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憧れの海外での就職・転職 事前準備で必要な書類や手続は?マレーシア移住を例に解説

憧れの海外での就職・転職 事前準備で必要な書類や手続は?マレーシア移住を例に解説

海外での就職が決まった場合、ビザが降りて渡航準備を始めると、突然忙しくなります。

海外移住と転職を同時にしなくてはならないからです。

 

それも、はじめて海外に住む人にとっては、国内の移住と違って、言葉も常識も法律も異なる世界に行くのですから、なかなか大変です。

 

特に、日本を出ずに就職活動をして採用された場合は、ビザを入手し、住民票を抜き、年金の手続きをし、実際に渡航し、住むところを決めます。

 

さらに細かいところで言えば、以下のような作業があるでしょう。

 

・現地へ必要な荷物の送付(受け取りの手配)

・大使館への在外登録

・住居の契約

・保険契約

・銀行口座の開設

 

これらの作業を、時に慣れない外国でやる必要があるのです。

 

これら手続きをすべて会社がサポートをしてくれる場合もありますが、必ずしも期待できるわけではありません。

 

自分で行う場合、現地の人脈もなければ知識も常識もない中、現地語で交渉を行うことになるため、大きなストレスとなるでしょう。

できれば、現地にいる人の力を借りて、解決するのが理想です。

 

順番に解説します。

 

 

1.「海外での就職・転職」寮があるなら、利用を検討する

 

まず、いちばん重要なのが住まい探しです。

会社によっては、社員用の寮を用意していることもあります。

 

筆者が住むマレーシアの場合、まだまだ家族向けの大きな物件が多く、単身者向けのアパートなどは割高になることもあります。

そこで、単身者に向けては、会社が家族用のコンドミニアムを借り上げて、シェアハウスとして提供しているケースが多くみられます。

一般のコンドミニアムの借り上げになるのか、会社が持っている建物かによっても雰囲気は異なりますから、確認しておくと良いでしょう。

赤の他人と住むのが苦手な方や、同僚が近くにいると休日にリフレッシュできないという悩みもありますので、十分な注意が必要です。

また、会社が用意すると言っていた寮がなかなか借りられず、ホテル暮らしが長くなってしまった、というケースもあります。

 

寮を用意してくれるケースでも、通勤経路の確認は重要です。

BPO(Business Process Outsourcing)など、多くの社員のいる会社の中には、コンドミニアムから会社へのバスを出しているところも存在します。

 

Google Mapsなどを使えばおおよその位置情報はわかりますが、マレーシアなどでは一方通行や、道路があっても、とても歩行者が歩けないところもあります。

そのため、出勤経路と時間、移動にかかる費用の計算は必須です。

特に渋滞がひどい場所では、時間帯による移動時間をあらかじめ聞いてみると良いでしょう。

理想は自分で実際にGrabなどで移動してみることです。

可能な場合は検討して下さい。

 

また、会社の寮を使う場合、退去のときのルールも聞いておきましょう。

 

 

2.自力で探す場合は現地の人に情報を聞く

 

寮がない場合は、不動産は自分で契約して借りることになります。

マレーシアの場合、だいたい1年または2年の契約が多いです。

 

この場合も、会社や最寄りの商業施設への交通手段も確認しておきましょう。

 

暮らしに必要になるのは、スーパーマーケット、飲食店、病院などです。

マレーシアの場合、15分くらいの距離でも車を使うのが一般的です。

治安があまりよくないためですが、特にシフト勤務で早朝や夜中の移動がある方は確かめておきましょう。

 

 

ただ、いきなり知らない土地で土地勘のないまま、家を決めるのが不安だ、と感じることもあるかも知れません。

その場合、最初はホテルやAirBNBで滞在し、土地勘がついてきてから不動産を契約するという方法もあるでしょう。

この方法の場合、現地に荷物を置いてじっくり現地で不動産を探すことができます。

気になるコンドミニアムはAirBNBで数日住んで、状況を確認してから、引っ越すことも可能になります。

 

ただし、最初に短期でホテルやAirBNBを借りると、比較的高額になることもあります。

また、激務のため、不動産を探す時間がなくずるずると時間が経ってしまって出費が嵩んだ、というケースもありえますので注意して下さい。

 

土地勘がなく、さらに会社の寮もなく自力で住む場所を探す場合、最初はできれば現地に詳しい転職コーディネーターや、就職予定の会社の人に聞いた方がいいでしょう。

 

マレーシアの場合、悪徳不動産の話はあまり聞きません。

しかしなかには、内見しないまま契約したところ、実はオーナーは別の人で、契約金を騙されてしまった、という話も聞きました。

なぜか、内見できない、オーナーを紹介してくれない、など、不自然なことがあれば、疑った方が良いでしょう。

ネット検索の場合も、登録した業者だけを扱っているかどうか、確認してから探すのがお勧めです。

 

マレーシアで住みたいコンドミニアムを見つけた場合、管理事務所に交渉すれば、扱っている不動産業者を教えてくれることがほとんどです。

 

また、日系の業者にお願いすると、日本人ばかりが住んでいる場所を紹介してくれるところもあります。

日本人の多いいわゆる日本人村のような場所は、日本語で生活できることも多く、特に言葉が苦手な方にはお勧めです。

ただし、せっかく海外にきたのに、周りに住んでいるのが日本人ばかりだと海外のメリットを活かせないこともあるので注意して下さい。

 

 

 

3.東南アジアの不動産の良し悪し

 

 

日本とはまったく事情が違う海外では、クセのある土地も存在します。

 

特に、昼間は問題ないのに、朝夕の渋滞が酷く通勤に1時間かかる、雨が降ると冠水する、裏に池があって蚊が多い、治安に問題があるなど、地図やインターネットには出てこない情報もあります。

 

マレーシアの場合は、ジメジメしていてカビが生えやすい、日照が強すぎる部屋は嫌がられるなど、南国ならではの独特の問題もあります。

日本からくる方には、「モスクのアザーンが気になる」という方も存在しています。

 

また、東南アジアでは、新築の家はできるだけ避けるのがセオリーです。

 

新築の状態では、故障や不具合が多く、最初はトラブルに悩まされることも少なくないためです。

もしできれば、以前にオーナーが住んでいた場所を貸している家が見つかればベストです。

オーナーが不具合を直してくれている可能性が高いからです。

 

また、家を借りるにあたっては、オーナーの人柄は非常に重要です。

トラブルのとき、業者を紹介してくれるのもオーナーであるケースも多いので、できるだけ仲良くなっておく必要があります。

また、断水やデモなど、生活に重要な情報を細かく教えてくれるオーナーもいます。

 

 

4.引越しは、事情に応じて考える

 

日本から引越し荷物を送るかどうかは、何年滞在する予定なのか、どんなライフスタイルを送るつもりなのかによって変わります。

海外では、電化製品は電圧が違うことも多く、日本から送った電化製品は、別途変圧器を使ったり、サイズが合わず、現地で買い直したりすることも出てきます。

若い現地採用の方の場合、引越し業者を使わずトランク1台でくる方も多く見られます。

 

海外には家具など一式つきで貸している家も多いので、できるだけ少ない荷物で移動し家具付きの家を検討するのもよいでしょう。

 

その際は、オーナーによって揃えている家具がまったく違うことに留意して下さい。

冷蔵庫や洗濯機、エアコンだけがある家もあれば、エアコンのみのところ、逆に、食器まで完備しているところなどさまざまです。

こうした家具付きの家はトランク1つで引越しできて便利ですが、故障やメンテナンスが誰の負担になるのかを、予め確認しておきましょう。

 

また、家具付きの家に住む場合、日本の家財道具をどうするかも決めておきます。

家を2件維持するとなると、かなり出費が嵩みます。

不在時の家をどうするか、家具をどこで保管するのか、事前に検討しておきましょう。

 

 

5.渡航費用の負担割合を確認しておく

 

なお、就職したのに、やっぱりやめたいーーということがあるかも知れません。

短期に退職した場合、渡航費用やホテル代、ビザにかかった代金など、会社が負担した費用の返還を求められるケースもあります。

多くの会社では、従業員との約束事は契約書に規定されているはずですが、予め、よく読んでおくことが重要です。

 

海外就職は、慣れない海外でのスタート時点が一番大変です。

ただ、慣れてしまえば、あとはビザを更新して働き続けるだけ。

あまり深く悩まずに、まずは行動してみるとよいでしょう。

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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。12歳と10歳の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も財閥系企業に転職しました。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく、人事/採用の担当としての本音をお届けします。

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