大林組は、わが国のゼネコン最大手のリーディングカンパニーであり、1892年(明治25年)に創業された歴史ある企業です。
六本木ヒルズや東京スカイツリーなど、都心のランドマークタワーを次々と施工しています。
今回は、スーパーゼネコン5社の一角である「大林組」に就活することを検討している新卒の方に向けて、採用情報や試験対策などを詳しく解説をしていきます。
1.大林組の概要
ここでは、大林組の概要について簡単に解説をしていきます。
①大林組の企業理念
大林組の経営理念は「地球に優しいリーディングカンパニー」です。
優れた技術による誠実なものづくりをすることにより、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
また、創業から受け継がれてきた精神として「良く、廉く、速い」の三箴(さんしん)というものがあり、100年以上にわたる大林組の歴史の中で、今も脈々と受け継がれています。*1
離職率が0.7%(下図3)と低いのも特徴の一つで、多様な人材が個性と能力を活かしながら、やりがいを持って働ける職場環境をつくるなど、社員が定着しやすい環境整備に力を入れている企業です。
②大林組はスーパーゼネコン5社の代表格
大林組は、超高層ビルやドーム施設、競技場などの大規模な建設物を作り上げる、スーパーゼネコン5社の代表格ともいえる企業です。
現在では、リニア新幹線の新駅工事も手掛け、民間の資金や人材を活用する公共事業の実績が豊富であり、北米で現地のゼネコンを買収するなど、海外進出も積極的に推進しています。
近年では、自社で街の再開発事業に着手しており、建設だけでなく不動産開発事業にも力を入れている状況です。*2
2.大林組の採用情報・従業員データ・待遇面
ここでは、大林組の採用情報・従業員データ・待遇面などについて詳しく解説をしていきます。
①大林組の募集要項
大林組で募集されている職種は、「土木、建築、設備、機電、事務」です。
ここでは、それぞれの募集要項をご紹介していきましょう。
【募集要項】
土木 | 建築 | 設備 | 機電 | 事務 | |
応募資格 | 卒業・修了・見込者(正社員としての就業経験なし) | ||||
募集学科 | 土木系/土木環境系 | 建築系 | 建築系/機械系/電気・電子・情報系/化学系/物理系 | 機械系/電気・電子系 | 文系全般 |
初任給 | 博士:290,000 修士:260,000 大卒:240,000 短大・高専卒:210,000 高卒:190,000 |
||||
勤務時間 | 8:30〜17:15 | ||||
休日休暇 | 完全週休2日制その他 | ||||
福利厚生 | 社内預金、従業員持株会、社宅・寮、厚生施設など |
図2 参考)大林組「募集要項」(https://www.obayashi.co.jp/recruit/shinsotsu/information/guideline.html)を参考に筆者作成
②大林組の従業員のデータ
大林組の2019年における従業員データは下図3の通りです。
【大林組の従業員データ】
従業員数 | 全体8,753人(平均年齢42.5歳・平均勤続年数17.2年) 男性7,375人(平均年齢42.4歳 平均勤続年数17.0年) 女性1,378人(平均年齢43.1歳 平均勤続年数18.3年) |
離職率 | 0.70% |
3年後新卒 離職率 | 1.00% |
平均年収(総合職 平均43歳) | 1,052万円 |
図3 参考)就職四季報 総合版 2021年 「大林組」P580を参考に筆者作成
図3のデータを参照すると、大林組の平均年齢は全体で42.5歳、平均勤続年数は17.2年となっています。
男女別では、男性の平均年齢は42.4歳、平均勤続年数は17.0年。女性の平均年齢は43.1歳、平均勤続年数は18.3年です。
従業員数は男性の方が多く、全従業員数の約84%を占めていますが、女性の方が平均年齢が少し高く、平均勤続年数も、やや長めとなっています。
総合職の平均年収(平均43歳)は1,052万円です。
③大林組へ入社後の休暇・育休の実態
大林組に入社した後の、有給などの取得日数、育休の取得者数などをまとめた表は下図の通りです。(下図4)
有給取得率は約42%で、育休取得者数は37名と多くはありません。また、男性の取得者は2名しかいないのが特徴です。
【大林組に入社後の休暇・育休の実態】
夏季休暇 | 8月12日~16日 |
年末年始休暇 | 12月28日~1月5日 |
有給取得 | 8.3/20日 |
育休期間と取得者数 | ・子どもが3歳になるまで ・取得者数は37名(男性は2名) |
図4 参考)就職四季報 総合版 2021年 「大林組」P580を参考に筆者作成
3.求める人材や採用・試験情報
ここでは、大林組が求める人材像やエントリーの流れ、試験情報などについて詳しく解説をしていきます。
①大林組が求める人材像
大林組が求める人材像は「リーダーシップ、協調性、チャレンジ精神を持ち、グローバルに活躍できる人材」です。*3
ものづくりに対して、誠実かつ情熱的であり、自分の仕事に信念を持っている人を求めています。
②大林組の新卒採用エントリーの流れ
エントリーの流れとしては、こちらの順番で行っていきます。
【総合職:3月~6月】
- ES提出(3月~)
- 筆記
- 面接(2~3回)
- 内々定 *4
【技術職:3月~職種により異なる】
- ES提出(3月~)
- 筆記
- 面接
- 内々定 *5
③大林組の新卒採用試験情報
試験において重視される科目は、総合職・技術職ともに「面接」です。
面接では、「質問の本質を理解し、自分の言葉で述べることができるか」という点を重視されます。*6
また、過去に出題されたESには、「志望動機 学生時代で特に力を注いできた事項 自己の特徴・長所 他」というものがありました。*7
④大林組の新卒採用数と採用実績校
大林組における各部門の採用数をまとめた表がこちらです。(下図5)
【採用数:総合職】
年度 |
総合職 |
2018年 |
279名(男230 女49) |
2019年 |
274名(男225 女49) |
2020年 |
300名(男242 女58) |
図5 参考)就職四季報 総合版 2021年 「大林組」P580を参考に筆者作成
採用実績校は下記の通りです。
【2020年 採用実績校】
文系:【院】関西学大 1【大】東大・明大 各3 阪大・神戸大・早大・横浜市大・南山大・創価大 各2 一橋大・北大・東北大・広島大・横国大・千葉大・慶大など 各1 その他
理系:【院】京大 7 東北大・神戸大・早大 各6 東大・東工大・明大 各5 九大 4
阪大 3 その他
4.新型コロナの影響で建設業界への投資額は減少
建設投資は、1992年度の84兆円をピークに減少傾向にあり、2010年度には 1992年度の半分程度にまで減少しました。*8
また、近年では、新型コロナの影響で2020年度の民間建設投資は、さらに減少する見通しとなっており、いっそうの生産性の向上を目指す必要に迫られています。
①2020年度の建設投資は63兆1,600億円の見通し(前年度比3.4%減)
下図6は、国土交通省が調査した建設投資額の推移のグラフです。
この表を参照すると、東日本大震災(2011年)からの復興等により回復傾向となっていましたが、2020年度の建設投資は、前年度比3.4%減の 63兆1,600億円となる見通しになり、減少気味となっています。
一時は「バブル超え」とも評されていた近年のゼネコンですが、新型コロナの影響で、これからの業績は大幅なダウンが避けられないかもしれません。
ただ、もともと建設業界は、景気の動向に左右されやすい業種ということは、分かり切ったもの。
各社はすでに、作業員の待遇改善や施工の自動化、業務内容のデジタル化などで、生産性を高める計画も推進しており、苦境に向けて対策を講じられています。*9
②2020年度の建設投資が国内総生産に占める比率は9.7%となる見通し
下図7(上)は、国土交通省が調査した「建設投資の国内総生産に占める比率」を表したグラフです。
この表を参照すると、2020年度の建設投資が国内総生産に占める比率は、9.7%となる見通しであることがわかります。
国内総生産に占める建設投資の比率は、1975年頃は20%以上ありましたが、その後、減少
傾向となりました。
1986年度から1990年度にかけて増加した時期もありましたが、その後は再び減少傾向となり、近年では、約10%程度の推移となっています。
5.大林組のまとめ
今回は、日本を代表するスーパーゼネコン「大林組」について詳しく解説をしていきました。
大林組は、2019年の売上高が2兆730億円であり、スーパーゼネコンの中でトップとしての地位を築いている企業です。*10
近年では都市開発に強みを見せ、スカイツリーなど首都圏でも実績を積み上げています。
変化するマーケットに向かいながら、生産性の改善を推進していくリーディングカンパニーとして、これからも日本の建設業界をリードしていく存在であり続けるでしょう。
https://www.obayashi.co.jp/company/philosophy.html
*2・3・4・5・6 参考)就職四季報 総合版 2021年 「大林組」P580
*7 参考)就職四季報 総合版 2021年「ES出題テーマ」P1,009
*8 参考)国土交通省「令和2年度(2020年度) 建設投資見通し 概要」P1
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001367224.pdf
*9・10 参考)会社四季報「業界地図」2021年版 P204~205