転職活動中の方、これから始めようとしている方の中には、「もっと自分にぴったりの仕事があるのでは」「自分にはどんな仕事が向いているのかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
やりたい仕事、向いている仕事がわからないまま、「とりあえず働ければいい」と思って転職すると、「やはり自分に合っていない」と転職を繰り返すことにもなりかねません。
そこで、今回は新卒をグループ全体で年間1,000人規模で採用をしている超大手人材会社の現役人事担当者に、そもそも適職とは何なのか、適職はどうやって見つければいいのかを教えてもらいました。

1.そもそも「適職」って何?
まずは、「適職」とはどんな仕事を指すのか、聞いてみましょう。
―― そもそも適職とは、どういった仕事のことを指すのでしょうか?
山田 これまで適職は、自分の能力やスキルとマッチしていて、楽しさややりがいを感じられる仕事と考えられてきました。
しかし、最近では「一緒に働く人との相性」も、重視されるようになっています。一緒に働く人がどんな人なのかによって、仕事のパフォーマンスに影響を与えることが知られてきたためです。
―― 確かに、一緒に働く人との相性が悪かったら、モチベーションが下がって楽しく働けないですね。
山田 楽しく働けないことはもちろん、「この仕事は自分に合っていないかも」と思ってしまう可能性があります。合っていないのは人であって、仕事ではないことに気がつかないまま、辞めてしまうこともあるのです。
そのように考えると、適職とは、①自分の能力やスキルとあっていること、②楽しさややりがいを感じられること、③一緒に働く人と相性がいいこと、の3つの条件を満たす仕事だと思っています。
2.適職は「自分が仕事に何を求めているか」を軸に探す
―― その3つの条件から、どのように適職を見つければいいのでしょうか。
山田 条件を3つともすべて満たす仕事が見つかればベストですが、なかなかそうはいかないことが多いでしょう。なので、3つの中で、まずは優先順位をつけることが大切です。
―― 優先順位ですか。
山田 そうです。仕事をしていくうえで、自分が一番大切にしたいものを3つから選び、それを軸に仕事を選ぶのが、適職を見つけて満足度の高い転職をするポイントになります。
―― 具体的にはどのようにすればいいのか教えてください。
山田 まず、「自分の能力とスキルがあっている」仕事から適職を探す場合には、希望する業種や職種でどんな能力やスキルが求められているのかを洗い出します。
例えば、営業であれば人と円滑にコミュニケーションを取れることはもちろん、高いプレゼンテーション能力や、目標を達成するための計画性、数字の分析や執着も必要です。そのような能力やスキルが自分に備わっていると思えるなら、営業に向いていると考えられます。
次に「仕事の楽しさややりがい」を軸に適職を探すのであれば、その業種や職種を根本的に好きかどうかが重要になります。例えば、プログラミングの仕事をしたいと考えたときに、その理由を自分に聞いてみてください。
「学生のころからブログやサイト制作を楽しんできた。プログラミングは初歩しかしらないけど、もっと深くまで取り組んでみたい」と、自分のこれまでの人生の中での楽しい経験からくる答えであればその仕事はきっとあなたに合っています。けれども「プログラミングができたほうがこれから有利と感じる」というような、単なる一般論でしか答えられないようなら、壁にぶち当たったときに突き抜けることは困難です。
―― 答えは自分の中にあるということですね。
山田 そうです。「一緒に働く人との相性」から適職を見つけるときにも、まずは「どんな人と一緒に働きたいか」の人物像を、自分の中で明らかにする必要があります。
しかし、この先はほかの2つの条件と違って少し難しくなります。転職後一緒に働く相手がどのような人なのかを、しっかり探る必要があるからです。
転職では求人ポジションが明らかになっていて、配属される部署が決まっていることがほとんどなので、企業ホームページなどで社員紹介などを調べるようにしましょう。自分の上司になる人のインタビューなどを見つけられるかもしれません。
また、転職面接では、直属の上司となる人との面接が組まれることも多いので、そのときに相性を判断できる可能性があります。直属の上司でない場合でも、面接を通してどのような企業なのかをしっかり観察するようにするといいでしょう。
3.まとめ
ここまで、大手人材会社の人事部マネジャーである「山田さん(仮名)」に適職の見つけ方を教えてもらいました。
適職探しは、①自分の能力やスキルとあっている、②楽しさややりがいを感じられる、③一緒に働く人と相性がいい、の3つの要素から、どれを最も優先するのかを決めることから始めます。
なにが適職なのかの答えは、自分の中にしかありません。3つの条件を深掘りし、自分が仕事をしていくうえで、もっとも大切だと思っていることを軸にして、適職を探してみてください。