新卒の給料はどれくらいもらえるものなのだろうか、と気になる方も多いでしょう。就職活動では受ける会社の給与を把握しておきたいものです。
給与とは求人票に書かれている金額だけではなく、控除や手取りなど様々な仕組みがあります。そこで新卒の初任給でもらえる金額の目安や手取り額について説明します。
1.新卒の給料は学歴、職種、地域次第
厚生労働省による賃金構造基本統計調査では令和元年、大学卒で入社した新卒社員の初任給平均額は、21万200円です。
ただし学歴や地域、職業によって金額は異なります。例えば令和元年高校卒の初任給は16万7,400円なので大学卒と比べると4万円近く差があることがわかります。
給料の地域差としては都市部から地方にかけて、初任給の平均額が下がる傾向があり、東京が最も高く22万500円なのに対し、最も低い沖縄では大学卒でも17万5000円です。
また職業によっても新卒の初任給はさまざまです。看護師など夜勤がある職業だと夜間手当などがつき、実際の手取りは平均額より高くなることもあるでしょう。
<令和元年 職業別の平均初任給>
国家公務員:総合職 |
23万2840円 |
国家公務員:一般職 |
22万5840円 |
事務員 |
20万1516円 |
技術者 |
20万6162円 |
研究員 |
21万387円 |
看護師 |
21万1132円 |
企業によっても初任給の傾向が異なります。日本経済新聞による2020年度の初任給が高い企業ランキングでは、1位の日本商業開発が50万円、2位の北の達人コーポレーションが38万円、3位のアビームコンサルティングが34万300円と平均を大きく上回ります。
業界内トップクラスの企業が名を連ねており、初任給でそれなりの額を出してでも優秀な新卒を集めたいという考えの表れでしょう。
2.給料から控除が引かれたものが「手取り」
給料とは提示されている金額がそのまま手に入るわけではありません。給与からさまざまな控除が行われ、手元に残った金額が「手取り」として給料になります。そのため収入額を考える際には、新卒の給料からどんなものが控除されるのか知っておきましょう。
①.初任給は給与と手取りが近い金額になる
新卒で入社し初月の給料は控除される項目が少なく、給与額と手取りは近い金額になるケースが多いでしょう。会社の規定によって異なりますが、少なくとも以下の2つのものが控除されます。
- 所得税
個人の所得に対する税金。給料の額に応じた金額が天引きされる。 - 雇用保険料
失業時の失業給付金をもらうための掛け金。会社と労働者で支払うもので労働者負担は給料の3%。
②.翌月からは控除が増え給料の8割が目安
給料には所得税と雇用保険料以外にも控除される項目があり、入社の翌月以降は天引きされるものが増えます。
給料ごとに控除される項目はこのようなものです。
- 健康保険料
治療費の自己負担をカバーするための保険。企業と労働者で保険料を半分ずつ支払い、規定の労働者負担分が引かれる。 - 厚生年金保険料
年金を受給するための保険料。保険料は年度や給料額によって異なるが、半分は企業が負担し、残りの金額が給与から引かれる。
この他にも労働組合費や共済費、介護保険料などが引かれるケースもあります。
これらの項目が天引きされるため、出費の計画を立てるときには「手取り額」で考えなければいけません。実際に手元に残る手取りは給与の8割程度なので、平均初任給額の21万200円で考えると、16万円前後です。
③.2年目以降は住民税の控除も加わる
新卒2年目6月の給料明細を見たときに、手取りが急に下がっていることに驚く方も少なくありません。これは2年目の6月からは住民税の控除が加わるようになるからです。
住民税は前年の所得に応じて課せられるため、前年度は学生で課税所得がない新卒社員は、1年目は住民税を徴収されません。2年目の6月以降からは新卒1年目の給料・賞与など所得に応じて住民税が課せられます。
3.初任給は求人の給料と異なるケースもあり
初任給で注意したいのが、初月の給料は求人で書かれている基本給の額より少ない場合があることです。
この手取りが少なくなる理由は、入社日と締め日です。多くの会社では10日、15日、20日などいわゆる五・十日を給与の締め日にして、そこまでの1ヶ月分の給料を次の給料日に支払います。10日締め、20日給料日の会社に4月1日入社すると、最初の給料日は10日しか働いていないため、給料も満額ではなく日割りで計算された金額になるのです。
4.まとめ
新卒社員がどれくらいの給料をもらえるかは、業界、職種を選ぶうえで気になる所です。欲しい金額の目安が決まっている場合は、給与でなく手取りで考えるようにしましょう。
また職種によっては初任給が低くても、経験を積むことで収入が大幅に増えるケースもあります。給与額で業界を選ぶなら、新卒時の給料だけでなく、それ以降の年代の平均年収を見て、昇進を重ねるとどれくらい給料が上がるのか、将来性も検討するといいでしょう。