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会社を退職し、独立してフリーランスで働くことを決意 最初にすべき必要な手続きは?

フリーランスとは、会社や特定の組織に所属せず、案件ごとに個人や企業と契約して仕事をする働き方です。

フリーランスには

「働く時間や場所を自由に選べる」

「自分の経験やスキルを活かして働ける」

といったメリットがあるため、多様で柔軟な働き方として注目されています。

会社を辞めて独立し、フリーランスになることを検討している方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、フリーランスとして働くには必要な手続きがあり、準備しなければならないこともたくさんあります。

今回は、独立してフリーランスで働くために必要な手続きや準備について説明します。

 

1.日本のフリーランス人口は増加傾向にある

 

まずは、日本のフリーランスの現状を確認しておきましょう。

内閣府の資料によると、日本のフリーランス人口は増加傾向にあり、副業として働く人も含めて306~341万人程度と推計されています。*1

 

また、内閣官房の調査によれば、日本のフリーランスの年齢構成は40代以上が全体の7割以上を占めています。*2

フリーランスを選択した理由については、「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が約6割で、「働く時間や場所を自由にするため」が約4割です。

内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)P3」

引用:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)P3」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/report.pdf)

 

 

働き方の満足度は高く、7割以上のフリーランスが「仕事上の人間関係」「就業環境(働く時間・場所)」「プライベートと両立」「達成感や充実感」に満足しています。

一方で、収入に満足しているフリーランスは4割にとどまっています。

内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)P4」

引用:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)P4」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/report.pdf)

 

フリーランスは働き方の満足度は高いものの、仕事がないと収入を得られないデメリットもあります。

フリーランスとして長く働くには、安定した仕事・収入の確保が課題になるでしょう。

 

2.会社を辞める前にやっておくべきこと

 

ここからは、独立してフリーランスで働くために必要な手続きや準備について説明していきます。

会社を辞める前にやっておくべきことは以下3つです。

 

事業計画を立てる

会社を辞める前に、独立後の事業計画を立てておきましょう。

売上や経費の見込額、利益が出る時期の見通し、資金繰りなど、しっかりとした事業計画を立てたうえで、独立してやっていけるかを検討することが大切です。

計画や見通しが甘いと、独立してから後悔することになりかねません。

「A案、B案、C案」のように、事業計画を複数準備しておけば、思うようにいかなくても途中で修正できます。

また、まずは副業からスタートして、ある程度の利益を確保できる見通しが立ってから独立するのもひとつの方法です。

 

貯金しておく

独立してフリーランスで働くなら、会社員で働いているうちに貯金しておくことも大切です。

独立後、仕事が軌道に乗るまでに時間がかかるかもしれません。

思うように収入が得られない時期は、貯金を取り崩して生活することになります。

独立前に最低でも半年、できれば1年は無収入でも生活できる貯金を用意しておくと安心です。

 

クレジットカードを作っておく

フリーランスは会社員に比べると社会的信用が低いため、独立後はクレジットカードを作りにくくなります。

クレジットカードが必要な場合は、会社員のうちに作っておきましょう。

事業で使う事務用品などをクレジットカード決済で購入する予定なら、プライベート用と事業用でカードを分けるほうが、経理処理は楽になります。

 

3.フリーランスで働くために必要な手続き

 

独立してフリーランスで働くには、以下の4つの手続きが必要です。

 

開業届の提出

フリーランスとして新たに事業を開始したときは、「個人事業の開業・廃業等届出書」を最寄りの税務署に提出します。

開業届の提出期限は「事業を開始した日から1か月以内」なので、忘れずに提出しましょう。*3

開業届には、商業上の名である「屋号」を記入できます。

屋号は必ず必要なものではありませんが、店舗や事務所がある場合は屋号があると便利です。

 

青色申告承認申請書の提出

フリーランスになると、1年間の収入と経費をまとめて自分で確定申告しなくてはなりません。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

青色申告は複式簿記で帳簿をつける必要がありますが、「青色申告特別控除」などの特典があるので、白色申告に比べると節税効果が高くなります。

 

青色申告を選択する場合は、最寄りの税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

提出期限は「青色申告をしようとする年の3月15日まで」ですが、新たに事業を開始した場合は「事業開始日から2か月以内」となっています。*4

開業届と一緒に提出するとスムーズに手続きできるので、事前に準備しておきましょう。

 

国民年金の手続き

会社員は厚生年金に加入し、保険料の支払手続きは会社が行ってくれます。

しかし、独立してフリーランスになると、国民年金保険料を自分で払うことになります。

国民年金の手続きは、居住している自治体(区役所、市役所など)で行います。

手続きの際は、年金手帳や本人確認書類、退職日が確認できる書類などが必要です。

 

健康保険の手続き

独立してフリーランスになると、国民年金のほかに健康保険の手続きも必要です。

退職後は国民健康保険に加入するか、今まで加入していた健康保険を任意継続するかを選択できます。

国民健康保険に加入する場合は、居住している自治体で手続きを行いましょう。

退職後2年間は、会社の健康保険を任意継続することも可能です。

ただし、会社員のときは被保険者と会社の折半で健康保険料を払いますが、フリーランスになると会社が負担してくれていた保険料も払うことになるので注意が必要です。*5

 

4.フリーランスに必要なお金に関する準備

 

フリーランスに必要なお金に関する準備は以下2つです。

 

事業用口座を作る

フリーランスで働くなら、プライベートの口座と別に事業用口座を作っておくと便利です。

確定申告で青色申告を選択すると、複式簿記による記帳が必要になります。

事業用口座を作っておけば、プライベートと仕事のお金を明確に分けられるので、経理処理が楽になります。

必ず必要になるわけではありませんが、屋号付きの口座を作ることも可能です。

店舗や事務所を運営し、屋号で取引先とやり取りするなら、屋号付きの口座のほうがいいかもしれません。

屋号付きの口座を開設する場合は、開業届が必要です。

 

会計ソフトを用意する

フリーランスで働くときに用意しておきたいのが「会計ソフト」です。

会計ソフトがあれば、簿記の知識がそれほどない方でも、複式簿記で帳簿を作成できます。

最近では、銀行口座やクレジットカードと連携し、入出金や支払データを取り込んで自動仕訳ができるソフトもあるので、経理処理にかかる時間を大幅に削減できます。

資金に余裕があるなら税理士に依頼する方法もありますが、顧問料が発生するので、予算に応じて判断しましょう。

また、会計ソフトと併せて、売上管理や請求書発行ができる「請求書作成ソフト」も用意しておくと便利です。

 

5.フリーランスの仕事環境に関する準備

 

フリーランスで働くには、仕事環境に関する準備も必要です。まずは働く場所を決めましょう。

ライターやデザイナーなど、リモートワークが可能な仕事であれば、まずは自宅で問題ありません。

自宅では仕事に集中できないときは、コワーキングスペースなどを利用するといいでしょう。

仕事で自宅の住所を使いたくない場合は、バーチャルオフィスを利用する方法もあります。

開業届やホームページなどにバーチャルオフィスの住所を記載でき、クライアントとの打ち合わせなど、必要に応じて会議室も利用できます。

事務所を借りるとまとまったお金が必要になるので、最初はなるべくお金をかけず、小さく始めるといいでしょう。

 

また働く場所が決まった後に、最低限準備しておきたいのは以下のようなものです。

 

  • 名刺
  • 印鑑(屋号印など)
  • 通信環境(インターネット回線、電話など)
  • パソコン
  • プリンター、コピー機
  • 机、椅子、事務用品

 

仕事やクライアントとのやり取りに支障が出ないように、特に通信環境やパソコンはしっかり準備しておくことが大切です。

 

6.まとめ

 

ここまで説明したように、独立してフリーランスで働くにはさまざまな手続きや準備が必要です。

会社員であれば勤務先の担当部署が対応してくれますが、フリーランスはすべて自分でやらなくてはなりません。

独立後、スムーズに仕事に取り組めるように、余裕をもって準備を進めましょう。

 

参照データ
*1参考:内閣府「政策課題分析シリーズ17 日本のフリーランスについて(要旨2)」
www5.cao.go.jp/keizai3/2019/07seisakukadai17-2.pdf
*2参考:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)P2」
www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/report.pdf
*3参考:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
*4参考:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」
www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
*5参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)「会社を退職するとき」
www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3070/r147/

執筆者
大西 勝士
金融ライター(AFP、2級FP技能士)
フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

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