ブリヂストンは、フランスのミシュランなど海外の名門企業をおさえて、名実ともに世界NO.1のタイヤメーカーとして活躍している企業です。
世界26カ国に約180の生産・開発拠点があり、グローバルに事業を展開しています。
天然ゴムなど原材料の生産から、小売りチェーンまで幅広く手掛けており、鉱山機械向けや航空機向けなど、超大型の高付加価値タイヤに強いのが特長です。*1
今回は、タイヤ業界で世界首位である「ブリヂストン」の、採用情報や就活対策について詳しく解説をしていきます。
これからブリヂストンに就活を考えている方は、ぜひ、参考にしてください。
1.ブリヂストンの概要
ここでは、ブリヂストンの概要について簡単に解説をしていきます。
①ブリヂストンの企業理念
ブリヂストンの企業理念は「最高の品質で社会に貢献」というもの。
これは、創業者が社是として制定したもので、ブリヂストンでは「不変の使命」として掲げています。
その使命を果たすために、社員には「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」の4つの心構えを、常に実行することを要求。
この4つの心構えを行い、世界中のすべての人に信頼され、自らも誇りを持てる企業を目指しています。*2
②デジタルトランスフォーメーション(DX)が今後の鍵
近年、ブリヂストンでは、中国勢による低価格攻勢で利益率は低下傾向にあります。
しかし、これを反転させるための取り組みとして「賢いタイヤ」の製品化を実現しました。
製品の特長は、タイヤに各種のセンサーを取り付け、摩耗の度合いや空気圧を測ることで、燃費改善の提案や計画的なタイヤ交換につなげるというものです。
すでに航空機用タイヤで日本航空に対してサービスの提供を始め、今後は陸運会社にも対象を広げるとのこと。
今後の経営のあり方としては、デジタルを介して顧客と持続的な関係を結び、収益機会を広げる、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が鍵となるとみなされています。
石橋秀一 最高経営責任者はDXを「新たな創業」と位置づけ、人材育成や提携も加速する考えです。*3
2.ブリヂストンの採用情報・従業員データ・待遇面
ここでは、ブリヂストンの採用情報・従業員データ・待遇面などについて詳しく解説をしていきます。
①ブリヂストンの新卒採用情報
ブリヂストンで募集されている新卒向けの職種は、事務職・技術職です。
ここでは、採用情報をご紹介していきましょう。
【採用情報】
職種 | 事務職 | 技術職 |
応募資格 | 大学学部・修士・博士課程を卒業 (修了) 見込み 既卒の新卒採用あり |
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募集学科 | 全学部全学科 | 技術系:機械、物理、化学、金属、材料、電気、電子、制御、情報、経営工学 |
初任給 | 修士了 24万7,000円 大学卒 22万5,600円 |
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勤務時間 | 本社 9:00~17:30 小平技術センター 8:30~17:00 横浜技術センター/工場 8:15~16:45 |
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休日休暇 | 週休2日制 (土・日/事業所により年数回土曜出社有り) 、祝日、年間休日数120日、有給休暇・慶弔休暇など | |
福利厚生 | 雇用、労災、健康、厚生年金、所定時間外手当、家族給、住宅給、通勤費など |
図1 参考)ブリヂストン「新卒採用 募集要項:事務系」「新卒採用 募集要項:技術系」を参考に筆者作成
②ブリジストンの従業員のデータ
ブリヂストンの2019年における従業員データは下図2の通りです。
【ブリヂストンの従業員データ】
従業員数 | 全体6,100人(平均年齢42.3歳・平均勤続年数15.3年) 男性4,893人(平均年齢42.8歳・平均勤続年数15.9年) 女性1,207人(平均年齢40.3歳・平均勤続年数12.9年) |
一般社員 離職率 | 2.50% |
3年後新卒 離職率 | 8.00% |
平均年収(総合職 平均42.3歳) | 868万円 |
図2 参考)就職四季報 総合版 2021年 「ブリヂストン」P324を参考に筆者作成
図2のデータを参照すると、ブリヂストンの平均年齢は全体で42.3歳、平均勤続年数は15.3年となっています。
男女別では、男性の平均年齢は42.8歳、平均勤続年数は15.9年。女性の平均年齢は40.3歳、平均勤続年数は12.9年となっており、男性の方が平均勤続年数、平均年齢ともに高めです。
従業員数も、男性が全従業員数の約80%を占めており、女性より多めです。
総合職の平均年収(平均42.3歳)は868万円となっています。
③入社後の休暇・育休の実態
ブリヂストンに入社した後の、有給などの取得日数、育休の取得者数などをまとめた表は下図3の通りです。
夏季休暇は連続6日、有給取得日数は17.1日で取得率は86%と高めです。
育休取得者数172名のうち、男性の取得者は26名。育休は、子どもが1歳6カ月到達後の4月末または2歳になるまでの、どちらか長い方を取得できます。
【ブリヂストンに入社後の休暇・育休の実態】
夏季休暇 | 連続6日 |
年末年始休暇 | 連続8日 |
有給取得 | 17.1/20日 |
育休期間と取得者数 | ・1歳6カ月到達後の4月末または2歳になるまでの長い方 ・取得者数は172名(男性は26名) |
図3 参考)就職四季報 総合版 2021年 「ブリヂストン」P324を参考に筆者作成
3.求める人材や採用・試験情報
ここでは、ブリヂストンが求める人材像やエントリーの流れ、試験情報などについて詳しく解説をしていきます。
①求める人材像
ブリヂストンが求める人材像は「目的に向け周囲と協調し、グローバル競争の中で主体的に挑戦できる人」です。*4
②エントリーの流れ
エントリーの流れとしては、こちらの順番で行っていきます。
【採用プロセス】(3月~6月)
a.総合職
- ES提出・SPI3(テストセンター)
- 面接(3回)
- 内々定 *5
a.技術職
- ES提出・SPI3(テストセンター)
- 面接(1~2回)
- 内々定<推薦>書類提出
- SPI3(テストセンター)・技術面接
- 内々定 *6
③ブリジストンの新卒試験情報
試験において重視される科目は「面接・SPI3」です。
面接では、総合職は「学生時代に一番力を入れたことについての取り組み姿勢・考え方・成果」など。
技術職は「学生時代の研究内容および研究以外で力を入れたことについての取り組み姿勢・考え方・成果」などについて問われます。
なお、ESテーマは非公開です。*7
④採用数と採用実績校
ブリヂストンにおける各年度の採用数をまとめた表がこちらです。(下図4)
【総合職 採用数:男女別】
年度 | 男女別採用実績 |
2018年 | 86名(男57 女29) |
2019年 | 117名(男79 女38) |
2020年 | 122名(男86 女36) |
図4 参考)就職四季報 総合版 2021年 「ブリヂストン」P324を参考に筆者作成
2020年4月入社者の採用実績校/学歴フィルターは下記の通りです。
文系:(大)慶大、法政大、東大、上智大、青学大、同大、立命館大、学習院大、阪大、神戸大、明大、北大、京大、早大、東京外大、関西学大、九大、広島大、ICU、お茶女大など
理系:(院)早大、東理大、東北大、慶大、北大、埼玉大、上智大、お茶女大、筑波大、中千葉大、京大、東工大、東大、埼玉大、名大、東理大、広島大、神戸大など *8
4.国内・世界ともにタイヤ業界のNO.1
ブリヂストンは国内でもダントツの売上を誇っていますが、世界でもフランスのミシュランをおさえて堂々のNO.1となっています。
ここでは、タイヤメーカーの国内・世界ランキングをご紹介していきます。
①国内タイヤメーカーランキング
国内タイヤメーカーランキングは、下記の表の通りです。(図5)
【国内タイヤメーカーランキング】
順位 | メーカー | 売上高 |
1位 | ブリヂストン | 3兆5,256億円 |
2位 | 住友ゴム工業 | 8,933億円 |
3位 | 横浜ゴム | 6,504億円 |
4位 | TOYO TIRE | 3,774億円 |
図5 参考)会社四季報「業界地図」2021年版「タイヤ」 P54
参照すると、ブリヂストンが他のタイヤメーカーより圧倒的な強さで首位の座を勝ち取っていることがわかります。
ブリヂストンの製品は、鉱山用タイヤやパンクに強いランフラットタイヤなど、高付加価値品が多いのが特長です。
第2位となった住友ゴム工業は「ダンロップ」が主力商品ですが、省燃費タイヤ「エナセーブ」も開発し、ゴルフ用品にも強みを見せています。
第3位の横浜ゴムは「アドバン」などスポーティータイプに定評があり、2016年には農機用に強いオランダのアライアンス社を買収しました。
第4位であるTOYO TIREは、高付加価値の北米SUV用タイヤに強く、ミニバン専用タイヤ「トランパス」、低燃費タイヤ「ナノエナジー」が好評です。*9
②世界タイヤメーカーランキング
世界タイヤメーカーランキングは、下記の表の通りです。(図6)
【世界タイヤメーカーランキング】
順位 | メーカー | 売上高 |
1位 | ブリヂストン(日本) | 3兆5,256億円 |
2位 | ミシュラン(フランス) | 2兆8,889億円 |
3位 | ザ・グッドイヤー・タイヤ&ラバー・カンパニー(アメリカ) | 1兆5,865億円 |
4位 | コンチネンタル(ドイツ) | 1兆4,038億円 |
5位 | 住友ゴム工業(日本) | 8,933億円 |
6位 | ピレリ(イタリア) | 6,732億円 |
図6 参考)会社四季報「業界地図」2021年版「タイヤ」 P54
参照すると、ブリヂストンは、国内だけでなく世界でもNO.1の売上高です。
ヨーロッパやアメリカのタイヤ名門企業をおさえ、名実ともに業界のキングとして君臨しています。
2位の座にいるミシュランはフランスのタイヤ名門企業で、タイヤの世界初製品化など技術力に定評。
3位のザ・グッドイヤー・タイヤ&ラバー・カンパニーもアメリカの名門企業で、世界3強の1社ですが、近年では上位2社と徐々に差が出てきています。
4位のコンチネンタル(ドイツ)は、ヨーロッパでトップクラスのメーカーで、ブレーキやセンサーなど自動車部品でも強みを持つ企業です。
5位には、日本の住友ゴム工業がランクインし、メイドインジャパンの底力を見せています。
6位となったピレリはイタリアのメーカーですが、2015年に中国の国有化学大手の中国化工集団が9200億円で買収しました。*10
高級品に強みを持ち、F1に単独で供給をしています。*11
5.まとめ
今回は、タイヤ業界で世界首位であり、グローバルに事業を展開している「ブリヂストン」について、詳しく解説をしていきました。
消耗品であるタイヤは、自動車関連産業の中では安定している業界でした。
しかし、新型コロナ感染拡大により、世界中で自動車の生産・販売が落ち込み、なかなか回復の目途は立ちません。
これからは、世界の自動車需要の回復時期と回復度がどの程度になるのかが焦点となります。
また、自動車の自動化や電動化の動きは進んでおり、ブリヂストンを始めとする大手タイヤメーカーが、どのような対応を見せるのかが注目されるところです。
*2 参考)ブリヂストン「企業理念」
*3 参考)日本経済新聞「社説 企業は3つの変革で成長力の強化を」
*9・11 参考)会社四季報「業界地図」2021年版「タイヤ」 P54
*10 参考)日本経済新聞「中国国有化学、伊タイヤ大手ピレリを9200億円で買収」