企業研究
テレワークができない仕事や職種はどうする?新型コロナウイルス感染症対策を内科医が解説

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束の見えない昨今、緊急事態宣言が発出されている地域もあり、先の見えない閉塞感が世の中に漂っています。

「政府はテレワークしろ、というけどうちの職場は全然対応してくれない」

などとお困りの方に向けて、転職を考える前に自分でできるCOVID-19対策についてまとめてみました。

 

今回は、日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医である本田さんに執筆をしてもらいました。

 

 

1.COVID-19について今わかっていること

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」によるウィルス感染症です。

これまでに誰もかかったことのない病気であり、どのような病気であるか、また後遺症はどんなものがあるかなど、わかっていないこともまだ多くあります。

20211月末現在でわかっていることについて簡単におさらいしておきます。

 

 

(1) 感染経路

 

COVID-19は、飛沫(ひまつ)感染と接触感染の両方で感染します。

 

・飛沫感染:咳やくしゃみ、つばなどに含まれるウィルスを吸い込んで起こる感染

 ・接触感染:ウィルスに直接触ることで起こる感染

 

 

(2) 潜伏期と他人に感染させる可能性のある期間

 

潜伏期は114日間とされています。ウィルスに曝露してからおよそ5日程度で発症することが多いとされています。

 

他人に感染させる可能性のある期間は、発症(症状が出る)2日前から発症後710日間程度と考えられています。

症状が出る前から他人に感染させることがCOVID-19対策を難しくしている一つの大きな理由です。

また、発症から間もない時期の感染性が高いことが、感染経路がわからない市中感染の原因となっています。

 

 

(3) 年齢と重症度

 

 

COVID-19の重症者は60代以上に集中しています。

50 代までは重症化する例は少なく、60代から年齢が高くなるにつれて重症者(集中治療室へ入る、または人工呼吸器を装着する)が増えています。

また致死率も高くなっているのが特徴です。

 

(4) よく見られる症状と経過

 

 

COVID-19でよく見られる症状は、発熱,咳嗽(がいそう;咳), 倦怠感(身体のだるさ)です。病気が悪化して肺炎が進行すると呼吸困難が現れます。

 

意外な症状として、約1割の方に下痢の訴えがありました。メディアで大きな話題となっている味覚障害(味がわからない)、嗅覚障害(においがわからない)はそれぞれ15%程度の方に見られました。

 

病気の経過としては、約8割の方は無症状、もしくは軽い風邪症状程度の症状のみで治ります。およそ2割弱の方が呼吸困難や咳・痰などの肺炎症状で入院、およそ5%は集中治療室で人工呼吸器などの治療が必要となります。

 

(5) COVID-19の後遺症について今わかっていること

日本における、COVID-19から回復した方63人を対象とした電話調査では、発症から60日経った後にも嗅覚障害(19.4%)、呼吸困難(17.5%)、倦怠感(15.9%)、咳嗽(7.9%)、味覚障害(4.8%)があると回答しました。

 

さらに発症から120日経った後でも、11.1%の方が呼吸困難を、また嗅覚障害(9.7%)、倦怠感(9.5%)、咳嗽(6.3%)、味 覚異常(1.7%)を訴えています。

また、全体の24%に脱毛の訴えがみられました。脱毛は発症後約30日頃から出現し,約120日頃までみられました。*1

 

まだ後遺症についてはわかっていないことも多く、今後数多くの回復者からの調査の結果が待たれます。

 

 

2.今日からできる職場のCOVID-19対策

 

職場でできるCOVID-19対策については、厚生労働省がチェックリスト*3にまとめていますので、参考にしてみてください。

 

職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト

 

 ここでは、その中から大切なものをピックアップしてお伝えします。

  

(1) 感染症予防の基本を抑えよう

COVID-19に限らず、感染防止の3つの基本は以下の3つです。

 

1.身体的距離の確保

2.マスクの着用

3.手洗い

 

一人一人が3つの基本を徹底することが最も大切であり、また最も効果的な予防法です。

 

身体的距離の確保

人との間隔は最低1m、できれば2m空けましょう。

 

 マスクの着用

外出時、屋内にいるときや会話をするときには、症状がなくてもマスクを着用しましょう。残念ながら、フェイスシールドだけではほとんど意味がありません。フェイスシールドを装着する際にはマスクを併用しましょう。

 

マスクを正しく着用するのも感染対策には欠かせないポイントです。正しい付け方は厚生労働省の作成した動画をご参考ください。

 

厚生労働省「正しいマスクのつけ方*2

 

 手洗い

 

 

手洗いは30秒程度かけて、水と石けんで丁寧に洗いましょう。

正しい手洗いの方法については、厚生労働省が動画を作成しています。

 

厚生労働省「正しい手洗い方法*2

 

 

(2) 職場環境を整えてクラスター発生を予防する

 

職場に出勤せざるを得なくても、自分だけでもできるCOVID-19がいくつかあります。できる範囲で実行してみましょう。

  

3密を避けるために

 可能な限りテレワークを導入したいところです。

業務によってどうしてもテレワークができない場合は、ローテーション勤務や時差出勤などで、オフィスにいる人数をできるだけ減らしましょう。

 

会議はオンラインで行うことをお勧めします。

どうしても対面で行う必要がある場合は会議室に入る人数をできるだけ少なくし、座席配置を工夫して真正面で会話をすることはできるだけ避けましょう。

 

職場では、休憩室や更衣室などでの感染事例が相次いでいます。

休憩室や更衣室は狭くて密になりやすく、さらにマスクを外して私語をすることが多い場所です。

一度に入室する人数を制限すること、また休憩室では対面で座らないこと、食事をしたら速やかにマスクをすること、できるだけ私語はしないことを徹底しましょう。

 

 飛沫感染対策

・換気の徹底が最も大切です。

 機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、建築物衛生法令の空気環境の基準が満たされていることを確認します。

 職場の建物の窓が開く場合、1時間に2回程度、窓を全開にします。1回あたりの換気時間は数分で構いません。2方向以上に窓やドアがある場合は、同時に開けて空気の流れを作りましょう。

 換気の目安として、職場にあれば二酸化炭素モニターを利用しましょう。1000ppm を超えたら換気が必要です。

 

注)人がいる環境に、消毒や除菌効果を謳う商品を空間噴霧して使用することは、眼、皮膚への付着や 吸入による健康影響のおそれがあることから推奨されていません。

 

・咳エチケット(咳や発声の際には袖やハンカチ等で口を覆う)を徹底しましょう。

 

 

人は意外と自分の顔に触れているものです。顔についたウィルスを無意識に触った手で共用の物に触れることで、職場内感染が広がっていきます。

 

備品の共用はできるだけ避けましょう。どうしても共用しなければならない場合には、使用前後での手洗いや手指消毒を徹底します。

 

事業所内で複数の人が触れることがある物品、機器、治具・工具等については、こまめに消毒を実施しましょう。忘れがちなのが、ドアの取っ手やノブ、電話など日常的に使用する物品です。

また、洗面所の蛇口を介したと思われる職場内感染の事例も出ています。洗面所を使用した場合はその場で水分を拭き取り、消毒を行いましょう。

 

 

体調が悪い場合に休暇を取れる職場環境作り

 日常的な健康状態の確認(体温、風邪症状・味覚や嗅覚の異常など)を行う習慣をつけましょう。

 

体調が悪い時には正直に申告し、休みを取りやすい雰囲気を作ることが極めて大切です。従業員は体調不良の際は勤務しないこと、管理者側は正直に申告し休むことで不利益な扱いにしないことを徹底します。

 

 

3.職場でCOVID-19感染者が出た場合の対応

 

万が一職場でCOVID-19感染者が出た場合の対応について簡単にまとめておきます。基本的にはすぐに職場に届け出ること、保健所や医療機関の指示に従うことが重要です。

 

(1) 自分が感染した場合

新型コロナウイルスに感染していることが判明した場合は、速やかに職場に電話、メール等により連絡します。自ら出向くことは感染を広げる可能性が高いのでやめましょう。

 

(2) 従業員が感染した場合の職場の対応

従業員から感染の連絡を受けた担当者は、保健所に連絡し、濃厚接触者への対応などを確認します。保健所の指示に従い、必要に応じて感染者の勤務場所などを消毒し、同勤務場所の従業員に自宅待機を命じます。

 

濃厚接触者の定義

 

 

濃厚接触者とは、厚生労働省によると「新型コロナウイルスに感染していることが確認された方と近距離で接触、或いは長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方」のことです。*3

 

誰が濃厚接触者となるかは、その場の状況はマスクの装着の有無などによって大きく変わります。保健所の指示に従いましょう。

 

 

陰性証明は不要

 COVID-19から復帰する際には、陰性証明は不要です。病院を退院した場合はもちろんのこと、保健所で指定された自宅待機期間を終了していれば、他人に感染させる可能性はほぼゼロです。

 

復帰する従業員が医療機関に「陰性証明書や治癒証明書」の発行を求めたり、会社が復帰する職員・従業員に「陰性証明書や治癒証明書」の提出を指示したりすることは、医療機関に余分な負荷をかけ、医療崩壊につながります。

 

 

(3) COVID-19と労務管理

 COVID-19で会社を休んだ場合の対応など、企業側から見た対応については日本産業保健法学会が新型コロナ労務Q&A*4として簡潔にまとめています。労働者の立場でも知っておいた方が良い知識もありますので、興味のある方はぜひ確認してみてください。

 

日本産業保健法学会「新型コロナ労務Q&A

 

 

4.まとめ:正しく恐れて正しく対策しよう

 

以上、20211月末現在におけるCOVID-19の状況と手軽にできる職場の対策についてまとめました。

正しい知識でできることから対策を取り、楽しく仕事ができる体制を整えましょう。

 

監修
名前:本間
プロフィール:日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医。働く人のココロとカラダの健康を守ります。

 

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