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子どもの入園・入学を機に職場復帰したい!復職・再就職前に考えておくこと、準備すべきことは?

子どもの入園・入学を機に職場復帰したい!復職・再就職前に考えておくこと、準備すべきことは?

幼稚園入園や小学校入学を機に、復職や再就職を考える女性は多いのではないでしょうか。

お子さんを保育所に預けて働くのとは違い、幼稚園や小学校低学年のお子さんがいる主婦の職場復帰には注意すべき点がいくつかあります。

 

この記事では、入園・入学のタイミングで復職・再就職を検討している方に向けて、

「保育所に預けるのと幼稚園では何が違うの?」

「職場復帰を見据えて、小学校入学前に準備しておくべきことは?」

といった疑問にお答えします。

 

1.子育て主婦の8割以上が「仕事と子育ての両立に不安」

 

長い人生の中で、結婚や子育ては大きなライフイベントのひとつです。

新たな家庭を築き、子どもを産み育てるのは簡単なことではありません。

妊娠・出産が母体に大きな負担をかけることや産後のライフスタイルの変化などもあり、結婚・妊娠・出産は女性が離職する主な理由となっています。

 

図:離職のきっかけ

離職のきっかけ

引用)内閣府「共同参画 2020年5月号」p.3(http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2020/202005/pdf/202005.pdf)

 

また、育児参加をする男性が増えているとはいえ、家事負担の割合は依然として女性に偏りがちです。

内閣府の調査によると、平日における家事時間について「30分未満」「まったくしていない」と回答した男性が半数近くいるのに対し、「1時間〜5時間未満」「5時間以上」と回答した女性は5〜7割にも達します。

その中でも、非正社員や非就労者の女性ほど家事時間が長い傾向にあります。

 

図:平日における家事時間

平日における家事時間

引用)内閣府「共同参画 2020年5月号」p.4(http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2020/202005/pdf/202005.pdf)

 

これらのデータからも、結婚後の家事・育児が女性が働く上で大きな課題となっているのは明らかです。

子どもの成長とともに復職や再就職を考えても、

「仕事と家事・育児が両立できるだろうか?」

と考えるだけで、最初の一歩が踏み出せない方は多いのではないでしょうか。

 

一方で、就労の大きな不安要素となっている「子育てとの両立」ですが、実際に働いてみると約4割の女性が「心配なかった」と回答しているのも事実です。

 

図:再就職前に不安だったこと、実際に働いてみると心配なかったこと

再就職前に不安だったこと、実際に働いてみると心配なかったこと

引用)厚生労働省「女性の再就職・再雇用 出産・育児等を機に離職しても女性が活躍できる社会に向けて」p .4(https://comeback-shien.mhlw.go.jp/source/pdf/woman.pdf)

 

家族の協力の度合いや子育てに対する職場の理解・支援などは、実際に働きだしてみないとわからない部分もあります。

この点については、家事・育児の分担について家族と話し合うとともに、お子さんの通園・通学時のタイムスケジュールを想定して繰り返しシュミレーションすることをおすすめします。

また、就労志望先のホームページや実際に働く人のクチコミをチェックし、可能であれば職場見学をして子育てへの理解があるか確認すると良いでしょう。

 

 

2.子育て主婦が復職・再就職前に知っておきたい5つのポイント

ここからは、子育て主婦が復職や再就職を具体的に考えるにあたり「ここだけは押さえておきたいポイント」をご紹介します。

 

①保育所と幼稚園の違い

お子さんの幼稚園入園に合わせて職場復帰を考える場合、まずは保育所と幼稚園の役割の違いについて理解しておきましょう。

 

保育所は、次のように定義されています。

『日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設(児童福祉法第39条第1項)』*1

 

「保育に欠ける」とは、親の就労や病気などにより家庭で十分な保育ができないことを意味します。

つまり、「保育所を利用するための理由・条件」を満たすことで利用が認められる施設であり、その役割は「子どもの保育」です。管轄は厚生労働省で、児童福祉法に位置づけられます。

施設ごとに開園・閉園時間は異なりますが、就労状況によって早朝から夜間まで、夏休みやお盆の期間も子どもを預けられるのが一般的です。

 

次に、幼稚園の定義は次のようになっています。

 

『幼稚園とは、3歳以上の幼児を対象として、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする学校であって、小学校以降の生活や学習の基盤を培う学校教育のはじまりとしての役割を担っているものをいう』*2

 

「幼児を保育する」ことについては保育所と同様ですが、もっとも大きな違いは「学校」としての役割・機能を持つ点にあります。

そのため、管轄は文部科学省であり、学校教育法に基づいて運営される施設です。

「学校教育のはじまりとしての役割」を担うため、入園に際して親の就労の有無は問われず、満3〜5歳であれば入園が可能となっています。

園で過ごす時間は保育所に比べて短く、一般的には午前9時から午後2時までの4時間程度となっていますが、園によっては延長保育も可能です。

 

あるいは、「認定こども園」を検討するのもひとつの方法です。

認定こども園とは、教育・保育を総合的に提供し、幼稚園と保育所の役割を併せ持つ施設のこと*3で、フルタイムで働きたい・幼児教育も受けさせたい方にとっては理想的な施設と言えます。

 

さらに、フルタイム勤務を検討している方はお住まいの地域に「幼稚園送迎ステーション」があるか確認されることをおすすめします。

なお幼稚園送迎ステーションとは、自宅と幼稚園の中間地点のようなもので、登園前と降園後に預かり保育を行う施設です。

登園・降園の際は施設と幼稚園間を園バスで送迎します。

 

多くの幼稚園では、毎年秋頃に入園願書の配布・受付を行います。

夏までには希望する園の願書配布・受付時期を確認しておきましょう

 

小学校入学後のタイムスケジュール・PTA活動

小学校入学前の心配事といえば、

「給食はいつから始まる?」

「時間割はどうなる?」

「PTAはどうなる?」

など、学校のタイムスケジュールやPTA活動に関することではないでしょうか。

 

一般的に、学校給食が始まるのは入学から2週間前後(4月の中旬〜下旬)です。

給食が始まるまでは下校時間が早いため、仕事の時間を考慮するか、それが難しい場合は学童保育の利用が必須になります。

学校や給食にも慣れてくると、5時間授業が始まり少しずつ下校時間も長くなります。

しかし小学校低学年のうちは午後2時〜3時頃の下校となるため、幼稚園より多少時間が伸びる程度と考えておきましょう。

 

気になるPTA活動は、地域や学校によって参加頻度が異なります。

学年行事を取りまとめる学年委員やベルマーク委員会などがあり、

「子どもの在学中に1回は委員を担当する」

と決められている学校も少なくありません。

そのため委員を早めに済ませる方もいれば、1年生のうちは様子を見る方もいます。

まずは自身が学校と仕事に慣れることを優先に、2年生以降に担当しても遅くはないでしょう。

 

③希望する働き方(雇用形態・勤務時間・通勤時間など)を考える

お子さんが小さいうちは、「どのようなスタイルで働くのか」が大きなテーマとなります。

パートかフルタイムかだけでなく、週に何日働くのか・どこで働くのか・どんな仕事をするのかなど、子育てと仕事の兼ね合いを考えながら職場探しをする必要があるからです。

希望条件によっては選択肢が狭まり、希望の職種に就けないこともあります。

「子育てを最優先にしたい」

「フルタイムでなるべく多くの収入を得たい」

など、何を優先するかによって仕事や職場に求めるものが変わってきます。

 

④子どもの預け先をどうするか(残業や長期休暇中のとき)

先述のように、保育園と違い幼稚園で過ごすのは4時間程度です。

行事の振替休日や創立記念日などで、平日が休みになることもしばしばあります。

近くに協力してもらえる親族がいない場合、残業や長期休暇に備えて延長保育・一時預かり保育があるかどうかは必ず確認しておきたいところです。

 

小学1年生の場合、お住まいの地域によって異なりますが、入学して2週間ほどは半日授業(給食なし)のため12時前後の下校となります。

長期休暇のことも考えて、学童保育の申し込みを検討しておきましょう。

 

⑤居住する自治体の育児支援体制にはどのようなものがあるか

幼稚園の延長保育や一時預かり保育が利用できない、お子さんの急な発熱でも仕事を休めない場合などに備えて、自治体の子育て支援事業も確認しておきましょう。

代表的なものがファミリーサポートセンター事業や病児保育室です。

これらは事前登録が必要な場合もありますので、余裕を持って確認されることをおすすめします。

 

 

3.子育てと仕事の両立が可能な職場を探すために

 

仕事や職場に求めるものは人それぞれです。

小さいお子さんがいる場合、

「子育てを優先したい」

「家事・育児と両立できる範囲で数時間だけ働きたい」

と考えるのは普通です。

あるいは、「さまざまなサポートを利用しながら、なるべく沢山働きたい」という方もいるでしょう。

 

子育て主婦がスムーズな職場復帰を果たすには、家族の協力はもちろん、職場の理解・協力が欠かせません。そのためには、職場探しを入念に行うことが大切です。

求人情報のチェックや面接の際は、次の点に気をつけると良いでしょう。

 

①仕事や職場に求める条件を明確に

仕事を探す際、まずは

「子どもが幼稚園・小学校に行っている数時間だけ働きたい」

「通勤時間は30分以内」

「子どもの行事や急な休みに理解がある」

など、優先したいことを明確にしておきます。

絶対に譲れない条件は、問い合わせや面接の時点で必ず確認しておきましょう。

 

②子育て主婦が多く働いている職場を探す

同じ境遇で働く人がひとりいるだけで、相談や質問がしやすく心強いものです。

また、子育て主婦や子育て経験者が多く働く職場は「お互いさま」の関係性が作りやすく、子どもの急な発熱や行事などで勤務調整が必要な場合も理解を得やすい印象があります。

 

③やりがいを持って働ける仕事かどうか

子育てが優先とはいっても、やりがいや楽しさを感じられない仕事を続けるのはつらいものです。

求人情報だけでなく企業のホームページやクチコミなども確認し、可能であれば職場見学に行ってみるのも良いでしょう。

 

4.まとめ

 

最後に、お子さんの入園や入学を機に復職・再就職を考えている方にとって、

「これだけは最低限確認しておいてほしい!」

と思う項目をまとめると次のようになります。

 

  • 家事・育児の分担について家族と話し合っておく
  • 仕事や職場に求めるものを明確にしておく(絶対に譲れない条件)
  • 延長保育・一時保育のある幼稚園、あるいは認定こども園を探す
  • 幼稚園送迎ステーションの利用を検討する(幼稚園児の場合)
  • 学童保育の利用を検討する(小学生の場合)
  • 自治体のファミリーサポートセンター・病児保育室の利用登録を検討する
  • 通園・通学時のタイムスケジュールを想定し、繰り返しシュミレーションしておく

 

子育ても仕事も自分らしくやりがいを持って取り組むためには、事前の準備が大切です。

それぞれのご家庭の生活スタイルに合わせて、ベストな方法を見つけていきましょう

 

参考文献/参考サイト
*1引用)厚生労働省 平成21年地域児童福祉事業等調査結果の概況:用語の定義「保育所」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jidou/09/yougo.html
*2引用)文部科学省 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(中間報告)(案)第2節 幼児教育の意義及び役割 幼児期の発達の特性に応じた幼稚園教育 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1395402.htm
*3参考)内閣府 認定こども園概要
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html

 

執筆者
名前:遠藤愛
プロフィール:看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かしライターとして活動中。
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