pickup
転職のひとつの選択肢「Uターン」の実際

転職を考えるとき「自分の地元あるいは他の地方で就職しようかな」という思いが頭をよぎりませんか?

 

都心部の方が給与がいい。しかし都心部はストレスとの闘い。それなら多少賃金が下がっても住み慣れた土地で頑張ったほうがいいのかなと思われる方は多いです。

 

こういった、地元でに戻るというのは「Uターン」「Iターン」「Jターン」と呼ばれるものですが、現在は働きやすい環境を提供する自治体も増えています。

実際にUターンした場合の仕事や生活はどのようなものでしょうか。

今回は、Uターンの実際の部分に関してお送りします。

 

1.Uターン、Iターン、Jターンとは

 

こうした転職を「UIJターン」と呼びますが、その違いはこのようなものです。

Uターン:文字通り、地方から都市部に移住した人が生まれた市町村に戻ることです。

Iターン:都市部から、自分の出身とは異なる地方に移り住むことです。

Jターン:就学や就職で都市部に来た人が、生まれた市町村の近くの地方都市に戻ることです。

 

大都市圏、特に東京に人口も産業も一極集中している状況は問題視されていて、地方都市の担い手を確保するためにも、今後こうしたUIJターンを促進する動きは加速するとみられます。

 

UIJターンを伴う転職について、いくつかデータをご紹介します。

中小企業庁の調査では、UIJターンを伴う転職経験者は全体の6.5%となっています(図1)。少数のように見えますが、転職者の中では14.5%を占めています。

UIJターンを含む転職経験者の割合1

図1 UIJターンを含む転職経験者の割合(出典:「2015年版中小企業白書」中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/h27/html/b2_2_4_1.html)

 

また、転職に当たって直面した課題や不安材料は以下のようなものです(図2)。

UIJターンを含む転職経験者の割合2

図2 UIJターンを含む転職経験者の割合(出典:「2015年版中小企業白書」中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/h27/html/b2_2_4_1.htm)

 

 

やはり最も多いのは「収入」の面です。

しかし、収入については、意外な結果が出ています(図3)。

UIJターンを伴う転職による年収の変化

図3 UIJターンを伴う転職による年収の変化(出典:「2015年版中小企業白書」中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/h27/html/b2_2_4_1.htm)

 

半数以上は減収した、と答えていますが、44.8%の人は減収していない状況です。

地方への転職が必ずしも減収を伴うかというと、そうでもないという事実が明らかになっています。

 

企業規模別に見ても、この傾向に大きな違いはありません(図4)。

UIJターンを伴う転職における年収の変化・企業規模別

図4 UIJターンを伴う転職における年収の変化・企業規模別(出典:「2015年版中小企業白書」中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/h27/html/b6_2_2_10.html)

 

大企業から中小企業、中小企業から大企業、企業規模に変化なし、とそれぞれの形がありますが、転職先が大企業だからといって必ずしも減収しない、というわけでもなく、それぞれの転職形態で、4割以上の人が「減収していない」と回答しています。

 

転職先の条件をしっかりと把握し転職先を決めていれば、転職後の生活にスムーズに移行できるケースは、決して少なくありません。

 

2.大都市ならではの経験が活きる側面

 

筆者個人の話はありますが、筆者の父親は定年を機に自分の生まれ故郷に移住しました。

地方都市ではなく、まさに田舎の小さな集落といった地域です。

 

その地域に住む40代の会社経営者が、「この地域を活性化しないと将来がない」という思いから観光拠点を立ち上げました。父親はほぼ無償で協力している形です。地域の旅館経営者、飲食店経営者、漁師などが長らくその計画を練っていたそうですが、ある時筆者はアドバイスを求められました。

 

自分たちはずっとこの地域にいるから何を見ても珍しいと思わないので、観光に来る人が何を求めてここに来ているいるのかがわからない、というものでした。

 

施設としては地元の廃店舗を使い、立ち上げに当たっても補助金を利用できるのですが、「お金があっても使い道やPRのしかたがよくわからない」

「東京の人から見て、どうすれば魅力的に映るか知りたい」

「どれくらいの価格なら受け入れられるかを知りたい」

というのです。

 

また、筆者の父親も長らく都市で暮らしていたので、そこでのノウハウが非常に役に立っているとのことでした。

これは地方の悩みの一例ではありますが、中央や大都市圏などの「都会」の感覚を知りたい、という地方事業者は多いようです。

例えば移住先で別の仕事を持ちながらも、こうした悩みを聞くことで人間関係の構築も可能になるでしょう。

 

近年人口が減少する中で、「関係人口」を増やそうという動きがあります。

地方に移住するでもなく、しかし一時的な観光客になるのでもなく、何らかの形でルーツを持つ人が、休日に通ったりオンラインで地域と関わることで地域振興をしようというものです。

 

いきなりの移住に抵抗がある場合、このような形で地域との関わりを持ち、関係が成熟してから移住を決めるのも良いでしょう。

 

よく、「都市の生活に疲れて田舎に移住した」という話を聞くことでしょう。しかしそこで苦労することの多くは「人間関係」「文化の違い」だと言います。

事前にこうした関係を構築できれば、移住に対する抵抗は減ることでしょうし、その地域で「自分の居場所と役割がある」というのは、働くことに関するモチベーション向上にも繋がることでしょう。

 

3.移住助成金について

 

なお現在、東京圏からそれ以外の場所で起業したり、地元の重要な中小企業への就業のために移住するなどの場合に、支援金を受けられる制度があります*1。

いくつかの条件がありますが、100万円~300万円の交付を受けられる制度です。

 

現在、東京が抱える問題のひとつに、「数十年後に高齢者施設が限界を迎える」というものがあります。

東京への移住はいわゆる「団塊の世代」と「団塊ジュニア」の層が多く、その世代が支援を必要とする高齢になった時、受け入れきれなくなる可能性があるというのです。

 

こうした社会的な側面も考えて、地方での仕事に興味を持ってみるのは悪いことではありません。

なるべく両親の近くというのも良いでしょうし、憧れの地方、旅で訪れて印象に残った地方というものもあるでしょう。まずはその土地についてよく知ることから始めてみるのも、選択肢を広げるという意味では良いかもしれません。

 

 

参照データ
*1 「起業支援金・移住支援金のお知らせ」内閣府
www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/200101shienkin_panf.pdf

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事