1.未来工業について
ここでは未来工業がどんな会社なのかについてご紹介をしていきます。(1) 会社の概要
未来工業の会社概要をまとめた表は以下の通りです。 【会社概要】商号 | 未来工業株式会社 |
業種 | 電気設備資材、給排水設備資材及びガス設備資材の製造並びに販売 |
代表製品 | 合成樹脂製可とう電線管、硬質塩化ビニル電線管、ケーブル配線用スイッチボックス、地中埋設管 |
設立 | 1965年8月 |
資本金 | 70億6,786万円 |
売上高 | 連結:375億73百万円 単体:286億10百万円(2020年3月期) |
従業員数 | 連結:1,221名 単体:840名(2020年3月20日現在) |
平均年齢 | 46歳7か月 |
平均勤続年数 | 22年4カ月 |
平均年収 | 6,643,380円 |
事業所 | 支店:仙台/新潟/東京/名古屋/大阪/中四国/福岡 【7支店】 営業所:札幌/旭川/盛岡/仙台/郡山/新潟/松本/北陸/水戸/さいたま/ 東京/千葉/横浜/静岡/名古屋/大垣/大阪/神戸/高松/松山/広島/ 福岡/大分/長崎/熊本/鹿児島/沖縄 【27営業所】 工場:札幌/山形/茨城/大垣/垂井/熊本 【6工場】 |
(2) 採用情報
採用情報は以下の通りです。 【採用情報】募集職種 | 開発・営業・製造・生産技術 |
応募資格 | 大学、大学院、短大、高専を卒業見込み ※既卒は29歳まで |
勤務時間 | 【開発】8:30~16:45 フレックスタイム制 【営業】8:30~16:45 フレックスタイム制 【製造】3交替制:第1組 08:30~16:45 第2組 16:00~00:15 第3組 00:15~08:30 【生産技術】8:30~16:45 フレックスタイム制 |
勤務地 | 【開発】 岐阜・東京 【営業】 鹿児島 【製造】 岐阜(大垣・垂井)・茨城 【生産技術】 熊本 |
初任給 | 大学院卒 月給209,900円 大学卒 月給199,100円 短大・専門・高専卒 月給168,800円 |
休日 | 完全週休2日制(土・日・祝)、GW、夏季、年末年始 年間休日141日(2019年度実績) 有給休暇・慶弔休暇 |
福利厚生 | 自己啓発援助、クラブ活動、給食手当、制服手当、社員旅行、70歳定年 他 |
2.未来工業がホワイト企業といわれる理由
「未来工業」が、ホワイト企業の代表格として知られている理由は6つあります。 その内容は以下の通りです。(1)第1回ホワイト企業大賞を受賞
未来工業は2015年2月3日、「第1回ホワイト企業大賞」を受賞しました。 年間休日数が日本で一番多く、実に140日です。 もちろんこれとは別に、最大で40日間の有給休暇も設定されています。 1年のうち180日間が休み、つまり1年の半分が休みといえば、驚く人も多いのではないでしょうか。 しかも平均年収も660万円であり、驚くような待遇です。 創業者である山田昭男氏は当時 「一般的な企業経営の常識からはかなり外れたオペレーションにもかかわらず、業績は良く、利益率は業界一、岐阜県でも最高」 とコメントをしていました。 これほどまでに社員に尽くしている企業は他になく、「第一回ホワイト企業大賞」受賞にふさわしい企業であると認定されている企業です。*1(2) 従業員を感動させるためのワーク・ライフ・バランス施策を充実
未来工業では、魅力ある中小企業とならなければ「良い人財」を確保することができないと考えています。 そのため「自社が良い会社となり、従業員を感動させることができれば従業員は一所懸命に働き、お客様を感動させることができるはず」という考えを重んじてきました。 そのような理念に基づいて独自の取組みを実施し、社会的にも高く評価をされています。 家庭と仕事の両立支援のために法を上回る制度整備を整え、普段から「育児・介護・仕事」との両立ができる、従業員を感動するワーク・ライフ・バランス施策を充実させている企業です。*2(3) 誰もがずっと幸せに働ける環境を整えている
未来工業では、ベテランも若手も、女性も男性も全ての従業員がずっと幸せに働くことのできる環境を整えています。 人生100年時代に向けて「70歳定年」を導入。60歳~70歳の間で定年の時期を自分で選択することが可能です。将来の心配がなく働けるため、ほとんどの社員が70歳まで働きたいと言っています。 また福利厚生制度が非常に充実しており、昼食補助や自己啓発支援制度、クラブ活動、社員旅行など、社員のキャリアアップの手助けやプライベートでも楽しめる施策を提供している企業です。 昼食補助など細やかな気配りも見逃せません。*3(4) 残業ゼロでも経常利益率は10%台を維持
未来工業では繫忙期以外は原則、残業が禁止です。終業時刻になると社長が自らフロアの電気を消して回ったこともあります。 それでも経常利益率は10%台を維持しており業務に支障はありません。 違法であるサービス残業を放置し、見て見ぬ振りを会社が続ければ、従業員の「やる気」は確実に下がると考えています。 「やる気」の存在しない会社は業績が上がらず、結果として利益が生まれるはずもないからです。 未来工業が一番大切にしているのは、いかに社員のモチベーションが向上するかということであり、従業員の「やる気」は会社の財産であると公言しています。*4(5) 不満要因は初めから作らない
未来工業では、不満要因になると思われることについては初めから排除するという方針です。 未来工業の前代表取締役であった瀧川氏の発言として「『法令で定められているから』というような義務的な取り組み方では『やる気』は育たない」というものがありました。 未来工業の従業員は全て「正社員」として雇用されていますが、それは「同様の能力で、同様の仕事をしているのに、待遇が異なれば不満が出て当然」という理由からです。 「会社が従業員に対する責任を果たさずして、従業員が『やる気』を持って仕事に取り組めるわけがない」と瀧川氏は断言。 また、給料面でも従業員の気持ちを配慮し、自分の仕事や会社に誇りを持って働けるように、同社が所在する地域の平均給与額以上の金額を設定しています。*5(6) 「やる気」と「未来の可能性」へ先行投資
未来工業では、社会人向けの講座を提供している産業能率大学と提携して、従業員が自由に好きなコースを会社負担で受講できるシステムを設けています(コース修了者のみ授業料 を全額支給)。 コースの内容は業務内容に関係がないものでもかまいません。 なぜなら、このシステムを利用する各従業員が生活に張り合いを持ち、「やる気」を持って仕事に取り組めるようになることが目的だからです。 取得した資格や知識を職場で活かせる機会があれば、それは従業員の「やる気の育成」と「未来の可能性」に対する先行投資であると考えています。*6
図3 引用)中小企業庁「信頼できる企業を目指して 企業の社会的責任・人権啓発」p4
3.未来工業は日本一、従業員にやさしい会社
未来工業はそのユニークな制度内容で「日本一、従業員にやさしい会社」として有名です。 ここでは未来工業の「従業員にやさしい施策」について、詳しく解説をしていきます。(1) 未来工業のユニークな人事施策
未来工業で実施されているユニークな人事施策は以下の通りです。 【未来工業のユニークな人事施策一覧】施策名 | 内容 |
全社員が正規雇用 | ・パートタイマー、アルバイト、派遣社員など非正規社員は雇用しない ・育児休職者が発生した場合などやむを得ない場合は派遣社員を利用している |
休日数日本一 | ・年間休日数は有給休暇を除き約140日 ・夏休みは10日間、年末年始は20日間、飛び石連休の場合は中日も休日 |
所定労働時間は7時間15分 | ・会社の所定労働時間は7時間15分 ・終業時刻は16時45分 |
残業禁止 | ・原則、残業は禁止 ・繁忙期は必要最低限の残業を認めている |
副業OK | ・仕事に影響が出なければ勤務時間後や休日のアルバイトを認めている |
報・連・相の禁止 | ・上司に対する「報告・連絡・相談は禁止」とされている ・創業者 山田昭男氏の「社員は自律的に働くべき」という理念を示したもので実際には行われている |
新人にも大きな裁量を付与 | ・新人社員であってもやる気があれば仕事を任せてもらえる ・失敗しても叱責されることはない |
最長3歳までの育児休業 | ・育児休業は子どもが3歳になるまで ・何度でも取得することができる |
5年に一度海外旅行を実施 | ・5年に1度の割合で海外での社員旅行を実施 ・希望者は全員参加でき費用は会社が負担 ・旅行中のクイズ大会で全問正解した社員には1年間の有給休暇を与えるといった内容の企画が組まれることもある |
クラブ活動への補助 | ・社内のクラブ活動に対して活動内容にかかわらず1万円の活動費を補助 ・所属人数が5名以上であることが要件 |
自己啓発支援 | ・社員が受講する通信教育の受講料を会社が負担 ・会社が指定した資格を取得した場合、手当を退職するまで支給 |
改善提案制度の実施 | ・1997年から社内提案制度を実施 ・提案1件に対し内容にかかわらず500円を支給 ・提案が採用された場合、最大3万円の報奨金を支給 |
(2) 社員のモチベーションを上げるのが目的
未来工業には「5年に1度の海外への全社社員旅行」「70歳定年」「年間休日140日」「残業禁止」など様々な社内制度があります。 他の企業では類を見ない取り組みですが、これらの制度は全て社員のモチベーションを上げるのが目的です。 例えば年間休日140日は、優秀な人材に来てもらえるためにはどうすればいいかと考えたことから始まっています。 なぜかというとバブル期には製造業は3K(きつい・きたない・きけん)と呼ばれ、就職活動の中で製造業というだけで候補から外されるという風潮があったからです。 残業しないということは、定時の時間の間にいかに集中できるかが勝負であり、その集中力を高めるためにも、海外旅行に5年に1度連れて行くということも必要と考えています。 業務を効率的に行うためには「社員のモチベーション」は重要であり、定められた時間内で完了できれば、残業代もかかりませんし光熱費などの経費も削減できるのです。 このように未来工業は、社員を大切にすることによって会社の業績を上げる事を実際に成功しています。*74.未来工業のまとめ
今回は日本一、ホワイトな企業であると評判が高い優良企業である「未来工業」について、詳しく解説をしていきました。 未来工業は従業員を大切にすることにより、会社を発展させてきた企業です。 業績は設立以来、赤字ゼロで社員の平均年齢は46歳であり、安定した環境で長く働けます。*8 優良企業の定義である「成長性の高い企業」「ここで働き続けたいという人が多い企業」「社員を大切にする企業」という全ての要素が、未来工業には備わっています。 ただ、お金のためにだけ働き続けるのではなく、人生も楽しみながら生きがいを持って働くことも必要です。 未来工業は、これからも社員と共に明るい未来を目指して、ともに発展していくことを目指しています。参考資料/参考サイト
*1 参考)ホワイト企業大賞「第1回表彰企業」
*2 参考)厚生労働省「女性の活躍・両立支援」未来工業株式会社
*3 参考)未来工業「教育制度・福利厚生」
*4 参考)中小企業庁「信頼できる企業を目指して 企業の社会的責任・人権啓発」P3
*5・6 参考)中小企業庁「信頼できる企業を目指して 企業の社会的責任・人権啓発」P4
*7 参考)リクルート「社長 山田雅裕さんに問う ―ノルマ・残業ゼロで高収益を生む未来工業のしくみ」
*8 参考)未来工業「未来工業を知る」