職種によって多少異なるものの、転職の面接ではお決まりの質問や流れがあります。面接対策をするときには、よくある質問とその質問の意図を踏まえた答え方を知ることが大切です。
ポイントを抑えた回答で面接官が選考のために知りたいと思っている情報を的確に提供すれば、好印象を与えられるでしょう。
この記事では転職の面接でよく聞かれる質問と、答えるときのポイントを解説します。
1.転職の面接で聞かれるのは「転職理由」と「実績」

転職面接の場合企業として知りたいことは①定着性 ②再現性の2点です。
①定着性:長く働いてくれるか
企業は中途採用1人を獲得するために、紹介会社を通すと150~200万円、リクナビネクストやマイナビ転職などへの媒体掲載の場合は1回40~120万円をかけています。面接の人件費もと考えると大変な投資になります。
そのため中途入社の方へは、期待値通りのパフォーマンスと、長く戦力として働いてもらうを求めるのです。
②再現性:用意している業務を任せることができるか
中途採用の場合、企業には既に担当をいただきたい業務が存在しています。
そのため、「いかに伸びしろのある人材か」ではなく、「これまでの経験・身に付けたスキルが募集内容とマッチしているか」が企業としての見極めポイントになります。
定着性と再現性を確認するための定番の質問とは
この①定着性と②再現性を確認するために、面接官はいろんな角度から質問をするわけです。
①②を知るための定番の質問内容が、「転職理由」と「これまでの経験/実績」なのです。
必ず聞かれるといっても過言ではありません。
転職する理由や実績への質問は、深く掘り下げて聞かれる可能性があります。
鋭い質問に思いつきで答えていると、言っていることが矛盾してしまうので、ストーリーで語れるように整理・まとめておくようにしましょう。

また面接の一般的な流れとして、自己紹介や自己PR、志望動機を聞かれ、最後は何か質問がないか逆質問を聞かれるケースがあります。しかしこれらはどの質問も、端的にコミュニケーションが取れるかを知るための質問です。常套句とも言えます。
オドオドせず、どういうキャリアを描いていきたいのか(キャリア目標)、どういうスキル・経験を活かし身に着けていきたいのか(キャリア手段)を、事前にストーリーで整理し、自分の言葉で答えられる準備しておきましょう。
2.ポイントを抑えた自分だけの答えを準備しよう
企業の面接官は中途採用の場合、事前に書類審査をしているのでスキル・経験は大筋合致している前提で面接に挑んできます。
面接官の質問に答えるときには、質問の意図を踏まえた回答をしなければいけません。
質問から面接官がチェックしている3つのポイントと、よくされる質問の答え方をみてみましょう。
①.入社後、配属チームの中で円滑にコミュニケーションが取れそうか?
中途採用の一次面接官の多くは配属チームの上長となる人です。
そのため円滑に業務をまわすために、新たに入社させる人材が円滑に溶け込めるかは厳しくチェックするポイントとなります。
コミュニケーション力とは会話力でもあります。
丸暗記をした内容を思い出しながら言う人は…柔軟性が足りないですね。専門職ならまだしも総合職ではアウトです。
多くはこの質問から会話は始まります。
「これまでの経歴について自己紹介を踏まえながらお願いします。」
「自己紹介を1分程度でお願いします」
丸暗記はいけません。大筋の流れを整理し自分の意見として話すことが重要です。
明るく話す方なのか、笑顔で会話ができる方なのか、話すと1分もせずにわかります。
ムリをしろとは言いませんが、仕事はあくまでも人と人の連携が必要となります。
第一印象が良くなるように相手の目をしっかり見てハキハキと答えましょう。
※個人的な趣味や長所を知るための自己紹介ではないので、自身のキャリアビジョンを踏まえながら話すのをお勧めします。
企業や職種が求めているスキルや経験に関するものを話すようにします。
「これまでの実績や経験のなかから、あなたにとって誇れるものを教えてください。」
「入社後はどのように会社に貢献できますか?」

転職の場合、既に担当いただきたい業務が存在しています。
そのため面接官は、一人で任せても大丈夫な程の経験・スキルを有しているか、あなたの採用が会社にとって目標達成の原動力となれるかを知りたいと思っています。
この質問に答える時は、スキルや経験を並べるだけでなく、それを今後どのように活かしていきたいのか具体的に結びつけてください。
また大切なのは何を成し遂げたか、という結果だけでなく、どのように行なったかというプロセスも話すことです。目標を達成するための行動力があることをアピールして、入社後の活躍をイメージしてもらいましょう。
②.キャリアビジョンをきちんと持っているか?
転職者は、必ず何か理由があって前職を辞めています。面接官は質問を通して、その人が同じように自社をすぐに辞めてしまわないか、仕事を続ける意欲をチェックしています。
「前職を退職して、転職を考えた理由は何ですか?」
退職の理由はネガティブなものになりがちですが、「残業が嫌だった」など不満だけの理由を述べると、「うちの会社でも残業が増えたら、また辞めるのではないか」という印象を与えてしまいます。
転職理由は感情的なものではなく具体的かつ論理的に説明する必要があります。
重要なのは、どのようなキャリアプランを描いていて、この転職活動は何を意味するのか。という事です。
転職理由を準備する時には、自分のキャリアプランや目標達成にとって、前職の状況は適切でなかった、という角度で考えて、できるだけ前向きなものする方が面接官への印象がいいでしょう。

③.入社したら何をしたいか、という具体的な考えがあるか
どの企業も、自社に入りたいという熱意がある人を採用したいものです。そのほうが意欲的に仕事に取組み、長く続けてくれる可能性が高いからです。面接時にはその熱意や入社への意欲が見られています。
「なぜ転職先として当社を選んだのですか?」
「当社を第三者としてみて、何が足りないと思いましたか?」
これらの質問は、事前に会社の事を自分なりに調査し企業理念や経営方針、求人の業務内容、提供している商品・サービスを把握しておかないと、話すことができません。
社会人なのですから、事前調査くらいはするのが当たり前です。
(営業であっても、バックオフィスであっても、調査→問題・課題の発見→改善行動は当たり前プロセスです。転職の場でも、このプロセスが自然にできる人のを採用したいのは当然と言えます。)
事実を把握し、そこから起きているだろう問題・課題を予測し、これまでの経験・スキルを持ちいて何をしたいのか。
これを整理して話すことで、他の応募者と被らない自分だけの志望動機がおのずと出来上がります。
一般的には、職業への熱意ではなく、なぜその会社に入りたいと思ったのか、その会社でなければいけない理由ともなります。

3.逆質問は「仕事」に関するものにすると好印象
面接では「何か質問はありますか?」と質問を求められることがあります。
何も不明点がないからと「特にありません」と答えると、会社への興味が薄いと思われてしまうかもしれません。会社への興味や入社意欲を伝えるために何か質問を準備しておきましょう。
そのときに注意したいのが、待遇や勤務条件への質問ではなく、業務内容や部署など仕事そのものについての質問にすることです。
募集条件の不明点を明確にしておくことは大切ですが、面接の段階で給与や休日についてあれこれ聞くと仕事への意欲を疑われてしまうかもしれません。「研修はどのように行われますか?」、「チームで活躍している方は、どのようなキャリアの方が多いでしょうか?」など入社して働いている姿をイメージした質問がいいでしょう。
4.まとめ
転職時の面接では、よく聞かれる質問がありますが、ありふれた模範解答を答えるだけでは面接官へ良い印象を残すことはできません。面接官は、何を知りたくてその質問をするのかを考えて、それをふまえた自分だけの回答を準備することが大切です。
転職に対する見方や仕事の目標をきちんと整理して、鋭い質問にも落ち着いて対応できるようにしておきましょう。