.パナソニックの社風と松下幸之助の経営理念
そして実際の選考はこのように進みます。
エントリーシート提出後、書類選考合格者のみに適性検査の案内が届きます。
そこから複数回の面接を経て、内々定という形です。
2019年度は700名ほどが採用されています。
そしてパナソニックと言えば創業者の松下幸之助ですが、その松下幸之助が定めた「綱領」を今も経営理念としています。このようなものです。
産業人たるの本文に徹し社会生活の改善と向上を図り
世界文化の進展に寄与せんことを期す
「パナソニック ブランドスローガン・経営理念」より引用(https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/philosophy.html)
現在のパナソニックのブランドスローガンである「A Better Life, A Better World」は、これを現代向けに簡潔に言い換えたものでもあります。
また、社風としては「明確な夢や目標」と「それに対する強い思い入れ」を社員ひとりひとりがしっかり持っており、そのためには若いうちであっても上司にしっかり意見を述べるという人の集まりです。
よって、パナソニックでどんな事業をやりたいのか、なぜそれをやりたいのか、をエントリー段階から明確に伝えていく必要があります。
特に動機の部分では、自分のかつての経験や小さい頃のこと、学生時代に見聞きしたり経験したりしたものと直結しているのが好ましいでしょう。
日常の中で触れるものに疑問や問題意識を持ち、解決したいと思っている問題がある時には、自分がどこで何をすれば解決に近づけられるのかを考えている。
そういった
「社会の問題や困りごとを拾うアンテナの高さ」
「具体的な事業と結びつける柔軟性」
が問われるところでもあります。
自分が小さな時からこれまで、疑問に思ったり考えたりしたことまでもを振り返った上での志望動機を、エントリーシートには記して提出するのが良いでしょう。
もちろん、面接で整合性がなくなるようなことがあってはいけません。
・これまでの自分が経験したことや考えてきたことと、パナソニックの事業がどうジョイントするのか。
・広くある事業部門のなかで、なぜそれを志望するのかをどこまで明確に説明できるか。
・新しいアイデアを持ち込む存在ならばなおよし
というところです。
キャリア形成のための様々な制度があり、それを利用したいと考える場合は尚更、「なぜパナソニックでこれをやりたいのか」の具体性は必要です。
4.多様な働き方支援
なお、パナソニックには様々な人材育成プランがありますが、いくつかを紹介します。
まず、「社内複業」制度です。
これは、ひとつの所属部門に身を置きながら社内の別の領域で週に何日か勤務できるという仕組みです。
そして、パナソニックに籍を置きながら違う会社で働く「社外留職」という制度もあります。
また、社内公募されるポジションに対して挑戦できる制度もあります。
年に4回の機会に合計で1000以上のポジション公募枠があります。
「強みを生かす」という意味合いでは、「eアピール」という仕組みがあり、自分の強みを希望先の事業部門に直接アピールすることも可能です。
このように個人の「つよみ」を大切に考えている部分に対しては、面接などでも、自分の強みをアピールしていきたいところです。
しかしここでつまづいてはいけないのは、客観的な自己分析によって「つよみ」を見つけ出しておかねばならないという点です。
自己分析がきちんとできているかどうかもまた、選考段階で明暗を分けるでしょう。
5.まとめと、参考にしたいサイトや書籍
アニュアルレポートには、2020年9月時点での財務状況などについて記されています。
資料中程には事業カンパニーごとの主力商品や売上の状況についてまとまっている部分もありますので、眺めておきたい資料です。
アニュアルレポート2020:https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/reference/annual.html
また、パナソニックの中期戦略については、2019年に開催された
「Panasonic IR Day 2019」
の資料から知ることができます。
各事業カンパニーごとの説明会資料などが掲載されています。
Panasonic IR Day 2019:https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/reference/presentation/irday2019.html
また、松下幸之助氏に関する書籍は多くありますが、興味があり何かを読んでみたい、ということがあるかもしれません。
その場合、手始めにPHP文庫から発売されている「心得帖」シリーズのうち、「商売心得帖」を手に取ると良いでしょう。
まさに商売の原点について、松下幸之助が語ったものとなっています。
「経営の神様」と呼ばれた松下氏の理念がいまだ息づく会社でありながら、しかし個人には「チャレンジ」を求めているのがパナソニックの現代の姿です。
また、幅広い事業部、多数の職種があることもあって、様々な個性を持つ社員の集合体でもあります。
あまり堅苦しく構えず、まずは自分の動機、そこに至るまでの過程を自分の中で反芻しましょう。
そして、考えている最中に何かが足りないとなったら、勉強してみるのも通年採用のメリットです。