東京ディズニーランド&シーを運営するオリエンタルランドは、常に人気上位にある企業です。
ディズニーが好き、もちろんそんな志望動機もあるでしょうが、当然それだけでは突破できません。ウォルト・ディズニーの哲学と同時に「ビジネス視点」からもオリエンタルランドの業務を分析しておくことが必須です。
1.オリエンタルランド採用、コロナ・ショックの影響は?
オリエンタルランドはCOVID-19の影響で、東京ディスニーランド&シーの4か月の休園を強いられました。よって2020年3月期は大幅な減益となったものの、従業員のリストラは行わず、賞与の7割カットで対応しています。
また、2022年卒向けのWebサイトが公開されているほか、インターンシップについての情報もアップデートされています。
2.オリエンタルランド採用の募集職種と初任給など
募集職種は、このように分かれています。
①総合職=新入社員は原則、全員パークオペレーション部門に配属されます。テーマパーク運営の全容を知り、まずはコア事業の理解から始まります。
ジョブローテーションを繰り返して、将来的には事業を担う存在になります。数十名の採用です。
②テーマパークマネジメント職(スーパーバイザー)=選考の段階から本人の希望で配属先(運営本部、フード本部、商品本部、コスチューミング部)が分かれます。原則、本部をまたいだ異動は発生しません。
③テーマパークマネジメント職(ステージマネージャー)=エンターテイメント本部(ショー運営部)への配属です。
④専門職(技術)=関係する学部、学科卒業者が対象です。テーマパークのアトラクションや施設などのライド、アニメーション、ショー機器、基幹インフラ設備の保守・点検、設計業務の実務を担います。
⑤技術職(調理)=調理専門学校卒業者が対象です。テーマパーク内の店舗、ホテルなどでの調理技術者です。社内研修で調理についての技術を固め、将来的には店舗経営について広いスキルを習得していきます。
初任給は、専門職(調理)が専門学校卒で月給197,000円、他の職種では大卒・大学院卒での月給が218,000円です。
月の平均残業時間は17.9時間、平均年収は697万円です。
3.オリエンタルランドの社風や選考ステップと傾向
オリエンタルランドの社風は、なんといっても「ホスピタリティ」です。想像に難くないことでしょう。
選考ステップや内容は、2020年はこのようなものでした*。
まず、ステップです。
エントリーシート・テストセンターでの適性検査→面接2回、合間にグループディスカッション・作文→内々定
というフローです。
グループディスカッションの議題は、総合職は
「”令和”をどのような時代にしたいか、その時代にオリエンタルランドは必要か?」
技術職は、
「採用担当としてより多くの学生に『オリエンタルランド技術職の魅力』を伝えられるキャッチコピーを募集」
というものです。
総合職のグループディスカッションの議題を見てもわかるように、ビジネス、経営といった視線から、オリエンタルランドの事業をいかに時代のニーズに合うものにできるか、将来像はどういったものか、というビジネス的な視点から議論をできる学生でなければ内定にこぎ着けることは難しいといえます。
テーマパークは、どんな時代にあっても来場者に夢や幸せを与える場所ですから、今や未来がどんな世の中であり、そのためにはどうすれば人を喜ばせることができるか、その発想が必ず求められます。
これは日頃から訓練しておく必要があるでしょう。
「ディズニーが好き」一色というのはアルバイトならば許されるでしょうが、正社員はあくまで経営に関わる存在であり、その自覚が不可欠です。
面接では「ホスピタリティのある人物かどうか」が意識されます。実際に、人を喜ばせた体験について聞かれることもありますし、仕草などもチェックされています。
また、成功体験に限らず、失敗談とそれをいかに克服したか、ということを聞かれることもあります。
どのような質問にも、とにかく真摯に受け答えすることが重要です。
コミュニケーション能力や、相手を気遣った話し方ができるかどうかも大切なポイントになります。
なお、求める人物像は
「オリエンタルランドの企業理念を理解し、それをビジネスと捉え実現することができる人財」
です。
その理念は、
「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。」
というものです。
また、「より良く」、「やり切る」、「一丸となって」を実践できることも重要視されています。
4.オリエンタルランドの採用で参考にしたい書籍やサイト
オリエンタルランドについて知るためには、まずウォルト・ディスニーについて知らなければなりません。
経営や人材育成にあたっても、要所要所で登場するのはウォルト・ディズニーの哲学です。
「ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯」にはその人生について綴られています。苦学生であったというその人となりについては勉強しておきたいところです。
また、これは組織運営側の視点から書かれた本ですが、
「3日で変わる ディズニー流の育て方」
では、テーマパーク内での出来事に従業員がどのように対応しているか、その基本理念は何なのかを垣間見ることができます。
サイトでは、まずIRライブラリーにある資料をチェックしたいところです。
「ファクトブック」や「アニュアルレポート」を閲覧できる「IR資料室」のリンクは以下です。
IR資料室:http://www.olc.co.jp/ja/ir/library.html
このページを開いた時、他の企業と少し違う工夫が施されているのがわかるでしょうか?
資料ごとに「難易度」が3段階示されています。
さりげない工夫ではありますが、オリエンタルランドのホスピタリティが滲み出ています。
中期経営計画では、東京ディズニーシー大規模拡張プロジェクトについても紹介されています。オリエンタルランドの今後の事業予定を見ることができます。
経営計画:http://www.olc.co.jp/ja/ir/management/plan.html
また、ウォルト・ディズニーについて、公式サイトでもその理念の一部が紹介されています。
ウォルト・ディズニーの見た夢:https://www.tokyodisneyresort.jp/tdr/resort/walt.html
5.オリエンタルランドの採用情報と傾向のまとめ
人をもてなすホスピタリティと、一方でビジネスの視座から園内を眺めることができる。総合職では特にそのような能力が求められます。
「周囲の人をどう喜ばせるか」ということについては、グループディスカッションのメンバーに対する気遣いもそうですし、面接などにあたっては、次の人のことを考えて使った椅子を元に戻す、といったことも当然のようにできていなければなりません。
また、面接にあたっては、ドアの前で今一度口角を上げて臨みましょう。面接官や周囲に感謝の気持ちを持つことも忘れないようにしましょう。