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営業だけじゃない広いフィールド、第一生命保険の採用情報と傾向や就活対策

営業だけじゃない広いフィールド、第一生命保険の採用情報と傾向や就活対策

第一生命は「民間生保4強」のなかで唯一の株式会社です。近年はその機動性をいかして積極的なM&Aで海外事業を急拡大しています。

また、保険(Insurance)と情報技術(IT/Tech)」を融合した「InsTech(インステック)」戦略積極展開しています。

 

業務内容の幅が広いことも特徴である第一生命保険の新卒採用情報や、就活での傾向・対策を見ていきましょう。

 

1.保険会社の基本知識「相互会社」と「株式会社」

 

生命保険業界には数々の大手が存在していますが、そのうち「株式会社」であるのは第一生命だけです。

他は、保険会社にのみ認められている「相互会社」という形態を取っています。

 

保険会社は多くの人がお金を出し合い、誰かが必要になった時はそこから保険金を支払うという「助け合い」のために存在する組織だという考え方があります。

よって契約者ひとりひとりを出資者とした

「相互扶助を目的とした非営利法人」

であるとみなすことができ、これが「相互会社」の形です。

 

株主から資本金を募って営利目的の事業を行う「株式会社」が会社法に基づいて設立された法人であるのに対し、相互会社は保険業法に基づいて設立された法人で、両者には他にも下のような違いがあります。

 

 

相互会社

株式会社

目的

非営利法人

営利法人

構成員

保険契約者(社員)

株主

資本

外部企業や投資家から募る基金

株主が出資する資本金

意思決定機関

社員総会(総代会)

株主総会

 

 

相互会社の場合、構成員である契約者を「社員」と呼びます。

 

最大の違いは意思決定の方法です。

株式会社の場合は出資者の集まりである株主総会で意思決定が行われますが、相互会社の場合は、保険契約者ひとりひとり=全社員が参加する社員総会、あるいは社員の代表である総代会で組織の意思決定が行われることになります。

 

また、相互会社は資金調達の面で制約が生じます。

相互会社が資金調達する場合は、基金という形で募らなければなりません。

一方で株式会社は、自社の株式を発行することで資金調達ができるので、時期や金額について比較的柔軟な資本戦略が可能です。

保険業界の競争が激化する中で、大手の中で先行して株式会社化した第一生命は、そこから独自の戦略をたどっています。

 

他社に先んじてM&Aによるグローバル展開を拡大できたのも、株式会社ならではの柔軟性があったからだと言えるでしょう。

 

 

 

2.第一生命保険は理系も積極採用、採用職種と初任給

 

大きくは「基幹職」「機関経営職」「ライフプロフェッショナル職」の3つに分かれ、それぞれ違う特徴を持っています。

 

 

①基幹職

3種類あります。

 

・基幹業務職(A型):戦略企画・管理やフロント業務・バックオフィス業務など、特定のビジネスフィールドのスペシャリストとして専門性の高いキャリア形成ができるコースです。

転居を伴う転勤はありません。

初任給は大卒で221,300円です。

 

・オープンコース基幹総合職(G型・R型):将来の経営幹部候補として、ビジネスのプロフェッショナルを目指すコースです。

初任給は、転居を伴う転勤があるG型で大卒270,470円、転居を伴う転勤がないR型で245,880円です。

 

・スペシャリティコース基幹総合職(G型・R型):技術的に専門性の高いコースです。

保険商品開発やリスク管理のための数理解析を行う「アクチュアリー」。

金融工学の手法でファンドマネジャーやアナリスト業務を行い、またデータサイエンティストとして商品開発を行う「クオンツ・データサイエンティスト」。

投資用不動産物件に関する「建築・設計」。

そして「IT・システム」の4種類の業務があります。

 

これら職種には、理系学部や建築など関連する学部出身者であったり、ITに関しては興味や関心のある学生が望ましいという条件があります。

初任給は大卒ではオープンコースと同じですが、院卒の初任給が別水準で設定され、G型282,770円、R型258,180円となっています。

 

 

 

②機関経営職

「経営のプロ」を目指す人を募集しています。

入社後5年の研修期間ののち、6年目からオフィス長に就任し、マネジメントとオフィス経営を担当します。

その後、キャリアに応じて営業部長、支社長、経営層とステップアップを目指すことができます。

初任給は274,000円です。

 

 

③ライフプロフェッショナル職

地域限定での生命保険の営業を担当します。

保険・年金商品を中心に、顧客のライフプランに応じたコンサルティング、販売業務を行います。

基幹職とのジョブローテーションもあります。

初任給は地域によって違いますが、東京の場合大卒で23.5万円、短大卒で22.5万円です。

 

 

3.第一生命保険の選考ステップと社風、採用の傾向

 

第一生命が自負する社風の一つが「ダイバーシティ&インクルージョン」です。

 

女性社員が多く、内勤色では7割、地方での営業職も含めると9割が女性社員という独特の男女比があります。

また海外への事業展開をスムーズに進めるために海外のグループ企業との人材交流があるほか、社内にLGBT相談窓口を設け、LGBTの理解・支援を表明する「Ally(アライ)シール」等を作成し、希望する社員に配布しています。

 

選考ステップは、エントリーシート提出・Web適性検査ののち、一定の水準を満たすとCarrer 3rd(キャリア・サード)という個別座談会への案内が届きます。

キャリア・サードはあくまで「座談会」ですが、これに全て参加し、かつ2度目の適性検査とテストセンターなどで一定水準を満たすと、個人面接に案内されるという流れになっています。

 

個人面接は3~4回で、入社を迷う人に対しては追加面接を実施するなど、個人の特性や状況に応じた形で進められます。

 

また、タイミングは人によって異なりますが、「ideagram(アイデアグラム)」の「デザイン思考」というテストが導入されています。

創造力やアイデアを数値化するというもので、近年導入企業が増えています。

課題発見力と解決力が問われます。

 

保険会社というと「営業」というイメージが強いかもしれません。

しかし株式会社化やインステックといった新しい試みを積極的に取り入れてきた経緯があるだけに、こうした新しいテストの導入は、「変革」「新しい価値の創造」といったことにこだわる第一生命の傾向を表しているともいえます。

 

面接はESの深掘りなどがメインですが、質問にハキハキと答える姿勢が大切です。

もちろん、なぜ保険業界なのか、第一生命なのかは明確にしておきましょう。

 

また、独特の質問として、

「友達や家族などの近しい人に保険を売ることができるか?」

という質問が時々あります。

明確な考えを持っておかなければなりません。

 

なお、求める人物像は

「自律心と向上心を持ち、積極的に挑戦・変革し、継続的に価値創造し続けることができる人財。多様な個性を互いに包摂・共感し、周囲を巻き込み鼓舞しながら共に成長することができる人財」

です。

 

 

 

4.第一生命保険の採用情報と対策まとめと参考情報、書籍

 

第一生命は、座談会やイベント、インターンシップを積極的に実施する企業ですので、何らかのイベントには参加しておきたいところです。

 

直近の企業活動としては第一生命ホールディングスのアニュアルレポートを参考にしましょう。

理念から活動状況、会社の各データもここで参照できます。

 

・第一生命ホールディングス アニュアルレポート2019:https://www.dai-ichi-life-hd.com/investor/library/annual_report/2019/index.html

 

社長メッセージでも、業界を取り巻く環境について詳しく紹介されています。

 

・第一生命ホールディングス 社長メッセージ:https://www.dai-ichi-life-hd.com/about/president/message.html

 

 

第一生命に関する書籍は次のようなものがあります。

 

「第一生命 最大たるより、『最良』たれ」(生産性出版)は、生保業界のベテラン専門記者が第一生命の”品質を重視する経営”について執筆したものです。

第一生命の企業理念がよくわかります。

 

また、「第一生命 株式会社化への決断」(財界研究所)は第一生命が株式会社化するまでの経緯やその狙いについて詳しく書かれています。

株式会社化は第一生命の最大の特徴ですから、ここは詳しく知っておきたいところです。

 

企業について正しく知り志望動機をしっかりと固めること、また、正しい自己分析も求められるのが第一生命の採用過程です。

底の浅い部分はすぐに見抜かれてしまうと考えて臨む必要があります。

 

 

<第一生命 採用情報>

・基幹職採用情報:https://www.dai-ichi-saiyo.jp/2021/recruit/

・機関経営職採用情報:https://www.dai-ichi-kikankeiei-recruit.jp/

・ライフプロフェッショナル職採用情報:https://www.dai-ichi-life-professionals.jp/

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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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