企業研究
月経前症候群(PMS)とは?症状緩和に役立つ薬や食べ物を薬剤師が解説します

 

月経にともなうホルモンバランスの変化で、体調を崩す女性は少なくありません。

また、いわゆる生理休暇は労働基準法にも定められている*1ため、月経時の体調不良で仕事を休むことは職場でも比較的理解が得られやすいことでしょう。

 

しかし、月経前に生じる月経前症候群(premenstrual syndrome : PMSについてはあまり知られておらず、職場での理解も進んでいないのが現状です。

実際、症状に苦しんでいる人の多くは職場に言い出せず、8割以上の人が症状を我慢して出勤しています*2

 

 

生理が理由で仕事を休みたいと思っている人

引用)小林製薬株式会社「2012年PMS(月経前症候群)に関する男女の意識調査」より*2

 

 

そこで今回は、職場で話題にしにくく理解も得られにくい月経前症候群について解説します。

症状をやわらげる方法にもふれるので、月経前症候群が疑われる方はぜひ参考にしてください。

 

 

1.月経前症候群とは?

 

月経前症候群とは、月経の310日ほど前から生じる心身の不調のことで、月経の開始とともに症状が軽くなったりなくなったりするものをいいます。

 

①原因

月経前症候群の詳しい原因は、残念ながら明らかになっていません。

しかし、月経周期にともない生じるため、ホルモンバランスの変化が何らかの影響をおよぼしていると考えられています。

一方で、ホルモンの血中濃度と症状の有無・程度には直接的な関係がないこともわかっています。

 

そのため、月経前症候群はホルモン量の変化だけで生じるのではなく、性格やストレス、生活習慣などさまざまな要因が複雑に関与しているといわれています。

 

②月経前症候群が悪化する因子

月経前症候群を悪化させる因子としては、以下のようなものが知られています。

 

ストレス:環境の急激な変化(結婚・引っ越しなど)、仕事上のストレス(長時間労働・残業が続く・営業ノルマが厳しいなど)、家事や育児にともなうストレスなど。

 

性格:几帳面・まじめ・完璧主義・負けず嫌い・自分に厳しいなど、自分自身の甘えを許さない性格。

 

自律神経の乱れや体力低下:睡眠不足や不規則な生活などによる自律神経の乱れ、風邪や病気で免疫力が低下しているときなど。

 

食生活や嗜好品:喫煙・カフェインやアルコールの過剰摂取・栄養バランスの悪い食事など。

 

③症状

月経前症候群の症状は、200種類以上もある*3といわれています。

代表的な症状としては、イライラ感や胸の張り・痛み、眠気などがあげられますが、あらわれる症状や程度は個人差が大きく、同じ人であっても月により症状が大きく異なる場合があります。

 

 

感じたことのある生理現象

引用)小林製薬株式会社「2012年PMS(月経前症候群)に関する男女の意識調査」より*2

 

 

 

2.月経前症候群をやわらげる方法

 

月経前症候群が気になる場合は、症状を悪化させる習慣を避けるようにしましょう。

市販薬を利用して、不快な症状をやわらげるのも選択肢のひとつです。

ただし、症状の改善が見られない場合は医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

 

①月経前症候群の悪化につながる食べ物・緩和に役立つ食べ物

月経前に限らず、健康のために栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

イライラ感やむくみなどの症状がある場合は、以下の点にも注意しましょう。

 

 

★食欲が増しているとき・イライラがつのるとき

OK食べ物穀物・豆類・イモ類など血糖値が上がりにくいもの。少量の食事を何回かに分けて摂るのも良い。
NG食べ物チョコレートやケーキなど血糖値を急激に上げるもの。
理由血糖値が急激に上がるとインスリン(血糖値を下げるホルモン)が大量に分泌され、かえって空腹感が強くなったりイライラ感が増したりする可能性があるため。

 

★イライラするとき・感情がコントロールできないとき

OK食べ物ビタミンやミネラルを豊富に含むもの。イソフラボンを含むもの。
NG食べ物カフェインを含むもの(コーヒー・茶類・栄養ドリンクなど)
理由理由:神経を緊張・興奮させるカフェインを摂取すると、症状が悪化する可能性がある。ビタミンやミネラルの不足が情緒不安定につながることもあるので、栄養バランスに配慮した食事を心がけるのが良い。ホルモンバランスを整えるため、女性ホルモン類似作用が期待できるイソフラボンを含むもの(豆腐や豆乳など)を摂取するのもおすすめ。

 

★頭痛や腰痛、むくみなどがあるとき

OK食べ物大豆油や菜種油などを使った料理
NG食べ物アルコール、塩分を多く含むもの。
理由アルコールで血行が促進されると、痛みが増すことがある。また、塩分の過剰摂取は、むくみをまねきやすい。大豆油や菜種油など植物油に含まれるγ-トコフェロール(ビタミンEの一種)は利尿作用があるため、むくみの解消に効果が期待できる*4。

 

 

②運動で月経前症候群が改善することもあります

軽く体を動かすことが、月経前症候群の改善につながることもあります。

 

運動すると気分転換になり、血行も適度にうながされます。運動で、肩こりや腰痛などが改善することもあります。

ストレッチや散歩など、できる範囲で軽く体を動かしましょう。

 

もちろん、体調がすぐれないときに無理をする必要はありません。運動できない場合は深呼吸をして、体をリラックスさせましょう。

 

③症状の緩和に役立つ市販薬やサプリメント

むくみや痛み、肌荒れなどは市販薬やサプリメントで対応することも可能です。月経前症候群そのものをターゲットとした市販薬も販売されています。

 

 

症状など

おすすめの市販薬

月経前症候群

チェストベリー*5を含むもの

むくみ

漢方薬

ニキビや吹き出物など肌荒れ

ビタミンB群やビタミンCを含むもの

頭痛や腰痛など

痛み止め

下痢・便秘

整腸剤

不眠

ジフェンヒドラミンなどを含む睡眠改善薬

 

 

市販薬で症状がおさえられない場合は、医療機関を受診しましょう。医療機関であれば、ピルなどのホルモンを含む薬や利尿薬、吹き出物やニキビ専用の抗菌作用のある塗り薬、睡眠導入剤など、市販で購入できない薬が症状にあわせて処方されることもあります。

 

医療機関では、具体的にどのような症状があるのか・どの程度ツラいのか(仕事が手につかないほど・寝込むほど、など)を具体的に伝えると、適切な薬を処方してもらいやすくなります。

 

 

3.月経前症候群がつらい場合は、無理せず自分をいたわって

 

心身の不調に周期性があるように感じたら、月経前症候群を疑ってみましょう。カレンダーなどに不調が表れた日を記録していくと、パターンが見えてきて対策がとりやすくなります。

 

そして体調不良が予測される時期は、可能な限り仕事の量をセーブしましょう。シフトを調整してもらう・仕事を休むのも方法の一つです。

休む際は、月経前症候群を理由にしても理解が得られにくいため、具体的な症状(頭痛・吐き気など)を伝えると良いでしょう。家庭では、家族に理解と協力を求め、家事負担を軽減させることも大切です。

 

月経前症候群にともなうイライラ感や眠気などは、コントロールが難しい場合が多いものです。しかし、コントロールできないツラさは、なかなか他人に伝わりません。

人間関係や仕事に支障をきたさないためにも、無理を避けて自分自身をいたわるようにしましょう。

 

 

 

参考資料/参考サイト
*1参考)e-Gov法令検索「労働基準法>第六十八条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)」
elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
*2参考)小林製薬株式会社「企業情報>小林製薬調査レポート>Vol.31 女性の約9割が経験しているPMS、男性の認知率はわずか1割程度>小林製薬調べ『2012年PMS(月経前症候群)に関する男女の意識調査』より」
www.kobayashi.co.jp/corporate/news/report/
www.kobayashi.co.jp/corporate/news/report/pdf/v31.pdf
*3参考)知ろう、治そう、PMS【月経前症候群】「PMSって?」
pms-navi.jp/about/
*4参考)三菱ケミカルフーズ株式会社「製品情報>健康食品素材>6.ビタミンE」
www.mfc.co.jp/product/kensyoku/index.html
*5参考)生理前の不快な症状、PMSを治そう。PMS治療薬 プレフェミン:ゼリア新薬「プレフェミン」
prefemin.jp/

 

監修
名前:中西 真理
プロフィール:公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

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