創業者である鳥井信治郎の「やってみなはれ」精神が根付いているサントリーは、酒類・飲料・食品・外食などの事業会社を傘下に持つ有名企業です。
また、利益を追求するだけでなく環境活動にも力を入れ、「天然水の森」と名付けた水源林保全活動を行い、持続可能な社会を目指しています。
今回は、「水とともに生きる企業」サントリーについて詳しく解説をしていきましょう。
1.サントリーの概要
ここでは、サントリーの概要について簡単に解説をしていきます。
①サントリーの企業理念
サントリーの経営理念は「人と自然と響き合う」というもの。
会社の志として「Growing for Good」も掲げ、よりよい社会づくりに貢献し、自然環境を守る使命も抱いています。
また、サントリーが非常に大切にしているのが「水と生きる」という言葉です。
事業を通じて地域社会や自然環境に貢献し、人々が豊かな生活を送るために、新たな価値を創造する企業であり続けていくことを目標としています。*1
②サントリーの価値観は「やってみなはれ」「利益三分主義」
サントリーの価値観として有名なのが、創業者である鳥井信治郎が発信した「やってみなはれ」です。
鳥井信治郎は、新たな分野に挑戦しようとして周囲から反対されるたびに、この言葉を発して、決して挫けることがなかったと言われています。
このように、サントリーグループが発展してきた背景には、常に諦めることのないチャレンジ精神があったのです。
また、創業者 鳥井信治郎の「利益三分主義」の精神も、サントリーが持つ不変の価値観です。
事業で得た利益で会社を成長させるだけでなく、得意先や社会への貢献にも役立てていこうとする考え方で、サントリーが大切にしているスピリットです。
自社の成功を社会全体と分け合いながら、互いに成長していくことに力を注いでいるのです。*2
2.サントリーの採用情報・従業員データ・待遇面
サントリーの採用情報・従業員データ・待遇面などについて詳しく解説をしていきます。
①サントリーの募集要項
サントリーの新卒採用に関する募集要項は下記の通りです。(図1)
文系・理系どちらも採用実績があり、福利厚生サービスも整えられています。
【募集要項】
応募資格・待遇 |
概要 |
応募資格 | 国内または海外の4年制大学以上を卒業・修了または卒業見込み・修了見込みで職歴がない |
募集学科 | 文系・理系どちらも採用実績あり |
初任給 | 修士了 月給244,900円・大学卒 月給228,500円 |
勤務地 | 全国各事業所、海外 |
勤務時間 | 9:00~17:30 |
休日休暇 | 年間121日(基本的には土日・祝日・年末年始が休日・部門により曜日は異なる)、年次有給休暇(初年度13日)、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、育児休職、介護休職など |
福利厚生 | 健康保険、雇用保険、労災保険、厚生年金保険、従業員預金、法人会員施設、会員制福利厚生会社サービスの適用、共済会、独身寮、社宅 |
図1 参考)サントリー「新卒採用 募集要項」(https://www.suntory.co.jp/recruit/fresh/recruit/detail.html)
②サントリー採用の募集コース
サントリーが新卒採用で募集するコースには、「ビジネス部門 」「財経部門」「デジタテクノロジー部門」「生産研究部門 1」「生産研究部門 2」があります。
仕事内容は下記の表の通りです。(図2)
職種 |
仕事内容 |
ビジネス部門 | ・国内/海外マーケティング(酒類、食品、健康食品) ・国内/海外専門スタッフ(経営企画、人事、広報、法務、知財、財務、経理、SCM、原料・包材調達) ・国内酒類営業(家庭用量販営業、料飲店営業、営業企画) ・国内食品営業(家庭用量販営業、自販機営業、料飲店営業、営業企画)ティング(酒類、食品、健康食品) |
財経部門 | 国内/海外財務(経理) |
デジタルテクノロジー部門 | ・デジタルマーケティング(酒類、食品、健康食品) ・ITコンサル ・営業推進 |
生産研究部門 1・2 | 基盤研究 商品開発 技術開発 |
図2 参考)サントリー「新卒採用 募集要項」を参考に筆者作成(https://www.suntory.co.jp/recruit/fresh/recruit/detail.html)
③サントリーの従業員のデータ
サントリーの2019年における従業員データは下図2の通りです。
【サントリーの従業員データ】
従業員数 |
男性3,879人(平均年齢42.4歳・平均勤続年数18.2年) 女性1,228人(平均年齢39.4歳・平均勤続年数15.1年) 全体5,107人(平均年齢41.7歳・平均勤続年数17.5年) |
一般社員の離職率 | 1.9% 97名 |
3年後の新卒離職率 | 5.70% |
図3 参考)就職四季報 総合版 2021年 「サントリー」P450を参考に筆者作成
上図3のデータを参照すると、サントリー社員の平均年齢は全体で41.7歳、平均勤続年数は17.5年と高めなのが特徴です。
平均勤続年数を男女別で見てみると、男性は18.2年、女性は15.1年となっており、男性の勤続年数の方がやや高めになっています。
男女別の従業員の比率は、男性が76%、女性が24%となっており、男性が約3倍ほど多い割合なのが特徴です。
④サントリーへ入社後の給与・休暇・育休の実態
サントリーに入社した後の、有給などの取得日数、育休の取得者数などをまとめた表は下図の通りです。(下図4)
有給取得日数が24日、付与されており、約7割ほど有給を消化できている状況となります。
育休期間は子どもが3歳になるまでで154名が取得。
その内、男性が95名の取得実績があり、育休を取得する社員の約6割は男性が占めているのも特徴的と言えるでしょう。
【サントリーに入社後の休暇・育休の実態】
夏季休暇 |
有給で取得 |
年末年始休暇 | 12月31日~1月3日 |
有給取得 | 16.9日/24日 |
育休期間と取得者数 | 3歳になるまで・154名取得(男性は95名) |
図4 参考)就職四季報 総合版 2021年 「サントリー」P450を参考に筆者作成
3.求める人材や採用・試験情報
ここでは、サントリーが求める人材像やエントリーの流れ、試験情報などを詳しく解説をしていきます。
①サントリーが求める人材像
サントリーが求める人材像は「自ら考え動く主体的でチャレンジ精神溢れる人」です。*3
サントリーグループの事業活動の根底にある価値観「やってみなはれ」を、実行できるチャレンジ精神溢れる人材を求めています。
創業者 鳥井信治郎のスピリットが、時代を超えて現在も引き続き、サントリーで働く社員の仕事の中で、「やってみなはれ」精神として息づいているのです。
②サントリー採用のエントリーの流れ
エントリーの流れとしては、こちらの順番で行っていきます。
- ESシートなど応募書類を提出(3月~4月)
- 書類選考
- 筆記
- 面接(総合職3~4回・技術職2~3回)
- 内々定 *4
③サントリーの採用試験情報
サントリーで重要視しているのは「面接」です。
面接回数は、総合職が3~4回、技術職が2~3回となっており、総合的な人物評価を行います。
また、ESも重要な選考ポイントであり、特に「志望動機」「自己PR」が注視される傾向にあります。
過去のESテーマには「学生時代に力を入れた活動 当社でやってみたい仕事」などが出題されています。*5
④サントリー社の男女別採用数と採用実績校
サントリーにおける各部門の採用数をまとめた表がこちらです。(図5)
2018年から2020年の3年間では、毎年、総合職で116名前後を採用しています。男性の方が多いのが特徴です。
採用実績校は、理系の場合、一流大学院卒が独占しています。(図6)
【男女別採用数】
年度 |
総合職 |
2018年 | 116(男69 女47) |
2019年 | 118(男71 女47) |
2020年 | 118(男68 女50) |
図5 参考)就職四季報 総合版 2021年 「サントリー」P450を参考に筆者作成
【採用実績校(2020年)】
文系 |
(院)京大・阪大・神戸大・早大(大)早大・慶大・同大・京大・神戸大・明大・一橋大・上智大・阪大・東大・立教大・立命館大・九大・法政大など |
理系 | (院)阪大・京大・東工大・東北大・金沢大・筑波大・慶大・神戸大など |
図6 参考)就職四季報 総合版 2021年 「サントリー」P450を参考に筆者作成
4.サントリーの社会的活動
①SDGs(持続可能な社会への目標)への取り組み
サントリーはSDGs(持続可能な社会への目標)へも積極的に取り組みを見せています。
日本政府は2016年12月22日、持続可能な開発目標(SDGs)実施指針を決定しましたが、農林水産省でも食品産業と力を合わせて、SDGsに取り組んでいるのです。*6
サントリーは、SDGsにおいて最も重要な課題として目標6:「水・衛生」を設定。
その他の重要度の高い取組みには目標3:「健康・福祉」、目標12:「責任ある生産・消費」、目標13:「気候変動対策」を特定して事業活動を行っています。*7
下図6のような目標に取り組みながら、サントリーは、社会から期待される以上の成果を出し、達成できるように力を入れて取り組みを続けているのです。
②「天然水の森」活動
サントリーは水と共存しながら発展し続けてきた企業です。
いい天然水があってこそ、美味しいビールやウイスキー、清涼飲料を世の中に創り出してきました。
そのため、サントリーは、環境保護への取り組みとして、「天然水の森」と名づけた水源林保全活動に非常に力を注いでいます。
「天然水の森」の活動とは、全国の工場の水源エリアで、地下水を育む力の大きい森となることを目標に、森林の整備をして行く活動です。
現在整備している森林の面積は、全国で約10,000ヘクタール(東京山手線内の面積は6300ヘクタール)という広大な広さとなっています。*8
5.サントリーのまとめ
今回は、「水とともに生きる」サントリーについて、詳しく解説をしていきました。
サントリーは、創業者 鳥井信治郎の「やってみなはれ」精神を大切にしながら、人と社会と企業の三方が共存していく豊かな社会を目指しています。
人々の健康と地球の未来を尊重しながら、これからも世の中に感動と喜びを与え続けていくでしょう。
https://www.suntory.co.jp/company/philosophy/#vision
*3・4・5 参考)就職四季報 総合版 2021年 「サントリー」P450
*6 参考)農林水産省「SDGsの特徴」
*7 参考)農林水産省「始まった食品事業者の取組」サントリーホールディングス株式会社
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/suntory.html#com_top
*8 参考)「サントリー天然水の森」の活動 P1
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/content/001313791.pdf

プロフィール:フリーランスの転職・不動産ライター。複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。