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島津製作所の採用情報と傾向や就活対策 ノーベル賞研究者を輩出したその社風とは

島津製作所の採用情報と傾向や就活対策 ノーベル賞研究者を輩出したその社風とは

 

精密機器メーカーである島津製作所は、京都に本社を置く計測機器の国内大手です。

社員研究者の田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞して話題になるなど研究開発に強みを持つのが特徴で、分析機器を主力事業としています。

理系の就活生の場合、研究室でよく見かける、という人も多いことでしょう。

また、歴史は明治にさかのぼる老舗メーカーでもあります。

 

島津製作所の採用情報、就活での対策などを紹介します。

 

 

 

 

 

1.島津製作所の募集職種と初任給など

 

 

島津製作所の募集職種大きく2種類に分かれています。

 

①技術系:研究開発、製品開発、ソフトウェア開発、生産技術、生産管理、品質保証など

②事務系:国内営業、海外営業、マーケティング(製品企画、販売促進など)、経理、人事、総務、経営戦略、広報、法務、調達など

 

初任給は、

博士了:266,230円

修士了:238,640円

大学卒:213,220円

となっています(2018年度)*1。

 

非常に歴史の長い企業で、創業は1875年です。教育用の理化学機器の製造からスタートしました。

その後、X線、蓄電池、航空機器と、幅広い分野にチャレンジし続けているユニークな企業です。

 

 

 

 

2.島津製作所の「ノーベル賞会社員」の輩出とその後

 

 

島津製作所といえば、研究員である田中耕一氏が2002年にノーベル化学賞を受賞したことでその名を知ったという就活生も多いことでしょう。

「ひとりの会社員」がノーベル賞を受賞したことが大きな話題になりました。

 

田中氏が受賞した研究は「生体高分子の質量分析法のためのソフトな脱離イオン化法」の開発というものです。

病気になった時、多くは体の中のタンパク質に何らかの異変をきたしています。しかしタンパク質の分析は簡単ではなく、レーザーを当てると分子構造が壊れてしまうという問題に当時、多くの研究者が直面していました。

そこでタンパク質を壊さない「緩衝材」の開発に成功したのが田中氏の功績です。

 

病気とタンパク質の変性の関係は深く、この技術を元に病気の早期発見、それも少量の血液から病気を探り当てる、というのが島津製作所の医用機器に関する大きな研究テーマのひとつです。

田中氏のノーベル賞受賞後に「田中耕一記念質量分析研究所」が設立され、この分野を研究しています。

田中氏自ら所長として研究者を率いています。

 

 

 

 

3.島津製作所の「失敗学原論」が象徴する島津製作所の社風と求める人材

 

 

島津製作所は創業以降、いくつもの「世界初」「日本初」に挑み、体現してきた企業でもあります。

代表的なものは日本初のレントゲン装置ですが、それだけではないところに島津製作所の風土が現れています。

島津製作所は「失敗学原論」という名前で過去の研究の一部を紹介しています*2。

 

明治時代に有人気球に臨んだことや、贅沢すぎて普及しなかったという大正時代の扇風機。

早すぎた先進技術として、価値を認められるまでに時間がかかったヘッドマウントディスプレイというユニークなものが並んでいます。

また島津製作所の「日本初」には「マネキン」というのもあります。

 

人体模型で培った精巧さが海外でも評価されたというもので、まさに「挑戦者魂」が表れていますが、

 

 

誰も試していないこと、独創的なことをするときは、失敗がつきものです。でも、単に失敗を認めるんじゃない。認められる失敗にしてゆく、ということ。失敗を放置したり、隠したりするんじゃなくて、なぜ失敗したのかを認識して解析する。自分を理解する、それだけでなく、人に役立ててもらえるようにする。それが認められる失敗にしてゆくことなんですよ。

 

 

と綴られているのが象徴的です。

失敗も大切な自分の経験として恐れない、やり抜く、といった姿勢が好まれると考えると良いでしょう。

 

楽しむ姿勢も重要で、人事部からのメッセージとしては、

 

 

 

今起こっている「変化」に臆することなく、その変化を「楽しみ」や「ワクワク」に変え、前例に捉われず、柔軟なアイデアで物事に立ち向かっていくことが必要だと考えています。また、最後までやり遂げるという強い意志を持って、主体的に取り組む姿勢も欠かせません。

というものがあります。

研究というと硬いイメージもあるかもしれませんが、オープンで気さくな面もあり、「社員アンケート」として、社員の性格などについても公表しています*3。

 

また、チームワークを重視する企業でもあります。

イベントなどがあれば積極的に参加し、まずはその社風に触れるのが良いでしょう。意外な発見も多くあることでしょう。

 

 

4.参考にしたい書籍やサイトとまとめ

 

 

島津製作所について書かれた書籍として、「仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝」(朝日新聞出版社)」が発刊されました。

島津製作所創業以降の島津製作所の様子などが描かれ、島津製作所がこれまでいかに多くのことに挑戦してきたかを知ることのできる一冊です。

 

そして、島津製作所の理念から最新の事業概要についてまとめられている「統合報告書」は必ず目を通しましょう。広い事業展開についても一冊にまとまっているので便利です。

 

「統合報告書2020」:https://www.shimadzu.co.jp/sites/shimadzu.co.jp/files/ir/pdf/shimadzu_integrated_report_2020b.pdf

 

また、採用サイトの情報量が非常に多く充実しています。

「島津を知る」として各種データや内定者による会社紹介、事業や技術についてもわかりやすく説明されていますので、ここにしっかり目を通すだけでもかなりイメージが掴みやすくなっています。

 

「島津を知る」:https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/aboutus/

 

「想い」として、田中耕一氏からのメッセージも寄せられています。

 

「ノーベル賞研究者からのメッセージ」:https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/passion/message.html

 

積極的に多くのことをわかりやすく発信している企業ですので、まずそれをしっかりと受け取り、面接では真摯な対話を心がけましょう。

 

島津製作所 採用サイト:https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/index.html

 

 

 

参考資料/参考サイト
*1「募集要項」島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/information/guideline.html
*2「失敗学原論」島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/passion/pdf/studies/01.pdf
*3「社員アンケート」島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/aboutus/recruit/graduate/aboutus/questionnaire.html
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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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