企業研究
再就職支援サービスの実態は 意外に知られていないハローワークの制度をフル活用しよう

 

ーー失業したらハローワーク

そう考える人は多いでしょう。

 

ハローワークでは職業紹介のみならず、失業時における「生活及び雇用の安定並びに就職の促進のため」に失業等給付(基本手当)を支給する制度*1があり、失業時に来所するケースの大半を占めます。

 

その一方、国内最大の求人数を誇るハローワークですが、

「希望する企業の求人を見つけられない」

という声も耳にします。

それならば、民間求人サイトの方がアプローチもしやすく便利なのではないか、と思う方もいるでしょう。

 

しかし実は、「ハローワークならでは」の再就職支援制度があることをご存知の方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

 

 

1.職業訓練制度(ハロートレーニング)

 

民間求人サイトでは利用することのできないサポートの一つに、職業訓練があります。

「ハローワークならでは」の理由として、雇用保険を受給しながら受講できる「公共職業訓練」の存在が挙げられます*2

 

通常、学校へ通うには学費の支払いや交通費の負担などが発生します。

しかし公共職業訓練ならばこれらの心配は不要。

さらに、お金をもらいながら再就職に向けてのトレーニングができる、という非常に嬉しい制度です。

 

もう一つのサポートとして「求職者支援訓練」があります。

こちらは、主に雇用保険の受給ができない求職者が対象となり、要件に該当すると「職業訓練受講給付金(月10万円+通所手当+寄宿手当)」が支給されます*3

さらに、女性向け委託訓練や再就職促進オンライン委託訓練など、ニーズに合わせたコースが豊富に用意されています。

これらの訓練はいずれも、再就職のためのキャリアアップや希望する就職の実現のため、必要な職業スキル・知識を習得できる公的な制度です*4

 

これら制度に関し、社労士である私はハローワークを訪れ、実際に職員の方々へインタビューを試みました。コロナ禍の中、最新の実施状況を調査するためです。

そして職業訓練希望者に動きがあったかを尋ねると、

「明らかに増えました。応募倍率が軒並み増加しています」

と、入校生応募状況の資料を提示してくれました*5

 

過去2年分に目を通しましたが、コロナショック後に明らかな応募者数の増加が見られます。

とくにWebデザイン科やWebクリエイター養成科、JAVAプログラマ養成科などの人気が顕著で、3倍前後で推移しています。

過去には10倍を超える応募倍率の月もあり、就職希望者が職業スキル習得の重要性を感じていることが分かります。

 

ハローワークと職業訓練学校(民間委託先含む)は、訓練終了後3か月間を目安に継続的に再就職支援を行います。

ここまで至れり尽くせりなサポートを受けることは、ハローワーク以外では難しいでしょう。

 

 

2.就職してからもサポートがある?!

 

求職活動を経て再就職が決まると、いよいよハローワークとお別れです。

しかしハローワークは、最後のギフトとして「再就職手当」を用意しています。

 

再就職手当には支給要件があり、大まかには「基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合」に支給され、3分の2以上の支給残日数があれば給付率がアップします*6

 

なぜ支給残日数が関係するのでしょうか。

それは、

「早期に安定した職に就くことや事業を始めることで、より早期の再就職を促進できるため」

という願いが込められているからです。

 

この「安定した職に就く」という点で、実務上再認識させられる出来事がありました。

顧問先での事例です。

先日、ハローワークからの紹介でAさんがアルバイトとして入社しました。

労働条件を確認し雇用契約を締結、指定日から問題なく就労がスタート。

それを受けて私は、雇用保険加入の手続きを行いました。

Aさんは契約上「週20時間以上の労働」となるので、入社当初から雇用保険加入となります。

資格取得手続きも済み、入社から一ヶ月が経過した頃、ハローワークから一本の電話がありました。

「Aさんの資格取得日を訂正してください」

 

驚いた私はその職員へ事情を尋ねました。

すると、

「Aさんの再就職手当の審査をしているが、申請書に記載された内容からすると雇用保険加入は入社日ではなく、そこから2週間ほど経ってからではないか」

とのこと。

 

なぜこのような齟齬が生まれたのでしょう。

その原因は、一週間の労働時間にありました。

 

Aさんは入社から2週間、実働として週20時間以上は働いていませんでした。

そのため、雇用保険加入の要件を満たしていない=安定した職に就いていないと判断されたのです。

そして週20時間以上の労働となった日から雇用保険に加入=安定した職に就いたとみなされ、その時点で再就職手当の支給が決定しました。

 

ここで私は「なるほど」と考えさせられました。

雇用保険加入までの在籍期間で就労しなかった日については、「基本手当」の受給が可能です。

安定した職に就く=雇用保険加入までは「失業状態」とみなされ、ハローワークで失業の認定を受ければ基本手当の受給が可能。

 

ハローワークとしても、単に就職が決まっただけでは生活の安定に繋がらないため、最低でも週20時間以上の労働が確保できるまでは、失業状態とみなしてサポートを続けるのです。

そして事実確認をした上で再就職手当の支給へと繋がります。

 

なお企業側は、ハローワークからの紹介で労働者を雇用する場合、「採用証明書」の記入方法にご注意ください。

雇入年月日とは別に「雇入年月日前の貴社における就労の有無」を記入する欄があり、雇用保険加入前、つまり週20時間未満の労働があった日について別に証明する必要があります。

その際、労働時間確認のため「出勤簿」の提出を求められるので、予め用意しておきましょう。

 

 

3.転職におけるセーフティネット

 

残念ながら、

「ハローワークの求人情報はイマイチ!」

と感じている求職者はいます。

自分が望む業種や職種とマッチしない場合もありますし、民間の求人サイトの方が希望に沿うこともあるでしょう。

 

しかし、対面で相談できる安心感や就職に向けてのトレーニング、また失業期間の収入補償から再就職後のご褒美に当たる給付など、あらゆる面から再就職をサポートできることこそが、ハローワークの存在意義といえます。

 

会社と労働者(雇用保険被保険者)双方が負担する雇用保険料。

その有効活用のためにも、転職の際にはハローワークの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

参考資料/参考サイト
*1参考:厚生労働省/ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要
*2参考:東京労働局/公共職業訓練について
*3参考:厚生労働/雇用保険を受給できない求職者の方へ(リーフレット「求職者支援制度があります!」)
*4参考:東京労働局/ハロートレーニングー急がば学べー
*5参考:東京都/TOKYOはたらくネット(民間教育機関での職業訓練/令和2年度委託訓練応募状況1月入校生)
*6参考:厚生労働省/ハローワークインターネットサービス(再就職手当について)

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