新卒で入社すると新たに耳にする「厚生年金」。厚生年金は新卒入社をするなら知っておくべき仕組みです。
また新卒で初任給をもらうと、給与明細に書かれている項目も新しく知るものが多く、一体自分の給料から何が引かれているのかわからなくなってしまうことも少なくありません。
そこで厚生年金をはじめ、新卒の給与明細で出てくるさまざまな控除項目について説明します。社会人としてきちんとお金の管理をするためにも知っておきましょう。
1.新卒入社後の年金は「厚生年金」になる
株式会社のような法人の事業所は厚生年金の適用事務所となるため、社員は厚生年金に加入しなければいけません。新卒の方はこれまで20歳から国民年金で年金を納めていましたが、入社後は厚生年金に加入し「第2号被保険者」となります。
入社の手続きの際に年金手帳を提出するように言われることが多いですが、これは1人1人に付与されている基礎年金番号で厚生年金の加入手続きを行なうためです。会社がすべて行なうので、新卒社員の側で何かする必要はありません。
厚生年金は老後の年金をもらうための掛け金です。国民年金に上乗せして支給されるので将来貰える年金が増え、老後の蓄えとなるでしょう。
2.年金の保険料は給料から自動的に控除される
自分で納付する国民年金と異なり、厚生年金は給料から保険料が天引きされます。いくら引かれているのかは、給与明細で確認することが可能です。厚生年金の保険料はいくらなのか、自分の給与からどれくらいの金額が引かれているのか、きちんと把握してお金の管理を行ないましょう。
①.保険料を把握するための給与明細の見方
新卒の給与明細はさまざまな項目があります。まずは基本的な給与明細の見方として「勤怠」と「支給」、「控除」の欄をチェックしましょう。
「勤怠」欄には出勤日数や欠勤、遅刻、早退など出勤状況が書かれています。残業や休日出勤、時間外勤務などがあれば、時間の合計が記載されています。
「支給」は基本給の金額と、その他手当としていくら加算されるかの明細です。勤怠に基づいた残業手当や夜間手当、通勤手当など基本給と+αで支給される金額の合計が総支給額として出されています。
「控除」には総支給額から天引きされるものが記載されています。その中に厚生年金保険料としていくら引かれているか書かれているでしょう。厚生年金、健康保険、雇用保険などはまとめて「社会保険」という項目になります。
②.支給額から「標準報酬月額」が決まる
厚生年金の保険料は一律ではなく、4月から6月の平均支給額から決まる「標準報酬月額」によって算出されます。標準報酬月額は31種類の等級に分かれていて、平均額に最も近い等級の金額に決まった税率が掛けられて保険料が決まるという仕組みです。
基本給だけでなく手当も含んだ金額で標準報酬月額が決まるため、同じ新入社員でも通勤手当や残業の有無によって保険料は異なるでしょう。
③.負担額は会社と折半
厚生年金の加入が必須というと、強制的に保険料の負担が増えて損をしている気持ちになるかもしれませんが、保険料を全額負担しなければいけないわけではありません。保険料は雇用主が折半することになっているため、実際支払っているのは半額です。
平成29年9月を最後の引き上げとし、保険料率は18.3%で、これを折半するため労働者側の負担する税率は約9.15%です。給与明細にはこの労働者の負担分の金額が記載されています。
3.社会人は様々なものが給料から控除される
新卒で給与明細をもらうと、アルバイト時代とは比にならないさまざまな控除の項目を目にすることになるでしょう。社会保険料を引いた後の金額からは、さらに所得税が引かれ、新卒2年目以降は住民税も引かれます。これらは所得がある社会人として納めなければいけない税金です。
実際に口座に振り込まれるのはすべての控除がされた後の金額なので、給与として書かれている金額ではなく手取り額を把握し、出費の計画や貯蓄を行なっていかなければいけません。給与明細を見るときは支給の部分だけではなく、控除の部分も確認するようにしましょう。
4.まとめ
新卒で働き始めると収入が増えますが、その分いろいろな支払い義務があります。しかし社会保険料として控除される健康保険も雇用保険と同じように、標準報酬月額から出された保険料を会社と折半します。雇用保険は万が一失業したときに失業給付金をもらうための保険です。
会社員だと会社が一部負担してくれますし、自分の将来のための備えとして必要なものなので決して損するものではないと言えます。厚生年金という、新卒で仕事を始めると新たに加わる義務もきちんと把握して、すてきな社会人生活を始めましょう。