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収入増が目的なら転職ではなく副業も選択肢に 但し関連する法律を必ず抑えておこう
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働き方改革・新型コロナウイルスなどの影響により、副業という働き方にいっそうの注目が集まっています。

 

本業・副業のダブルワークを行うと、単純に収入が増えるメリットがあるほか、一つの会社に依存しない働き方という意味でのリスク分散にも繋がるでしょう。

 

しかし、ダブルワークをするということは、本来有限である知力・体力などを複数の仕事に分散しなければならないことを意味します。

また、特に本業・副業ともに雇用の形で働く場合、社会保険料の支払いや時間外労働の観点から、本業と副業の間での調整事項が発生します。

 

「本業を疎かにせず、副業と両立する」と気持ちの上では考えていても、上記のような事情から、実際には副業が本業に影響を及ぼしてしまう可能性は大いにあります。

そのため、実際に副業を始める際には、ダブルワークの注意点について事前によく理解しておき、うまく本業と副業のバランスを取れるように調整することが大切です。

 

そこでこの記事では、ダブルワークをする際の注意点・落とし穴を中心に解説します。

 

1.データでみる副業者・副業希望者の実態

 

副業・兼業の現状②

(出典:「副業・兼業の現状②」(厚生労働省労働基準局提出資料)p1)(https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000361728.pdf)

 

上記は2017年に行われた、厚生労働省による複数就業者についての実態調査における、

 

「現在仕事をしているかどうか」

「仕事をしている場合、副業をしているかどうか」

 

2点についての調査結果です。

なお、この調査は10代から60代までをターゲットとして、無作為抽出の方法によって行われています。

 

このデータによると、仕事をしていると回答した者のうち、副業に従事しているのは約7.2%となっています。

しかし、最近では働き方改革や、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務などの影響もあり、さらに副業者の割合は増えていることが予想されます。

 

副業・兼業の現状①

(出典:「副業・兼業の現状①」(厚生労働省労働基準局提出資料)p1)(https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000361727.pdf)

 

2.ダブルワークの注意点|副業が本業に与える影響に注意

 

①ダブルワークは労働時間過多になりやすい

副業をしている人/していない人の本業の平均労働時間

カテゴリ平均労働時間/週
副業をしていない人本業のみ39.66時間
副業をしている人本業+1社44.91時間
本業+2社53.17時間
本業+3社66.66時間

(「副業・兼業の現状②」(厚生労働省労働基準局提出資料)p24https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000361728.pdfより作図)

 

 

上記は、副業をしている人・していない人が1週間にどのくらいの時間働いているかを示すデータです。

 

このデータによると、副業をしていない人の1週間あたりの平均実労働時間は39.66時間となっています。

これに対して、副業1つの場合は44.91時間、2つの場合は53.17時間、3つの場合は66.66時間と、副業をかけ持つ数が増えるほど、週の労働時間は長くなる傾向にあります。

 

副業をする人の労働時間が長くなりがちな原因の一つとして、別の職場でどのように働いているかが雇用主などからは見えづらいということが挙げられます。

たとえば本業の雇用主からは、労働者が副業先の現場でどのくらい働いているのかがわかりづらいため、業務の調整をしようにも判断材料が少なくなってしまいます。

このことは、副業先の雇用主などから見ても同じことがいえるでしょう。

 

結局、本業・副業間の業務量の調整を行わなければならないのは、ダブルワークを行う労働者本人ということになります。

したがってダブルワークをする際には、

 

「健康を害しない」

「家族との時間を確保する」

「本業の勤務に支障を来さない」

 

などといった線引きを自律的に行い、本業・副業それぞれの業務量を自ら適切にコントロールする姿勢が大切です。

 

②就業規則上、副業OKかどうかを確認すべき

本業が雇用契約である場合には、労働者に対して就業規則が適用されるところ、就業規則の中ではしばしば副業・兼業を禁止または許可制とする旨が規定されています。

 

このような就業規則上の規定を無視して副業を行った場合、就業規則違反として懲戒処分が科される可能性があるので注意が必要です。

 

もっとも、副業・兼業を一律禁止するような就業規則上の規定の有効性には疑義があることも事実であり、また現実には本業の職場に黙って副業を行うケースも見受けられます。

 

本記事では、就業規則違反に該当する無許可での副業・兼業を推奨するものではありません。

しかし仮に本業の職場に伝えずに副業を行う場合には、人事・経理上の問題から本業・副業間の調整が生じないようにすることが必須です。

 

特に後述する社会保険料および時間外労働に関する調整の問題が生じることから、本業の就業規則で副業・兼業が禁止されている場合には、雇用×雇用の形態によるダブルワークは避けた方が良いでしょう。

 

③雇用×雇用のダブルワークについて生じる社会保険料と時間外労働の調整問題とは?

本業が雇用契約、副業も雇用契約という形でダブルワークを行う場合、それぞれの収入を合算した金額を基準として社会保険料が決定されます。

決定された社会保険料は、本業・副業の収入割合に応じて按分を行い、各事業所において労使折半で支払います。

 

当然この場合、本業の会社は、労働者が副業をしている事実を知ることになります。

 

また、雇用×雇用のダブルワークの場合、労働基準法上の時間外労働に関する規定は、本業と副業の労働時間を通算した時間数について適用されることになっています。

 

たとえば、1日の法定労働時間は8時間とされているところ(労働基準法322項)、同じ日に副業で3時間働いてから本業で6時間働いたとしましょう。

この場合、本業の最後の1時間分の労働は、法定労働時間である8時間を超過した時間外労働として、25%以上の割増賃金の対象となります(同法371項)。

 

このように、雇用×雇用の形でダブルワークをする場合、副業での働き方が、法制度上本業に影響を生じてしまうケースがあるのです。

 

④雇用×業務委託のダブルワークであれば、調整問題は生じない

一方、雇用×業務委託のダブルワークの場合は、上記のような調整問題は生じません。

 

本業が雇用契約である場合、業務委託による副業で得た収入は、社会保険料の算定基礎に含まれません。

また、時間外労働に関する規定は、業務委託による副業に対しては適用がありません。

 

したがって、本業・副業が相互に与える法制度上の影響を最小限に抑えたい場合は、雇用×雇用の形態ではなく、雇用×業務委託の形態を選択した方が良いといえるでしょう。

 

3.まとめ

 

働き方改革・コロナ時代において、空いた時間で収入を増やせるダブルワークはたしかに魅力的な選択肢です。

 

しかし、本業・副業間の調整には難しい問題も潜んでいるため、どのような働き方をするかについては事前にある程度検討しておくことが大切でしょう。

 

もし副業をするに当たって、本業との兼ね合いなどの面で不安がある場合には、弁護士や社会保険労務士などの専門家に一度相談をして、意見を聞くことも有効です。

 

ぜひご自身に合った働き方を試行錯誤の上で見つけていただき、より充実したワーク・ライフ・バランスを実現してください。

 

 

執筆者
名前:弁護士YA
プロフィール:大手法律事務所にて弁護士として勤務。在職中は金融関連案件を中心に、多数の企業法務案件に従事。大手法律事務所退職後、現在は本業の弁護士業務と並行して、法律・金融関係を中心に幅広いジャンルの記事執筆を行う。
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