企業研究
手に職をつけ転職の結果を勝ち取ろう 自己啓発をする人は人生や仕事の満足度も高い

コロナ禍の中、自己啓発を進めビジネスパーソンとしてのスキルアップを図る人が増えています。

不確定で不安定な時代、少しでもスキルを身に着け、安定した職を得たいと考えるのは自然なことと言えるでしょう。

 

そこで今回は、個人や企業における日本の自己啓発の実施状況や得られる効果、おすすめの自己啓発本などをご紹介していきます。

 

これから迎える高齢化社会において長く働き続けるために、心のあり方やビジネスでの教訓を習得したい方は、ぜひ、参考にしてください。

 

1.日本の自己啓発の実施状況

 

厚生労働省がまとめた日本における自己啓発の実施状況は、下図1の通りです。

 

「正社員・非正社員」「男性・女性」「年齢」などに分類して見ていきましょう。

 

自己啓発の実施状況

図1 引用)厚生労働省「第Ⅱ部 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」P264(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1-2-4_02.pdf)

 

 

①「正社員」の方が「非正社員」より実施割合は高い

図1 上部に位置する「正社員」「非正社員」のグラフを参照すると、年齢や性別に関係なく、「正社員」の方が「非正社員」より実施割合が高いことがわかります。

 

例えば正社員の男性は「30歳未満」が51.9%、「30歳~49歳」が47.6%と約半数を占めているのに対し、非正社員の男性の場合は「30歳未満」が25.7%、「30歳~49歳」が22.8%と、それぞれ2倍ほどの格差があると言えるでしょう。

 

また、正社員の場合、2013年度と比較すると、50歳以上の女性の実施割合が大きく増えていますが、それ以外の年齢層では、ほぼ変わらない割合となっています。

 

②正社員では男女ともに「30歳未満」が最も高い

同じく図1を年齢別で見た場合、正社員の場合は男女ともに「30歳未満」が最も高くなっています。

 

特に男性の「30歳未満」は51.9%と過半数を超えており、自己啓発に関する意識が高いと言えるでしょう。

 

同じ「30歳未満」の男性でも、非正社員の場合は25.7%と実施割合が低く、正社員との差が大きく開いているのが特徴です。

 

また、男女別でみてみると、「正社員」「非正社員」のどちらとも、男性の方が実施割合が高い状況となっています。

 

③非就業者は、自己啓発の実施割合が低い

図1 下部に位置している「就業者」と「非就業者」の男女別のグラフを参照すると、非就業者は、就業者より自己啓発の実施割合が低いことがわかります。

 

求職活動状況別にみてみると、仕事を探していない非就業者はさらに低い傾向となっており、性別でみると、女性の方が全体的に実施率は低いです。

 

また、年齢が高まるほど、実施割合が低い状況となっています。

 

2.自己啓発の実施がもたらす効果

 

自己啓発の実施状況については、年齢や性別、雇用形態などでそれぞれ違いがあることがわかりました。

 

ここでは、自己啓発を行うことで、どのような効果が出てくるのかについて解説をしていきます。

 

①職業生活の満足度が高まる 

下図2は、自己啓発の実施が正規雇用者にもたらす効果をまとめた表です。

 

図2 上部のグラフを参照すると、自己啓発を行った人は行わなかった人より、仕事の質の向上や収入の増加、仕事の満足度が高まるなど、プラスとなる効果が出ています。

 

年齢階級別で見てみると、仕事の満足度に関しては特に60歳以上で高くなっており、実施割合が比較的低いとされている60歳以上の人についても、自己啓発を行うことにより仕事の満足度が大きく高まると言えるでしょう。

 

また、自己啓発の実施割合が比較的高い35歳未満では「仕事の質」「年収変化」が特に高まった人が多くみられています。

 

自己啓発の実施が正社員雇用者にもたらす効果

図2 引用)厚生労働省「第Ⅱ部 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」P266(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1-2-4_02.pdf)

 

 

②自己啓発を行うと正規雇用への転換や就業に結びつく効果がみられる

下図3は、自己啓発が正規雇用転換や就職に与える効果を表したグラフです。

 

左のグラフは「非正規雇用者」、右のグラフは「失業者・無業者」を対象にしたものですが、どちらとも自己啓発を行ったことにより、正規雇用や就業に結びつく効果がみられます。

 

また、期間が経過するほど、その効果はさらに高まっていく傾向にあります。

 

このように、自己啓発を行うと、非正規雇用から正規雇用への転換や、失業者が就業するなど、プラスの効果をもたらすと言えるでしょう。

 

自己啓発が正規雇用転換や就職に与える効果

図3 引用)厚生労働省「第Ⅱ部 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」P267(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/dl/18-1-2-4_02.pdf)

 

 

3.自己啓発支援に費用支出した企業割合の推移

 

下図4は、厚生労働省が調査した「自己啓発支援に費用支出した企業割合の推移」のグラフです。

 

平成20年から平成30年までの推移を見ていきましょう。

 

①企業の自己啓発への支出状況は約27%

平成30年度調査での企業の教育訓練への支出状況(図4)を見ると、自己啓発支援に費用を支出した企業割合は、27.8%です。

 

平成20年度の調査から、やや増加してはいますが、ここ10年間大きな変動は特になく、毎年約27%辺りの推移を保っています。

 

平成29年度の企業の教育訓練への支出状況は、OFF-JT(Off The Job Trainingの略称で、職場から離れてセミナーや研修などを行うこと) または自己啓発支援に支出した企業は56.1%。

OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は23.1%で、そのうちOFF-JTにのみ費用を支出した企業は28.6%、自己啓発支援にのみ支出した企業は4.4%となっており、企業が社員の能力を高める手法としては、OFF-JTの方に力を入れている傾向がうかがえます。*1

 

自己啓発支援に費用支出した企業割合の推移

図4 引用)厚生労働省「平成30年度 能力開発基本調査の結果」自己啓発支援に費用支出した企業割合の推移(3年移動平均)P2(https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf)

 

 

②H30年度の自己啓発支援に支出した労働者一人当たり平均額は0.3万円

下図5は、自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額のグラフです。

 

参照すると、自己啓発支援に支出した労働者一人当たりの平均額は0.3万円となっており、

平成19年度の調査から年々、ゆるやかに減少傾向がみられます。

 

一方、OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額は1.4万円であり、近年、増加傾向にありましたが、今回はやや減少気味の金額です。*2

 

自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額

図4 引用)厚生労働省「平成30年度 能力開発基本調査の結果」自己啓発支援に費用支出した企業割合の推移(3年移動平均)P3(https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf)

 

 

4.仕事に活かせるおすすめの自己啓発本

 

出版業界は不況と言われていますが、その中で自己啓発本は活況を見せています。

 

出版科学研究所(東京・新宿)では自己啓発本を「個人の生き方や方向性を明確に示す指南書」と定義し、生きづらいと感じている人が人生の指南役を求めているのかもしれません。

 

また、人生100年時代が到来する中で、最近の自己啓発本ではキーワードが「長寿化」のものが人気を集めています。*3

 

元気に長く働ける秘訣や、心や体の健康を維持する方法が見つかる本を、いくつかご紹介していきましょう。

 

①ロングセラーは「嫌われる勇気」

ロングセラーは何と言っても「嫌われる勇気」。自己啓発の源流である「アドラー」の幸福論がすべての悩める人に答えを導いてくれます。

 

この本では、フロイト、ユングと並ぶ「心理学の三大巨頭」と呼ばれているアルフレッド・アドラーの思想を、「青年と哲人の対話」という物語の形式でわかりやすく紹介していきます。

 

「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、シンプルで具体的な答えを提示してくれるので、自分らしく自然体に生きていくためのヒントが、読み進めていくうちに見つかっていくことでしょう。

 

書籍名嫌われる勇気
著者岸見 一郎/古賀 史健
出版社・定価ダイヤモンド社・本体1,500円+税
書籍の紹介HPbook.diamond.ne.jp/kirawareruyuki/

 

 

②長寿化を見据えた働き方の指南書は「ライフ・シフト(100年時代の人生戦略)」

これから迎えることになる人生100年時代を生き抜くために、働き方、学び方、結婚、子育てなど人生のすべてにおいて価値観が変わるバイブルです。

 

世界で活躍するビジネス思想家が、これから目前に迫る長寿社会を楽しみながら生きられるヒントを与えてくれます。

 

人生100歳時代を生きていくのに必要な戦略的人生設計書とも言える本でしょう。

 

書籍名ライフ・シフト(100年時代の人生戦略)
著者リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット
出版社・定価東洋経済新報社・定価 1,980円(税込み)
書籍の紹介HPbook.toyokeizai.net/life-shift/#lineup

 

③健康をテーマとした自己啓発本なら「一生使える脳」

毎月1000人の認知症患者を診る医師が、医学的に正しい脳の使い方を伝授してくれる指南書です。

 

内容例としては、「聞き方一つで、記憶がよみがえる」「知的生産のカギを握るワーキングメモリ」「こんな食習慣が一生使えない脳をつくってしまう?」など、仕事や人生の成果を最大限に引き出すエッセンスに満ちあふれています。

 

これからの長寿社会で、健康な状態で長く働いていくために必要な40代からの新健康常識本としておすすめです。

 

書籍名一生使える脳
著者長谷川嘉哉(医学博士、認知症専門医)
出版社・定価PHP研究所・946円(本体価格860円)
書籍の紹介HPwww.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83744-4

 

4.まとめ

 

今回は、自己啓発の実施状況や得られる効果、おすすめの自己啓発本などをご紹介していきました。

 

これから迎える人生100年時代において、少しでも長く働き続けていくには、心身ともに健康であることが欠かせません。

 

また、仕事のフィールドを広げて社会で活躍していくには、自己投資が必要です。

 

自らを自己啓発でブラッシュアップし、長い人生で何をしたいかというアイデンティティを確立させることが、これからのビジネスパーソンには求められることでしょう。

 

参考文献/参考サイト
*1 参考)厚生労働省「平成30年度 能力開発基本調査の結果」調査結果の概要 P1
www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf
*2 参考)厚生労働省「平成30年度 能力開発基本調査の結果」調査結果の概要 P2
www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf
*3 参考)日本経済新聞 電子版「自己啓発本が活況 「生きづらい」と感じる人が増加?」
style.nikkei.com/article/DGXMZO27090920Z10C18A2EAC000

 

執筆者
名前:矢口ミカ
プロフィール:フリーランスの転職・不動産ライター。複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

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