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公的扶助はいくらもらえる?転職する前に抑えよう失業保険の基礎知識

転職活動では、退職後の生活費に不安を感じるのではないでしょうか。

仕事をしながらでは時間を確保するのが難しく、退職してから転職活動を始める場合は失業保険(失業手当・失業給付)を受け取れます。

ただし、失業保険には受給要件があり、退職理由によって受給日数や給付額は異なります。

そのため、転職活動を始める前に失業保険について理解しておくことが大切です。

 

今回は、転職する前に知っておきたい失業保険の基礎知識について説明します。

 

 

1.失業保険の受給者数の推移

 

国内の失業保険の受給者数(原数値)は、2020年5月までは40万人前後で推移していました。

2020年6月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で急増しており、2020年8月は55.5万人となっています。

 

失業給付受給者数

引用)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「失業給付受給者数(日本)」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/f/f10.html#f10-1)

 

 

新型コロナウイルスの感染状況によっては、さらに受給者数が増加する可能性もあるでしょう。

離職して収入がない人の生活を守るために、失業保険はセーフティーネット(安全網)としての役割を果たしています。

 

 

2.失業保険の受給資格

 

失業保険を受給するには、以下2つの要件をすべて満たす必要があります。

 

  • 就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、就職できない失業状態にあること
  • 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること(特定受給資格者・特定理由離職者は、離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上でも可) *1

 

病気やケガ、妊娠・出産などが理由で就職できないときは、上記の要件を満たさないので、失業保険は受給できません。

 

特定受給資格者とは、勤務先の倒産や会社都合の解雇で離職した人です。

また、特定理由離職者は、労働契約期間が満了して更新されなかった人や正当な理由で自己都合退職した人で、それぞれ受給資格が緩和されます。*2

 

ちなみに、新型コロナウイルスの影響で退職した場合は、正当な理由のある自己都合退職に該当し、特定理由離職者として失業保険を受給できます。*3

 

 

3.失業保険を受給するまでの流れ

 

退職後に失業保険を受給するまでの流れは以下の通りです。

 

  1. ハローワークで求職の申込みをして離職票を提出する
  2. 受給者説明会に参加する
  3. 7日間の待期満了
  4. 2か月または3か月の給付制限(自己都合退職の場合)
  5. 失業の認定を受ける(4週間に1度行われる)
  6. 失業保険の受給が開始される *4

 

失業保険の受給を希望する場合は、必要書類を持参してハローワークで手続きをしましょう。

ハローワークでは、提出された書類をもとに受給資格の確認・決定を行います。

指定された日時に開催される受給者説明会に参加して「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取り、初回の失業認定日を確認します。

そして、失業の認定を受けると、おおむね1週間程度で指定した普通預金口座へ給付金が振り込まれます。

 

ただし、自己都合退職の場合は給付制限があり、7日間の待期満了から2か月または3か月間は受給できません。

給付制限は原則3か月ですが、2020年10月以降の自己都合退職については、5年のうち2回までは2か月間に短縮されています。*5

 

 

4.失業保険の手続きに必要なもの

 

失業保険の手続きに必要なものをまとめました。

 

  • 雇用保険被保険者離職票1、2
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票)
  • 身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書など)
  • 写真2枚(正面上半身、縦3.0㎝×横2.5㎝)
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード *6

 

受給要件を満たしているかの確認と受給資格の決定を行うために必要なので、事前に準備しておきましょう。

 

 

5.失業保険の給付額

 

失業保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。

基本手当日額は、原則として、離職日の直前6か月間に支払われていた賃金(賞与を除く)の合計を180で割った「賃金日額」のおよそ50~80%(60~64歳ま45~80%)です。

賃金が低い人ほど、失業保険の給付率は高くなります。

基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が定められており、2020年8月1日現在は以下の通りです。

 

年齢区分

上限額

30歳未満6,850円/日
30歳以上45歳未満7,605円/日
45歳以上60歳未満8,370円/日
60歳以上65歳未満7,186円/日

参考)ハローワークインターネットサービス「基本手当について(支給額)」を参考に筆者作成(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html)

 

6.失業保険の受給日数

 

失業保険の受給日数は、退職理由によって異なります。自己都合退職や契約期間満了の場合の受給日数は以下の通りです。

 

年齢区分/被保険者であった期間10年未満10年以上20年未満20年以上
65歳未満90日120日150日

参考)ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」を参考に筆者作成(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html)

 

 

また、特定受給資格者と一部の特定理由離職者の場合は以下の通りです。

 

年齢区分/被保険者であった期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日-
30歳以上120日180日210日240日
35歳未満
35歳以上150日240日270日
45歳未満
45歳以上180日240日270日330日
60歳未満
60歳以上150日180日210日240日
65歳未満

参考)ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」を参考に筆者作成(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html)

 

倒産や解雇といった会社都合の退職に比べると、自己都合退職は給付日数が短いので注意が必要です。

 

7.早期に転職先が決まると再就職手当が支給される

 

失業保険の受給資格がある人が所定給付日数を残して就職した場合は、再就職手当が支給されます。再就職手当は、基本手当の支給残日数に応じて給付率が異なります。

 

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:支給残日数×70%×基本手当日額
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:支給残日数×60%×基本手当日額 *7

 

早期に転職先が決まった場合は、再就職手当の受給要件を満たしているかハローワークで確認しましょう。

 

8.転職活動をするなら失業保険をうまく活用しよう

 

退職後に転職活動をする場合は、失業保険を活用すると当面の生活費を確保できるので安心です。

失業保険はハローワークに必要書類を持参して手続きする必要があるので、退職する前に準備しておきましょう。

自己都合退職の場合は給付制限を考慮し、一定期間は無収入でも生活できるお金を用意しておくことが大切です。

 

 

参考文献/参考サイト
*1参考)ハローワークインターネットサービス「基本手当について(受給要件)」
www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
*2参考)ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
*3参考)厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ」
jsite.mhlw.go.jp/miyazaki-roudoukyoku/content/contents/000718078.pdf
*4参考)厚生労働省「離職されたみなさまへ(P5)」
www.mhlw.go.jp/content/11600000/000615656.pdf
*5参考)厚生労働省「「給付制限期間」が2か月に短縮されます(令和2年10月から適用)」
jsite.mhlw.go.jp/niigata-hellowork/content/contents/1001kyuusei.pdf
*6参考)ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き(受給資格の決定)」
www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
*7参考)ハローワークインターネットサービス「就職促進給付(再就職手当について)」
www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html

 

執筆者
名前:大西 勝士
プロフィール:金融ライター(AFP、2級FP技能士)
フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

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