就職人気企業ランキングでよく見かける食品メーカーのひとつが、味の素です。
マイナビ・日経新聞の合同調査では文系総合で8位、理系総合では2位と研究職の人気も高い企業です。
お馴染みの調味料や加工食品などをはじめ、世界35か国に販路を持つグローバルメーカーである味の素の採用情報や就活にあたっての対策をみていきましょう。
1.味の素の募集職種と採用実績など
味の素の新卒採用は3つの分野に分かれています。
①R&D(研究開発)
技術フィールドⅠ=食品・栄養
食品会社の技術職といえば、真っ先に浮かぶのがこの分野でしょう。
といっても、単なる「素材研究」や「製品評価技術」だけではありません。
国内外での製造プロセスの開発も担当します。
技術フィールドⅡ=発酵、バイオ、生物
バイオテクノロジー、バイオ生産技術の分野です。アミノ酸、核酸、タンパク質、フレーバー等などの研究を細胞や動物、人を対象に行っています。
これらの研究を通じて、既存事業だけでなく新事業の創出も目的としています。
技術フィールドⅢ=素材・プロセス
新素材の探索研究から生産プロセスの構築、事業化までを担います。
また、研究開発や安全性を支える基盤である最先端の分析、構造分析技術開発を行います。
②セールス&マーケティング
営業、マーケティング分野です。国内外での商品開発、マーケティング、戦略立案、販促企画などを行います。
調味料や加工食品、健康ケア食費だけでなく、アミノ酸などの素材を医薬や化成品企業などに提供するための製品開発などを担当します。
③コーポレート(DX)
味の素が現在注力しているのは「デジタル・ディスラプション」です。既存の産業を根底から崩壊させてしまうような革新、といった意味です。基礎的な解析から実装までを行うデータサイエンスとビジネス部門の高度化を目指すビジネスデジタルの2種類があります。
また、人事、財務・経理などのいわゆる一般職部門もこのフィールドに含まれています。
味の素の2020年の採用は48名、初任給は以下のようになっています。
博士卒:295,000円
修士卒:246,000円
学士卒:234,000円
会社全体では平均年収は982万円、有給取得日数は年平均で16.7日です。
2.味の素が求める人物像とエントリーシート題材、採用ステップ
味の素が求める人材は、「自ら考え主体的に行動して、多くの人を巻き込みながら諦めずに取り組める人」です。
ステップとしては、エントリーシートと適性検査、1分間の自己PR動画を提出するところから始まります。
2020年のエントリーシートの内容はこのようなものでした。
総合職:学生時代に最も力を入れて取り組んだテーマ(50字)、その中で自身が主体的に設定し解決した課題(100字)、その解決のために取り組んだこと(400字)
技術職:入社して実現したいこと(200字)、あなたが学生時代に力を入れて取り組んだテーマ(50字)、その中で自身が取り組んだこと(400字)
そして、味の素の最大の特徴は、面接回数が多いことです。
技術職であれば2回ですが、総合職では6~7回の面接があります。のちにミスマッチにならぬよう、最初の段階で会社について理解を深めてもらおうという狙いがあります。
面接で重視されるのは「主体性」「論理的思考力「コミュニケーション力」です。問題発見力とそれをどう解決するか理論的に考え、実際に行動に移すことができる、そのような人材求めています。積極的に話す姿勢が良いでしょう。
3.味の素の採用傾向と対策〜社風にマッチした人材であること
味の素は大胆な「働き方改革」に踏み切った企業でもあり、ワークライフバランスを非常に重要視している企業でもあります。
2017年には勤務時間を「午前8時15分始業〜午後4時30分終業」と大胆に変更して話題を呼びました。
女性が働きやすい環境づくりを第一に、特に育児中などに遠慮なく退社できるよう、全員の退社時間を4時半に決めたというものです。
さらに、コアタイムフレックスや「どこでもオフィス」としてテレワークを早い段階から積極的に導入しています。場所や時間を問わず、ライフプランに合わせて働き方を柔軟に変えられる環境があります。
また、一部では副業も認めています。
こうした「働きやすさ」が魅力で人気企業となっている面もありますが、注意が必要です。
味の素が求めているのは、あくまで「社風に合う人材」です。もちろん、こうした大改革を行えるのも社風と言えばそうですが、一番求められるのは「自分は味の素という会社で何をしたいか」というビジョンを明確に語れることです。
「働きやすい環境がある」=「楽そう」だと考えてはいけませんし、働きやすさが志望理由だというのは敬遠されます。
採用過程で数多くの面接を重ねるのは、面接を通して相互理解を深めるためです。
回を重ねるごとにリラックスしていけると良いでしょう。自分を飾り立ててしまうと、どんどん辻褄が合わなくなってしまいます。それは避けたいところです。
なお、グローバル企業ではありますが、英語力はそこまで重要視はされていません。
4.「味の素」の就活情報、ESや面接の傾向と対策まとめ
味の素の原点は何と言っても「アミノ酸」「うまみ」です。
文系だから化学のことはよくわからない、ということではなく、「アミノ酸とは何か」については知っておく必要があります。
これについては味の素がWebでわかりやすいページを公開しています。味の素は何をしている会社なのかという中心部分です。商品展開などについても知るためのサイトと言えるでしょう。
・味の素「アミノ酸大百科」:https://www.ajinomoto.co.jp/amino/
・3ふん早わかり味の素グループ:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/ataglance.html
そして、味の素が今何を目指しているのか、今後に向けてどんな戦略を練っているのかについても知っておくと良いでしょう。
一例としては、「食と健康の課題解決」を新たな重要戦略としていくことを決めています。
「美味しくて便利」を主体にマーケティングや商品開発を進めてきましたが、世界的な高齢化に対応するための戦略を織り込む形です。
このような中期事業計画については、資料が公開されています。
社長のプレゼンテーションと、説明会で配布された資料を見ることができます。経営計画説明会に参加する気分でチェックしてみましょう。
こうした資料を見ていると、「食」を通じて世の中や世界にどう貢献したいのか、という視線が必要だということがわかります。
・味の素 中期経営計画説明会:
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/event/medium_term.html
また、味の素の歴史の始まりは1908年にまで遡ります。実に100年以上前です。
企業の成り立ちや、100年以上続く価値観については、こちらから眺めておきましょう。
味の素 社史・沿革:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/aboutus/history/
また、事業の詳細がもっともわかりやすいのが「統合報告書」です。
デジタル化への人材投入や業務の効率化で、「イノベーション」を模索しているのが今の味の素の姿です。
その歴史や社風を理解し、自分のキャリアについても自主的に、ある程度の長期で考えられる人材が好まれます。