働くコラム

年収のことも考えたい婚活、みんなはどんなことをしている?

女性の社会進出を背景に、現代では20~40代、あるいはそれ以上になっても「婚活」をする人は少なくありません。

アプリ、婚活パーティ、結婚相談所など婚活には様々な種類があります。それぞれの特徴についても見ていきましょう。

 

1.男性の3割、女性の2割が50歳時未婚の時代

 

未婚率はどの年齢層でも男女ともに上昇していると言われていますが、今後も増え続けると考えられています。

2040年には、男性の約3割、女性の約2割が50歳の時に未婚であるという推計もあります(図1)。

 

50歳時の未婚割合の推移と将来推計

図1 50歳時の未婚割合の推移と将来推計(出典:「平成30年版 少子化対策白書」内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2018/30webhonpen/html/b1_s1-1-3.html)

 

 

しかし、男女ともに結婚願望がないというわけではありません。

 

国立社会保障・人口問題研究所の調査では、18~34歳の人の場合は男性で85.7%、女性では89.3%が「いずれ結婚するつもり」という意思を持っています*1。

 

ただ、現実との乖離を見ると、この「いずれ」というのが曲者です。

 

結婚願望はあるが結婚していない20~40代の男女に対する内閣府の調査では、「結婚に必要な状況」として以下のようなものが挙がっています(図2)。

 

結婚に必要な状況

図2 結婚に必要な状況(出典:「令和元年版 少子化対策白書」内閣府)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01pdfhonpen/pdf/s1-6-1.pdf)p32

 

 

やはり「経済的に余裕ができること」というのが最も多くなっていますが、注目したいのは「結婚の必要性を感じること」を挙げる人が男女ともに比較的多いことです。

まさに「いずれ」結婚したい、と思いつつも、今は「必要性」を感じていない、という状況にある人が多いことの現れです。

 

女性の場合は出産を意識することも多いでしょうがそうでない場合、「いずれ」と思いつつも様々な事情でそのまま歳を重ねている、ということも多いのでしょう。

 

そして、「異性と知り合う(出会う)機会があること」「希望の条件を満たす相手にめぐり会うこと」を条件としている人も多く見られます。具体的には「そもそも身近に自分と同世代の異性がいない」というのがそのほとんどですが、受け身な人が多いのもまた現状です。

 

2.どんな「婚活」をしている人が多い?

 

同じ調査の中で、相手を探すために具体的に何をしているか、という質問があります。これに対して、男女ともに最も多いのが「特に何も行動を起こしていない」というもので20~40代の全世代で男女共に、半数近くから7割にのぼっています*2。

 

そして、何らかの活動をしている人の場合、内容はこのようなものです(図3)。

 

男性

20~29歳

30~39歳

40~49歳

民間や自治体の結婚相談所など登録・利用

1.1%

5.8%

6.3%

民間や自治体のパーティやイベント

5.9%

8.5%

9.0%

出会い仲介のインターネットサービス

6.7%

9.0%

7.3%

友人・知人に紹介を依頼

11.8%

16.3%

17.0%

職場の上司・同僚に紹介を依頼

4.0%

4.7%

5.7%

習い事など、内面的な自分磨き

9.4%

6.7%

6.0%

ジムや美容など、外見的な自分磨き

8.0%

8.7%

5.3%

続いて女性です。

女性

20~29歳

30~39歳

40~49歳

民間や自治体の結婚相談所など登録・利用

1.3%

6.8%

5.8%

民間や自治体のパーティやイベント

9.6%

17.9%

9.9%

出会い仲介のインターネットサービス

8.8%

11.1%

5.2%

友人・知人に紹介を依頼

19.7%

32.1%

18.3%

職場の上司・同僚に紹介を依頼

4.0%

6.4%

3.7%

習い事など、内面的な自分磨き

13.8%

11.4%

12.6%

ジムや美容など、外見的な自分磨き

20.7%

14.6%

16.8%

図3 具体的な相手を探すための行動※複数回答(出典:「令和元年版 少子化対策白書」内閣府より作成)(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01pdfhonpen/pdf/s1-6-1.pdf) p34

 

友人や知人といった、近い人からの紹介というのが全体的に最も多くなっています。

 

信頼できる人が紹介してくれる安心感があると考えられます。また、ゼロから探すよりも手間が省けるという性質もあるでしょう。

 

自分磨きをしながら、良い相手を紹介してもらえるのを待つ、といった傾向も垣間見得ます。

 

また、別の統計では、興味深い婚活の様子も見られます(図4)

 

経験した婚活の内容

図4 経験した婚活の内容(出典:「『婚活』と結婚-その実態と課題」国民生活センター)(http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201410_01.pdf) p4

 

 

こちらでもやはり「友人等に紹介を依頼」というのが多くなっていますが、注目したいのは40代女性で「お見合い」という選択肢が比較的多くなっているということです。

 

現代では「古風」と思われるかもしれませんが、責任ある職につき、仕事が忙しいという場合、お見合いという選択肢には大きな違和感はありません。

 

また、こちらの調査では、婚活がどこまで役立ったかについて、男女ともに4人に1人が「婚活で出会った人と結婚した」と回答しており、さらに「婚活で出会った人ではないが、婚活が結婚に繋がった」という人を加えると、男女ともに4割に達していたということです*3。

 

3.婚活方法ごとの特徴

 

さて、婚活の手段にはそれぞれに特徴があります。

メリット・デメリットについては知っておきたいところです。

 

まず、紹介によるものです。

信頼している相手だから紹介をお願いできる、自分のことを知っている人からの紹介であれば安心できる、というメリットがあります。

一方で紹介してもらえる人数やペースは、依頼した友人・知人次第ということになります。友人や知人がどのくらいの人脈があるかという、ある意味他力本願の色合いが強くなってしまいます。

 

次に、パーティーやイベントの場合です。気が合えばある程度結婚を前提にした交際ができる可能性は高まります。

しかし、日常生活の中でどのようにスケジュールを組み込めるかという部分があるのと、イベントに独特なのは、その場で意気投合しても、のちに連絡が取れなくなってしまうことがしばしばあるということです。この点はマッチングアプリも同様と言えるでしょう。アプリやサイトは気軽さや登録者の多さが利点ですが、相手の本気度がよくわからない部分があります。

 

そして、結婚相談所です。

民間の場合は、プロのアドバイザーがいるということと、収入という面と向かっては言いづらいことについての希望も事前に伝えられ、条件の会う人を見つけてくれることです。ただ、利用にあたって費用が割高になりがちという傾向があります。

 

複数の方法を同時に使っている人もいらっしゃいます。

 

4.まとめ

 

婚活は、無理なスケジュールや必要以上の体力を使ってしまうと長続きしなくなってしまいます。

自分の生活に見合った方法を選ぶのがベストです。

 

一方で、婚活をしてみることで自分を見つめ直し、様々な異性と会話をすることで異性の特徴を知るということもあります。

 

気持ちの面で変化が生まれ、「婚活で出会った人ではないが、婚活が結婚につながった」という意見があるのはそのためでしょう。

 

自分自身や、本当はどんな人が結婚相手に向いているのかを見つめ直す良い機会になるような活動を、無理のない範囲で続けたいものです。

 

そして、ネックになりがちな収入については、事前に正直に話し合えることも必要でしょう。結婚式をシンプルにして費用を抑えるという方法もありますから、柔軟に考えてみたいところです。

 

参照データ
*1 「現代日本の結婚と出産」国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf p13
*2 「令和元年版 少子化対策白書」内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01pdfhonpen/pdf/s1-6-1.pdf p34
*3 「『婚活』と結婚-その実態と課題」国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201410_01.pdf p4

 

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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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