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未経験でも介護の仕事はできる?転職時・面接までに押さえたいポイントとは

新型コロナウイルスの影響で、有効求人倍率は徐々に低下しています。

このような状況でも、高い有効求人倍率を維持しているのが介護業界です。

2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるため、より一層介護職員の需要が高まると考えられます。

 

介護の仕事は、資格がないと働けないイメージがありますが、実は無資格でも働けます。

さらに、新卒採用よりも中途採用が多く行われているのです。

 

しかし、介護の仕事には「大変そう」「給料が低そう」などのイメージがあり、興味はあっても躊躇する方がいるかもしれません。

 

今回の記事では、介護業界の有効求人倍率や採用状況についてお話しします。

さらに、実際に働く介護職員の悩みをもとに、未経験の方が転職するときにおさえたいポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

1.全体の有効求人倍率は低下。介護業界は高い倍率を維持

 

新型コロナウイルスの拡大は経済や採用に大きな影響を与え、求人倍率が低下しています。

 

令和2年6月の有効求人倍率は1.11倍で、前月より0.09ポイント低下しました。*1

下のグラフの通り、令和2年に入ってから徐々に低下しています。

新規求人倍率は1.72倍で、前月より0.16ポイント下回りました。*1

 

引用)厚生労働省 「一般職業紹介状況(令和2年6月分)について」

引用)厚生労働省 「一般職業紹介状況(令和2年6月分)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00041.html)

 

次に、介護分野にしぼって見てみましょう。

平成26年以降、介護関連職種の有効求人倍率の伸びは加速し、高い水準を維持しています。

令和元年の介護関係職種の有効求人倍率は4.20倍で、全職種の有効求人倍率の約3倍になりました。*2

 

引用)内閣府 「令和2年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況 2 健康・福祉」

引用)内閣府 「令和2年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況 2 健康・福祉」(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/pdf/1s2s_02.pdf 38P)

 

令和2年1月以降、介護サービスの職業の有効求人倍率はやや低下しているものの、全職業の有効求人倍率に比べて高いままです。

 

厚生労働省 「一般職業紹介状況 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))」令和2年1月~6月分を基に筆者作成

参考)厚生労働省 「一般職業紹介状況 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))」令和2年1月~6月分を基に筆者作成(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1b.html)

 

以上のデータから、新型コロナウイルスの拡大によって有効求人倍率が低下していますが、介護に関する職種はそれほど影響を受けていないことが分かります。

 

2.介護で働く人は未経験からの転職が多い!

 

次に、介護業界の採用状況について見てみましょう。

 

介護業界では、中途採用・介護未経験の人が多く働いています。

介護労働安定センターの調査によると、学校卒業後に収入の伴う仕事をしていたかという質問に対して「前職あり」と答えた人は78.2%でした。

その仕事内容は「介護・福祉・医療関係以外の仕事」が63.4%と最も高くなりました。*3

 

公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」

引用)公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_roudousha_chousahyou.pdf 80P)

 

では、なぜ中途採用・未経験の人が多いのでしょうか。

少子高齢化に伴う人手不足の他に、以下の要因が考えられます。

 

①資格がなくても働ける

介護業界で働くためには、資格が必要というイメージがあるかもしれません。

しかし、資格は必須ではなく、仕事内容によっては資格がなくても働けます。

未経験でもスムーズに働けるよう、入職時に研修を行う職場も多くあります。

また、職員の資格取得を応援するため、補助を出してくれる職場もあります。

 

②これまで培った生活の知恵やスキルが活かせる

介護は人の生活を支える仕事なので、これまでの生活で培ってきたスキルが活かせます。

掃除や洗濯、料理などは、日常的にこなしていないとなかなかコツが分かりません。

 

筆者が看護学生のとき、教員から言われた言葉で忘れられないものがあります。

 

「看護師が1人の生活者として自立していなければ、患者の日常生活の世話はできません。」

 

これは、介護の仕事にも通じることです。

資格も大切ですが、きちんとした生活を送ってきた人が重宝されます。

 

3.現役の介護職員が感じる「仕事の負担や悩み」とは?

 

中途採用・未経験の人が多く活躍している介護業界。

しかし、仕事内容は過酷なイメージがある方も多いと思います。

そこで、実際に介護業界で働く人がどのような悩みを感じているのか、データを見てみましょう。

 

介護労働安定センターの調査によると、労働者の労働条件・仕事の負担に関する悩み、不安、不満等において「人手が足りない」が55.7%で最も高くなっています。

次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」が39.8%。

「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」が29.5%という結果でした。*4

 

公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」

引用)公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_kekka_0818.pdf 5P)

 

では、調査結果1~3位について、もう少し深く解説します。

 

①人手が足りない

高い有効求人倍率からも分かる通り、介護業界は慢性的な人手不足に陥っています。

介護事業所に対して行った調査で、介護サービスに従事する従業員の不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)は全体で65.3%でした。*5

下のグラフの通り、昨年よりやや低下しているものの、近年は60%台を推移しています。

特に、訪問介護員の不足感が高い状況です。

 

公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」2

引用)公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_kekka_0818.pdf 1P)

 

②仕事内容のわりに賃金が低い

「介護業界で働く人の賃金が低い」と、耳にしたことがある人もいるでしょう。

では、実際の賃金がどのくらいなのか、データを紹介します。

 

令和元年、全職種の所定内賃金(正規職員、月給の者)は、平均234,439円でした。

平成26年からの推移を見ると、徐々に増加しています。*6

 

引用)公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」3

引用)公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_kekka_0818.pdf 4P)

 

この賃金の数字だけを見て「思ったより安くないな」と感じた人もいるかもしれません。

ポイントは、「仕事内容の割に」という部分です。

賃金そのものが安いのではなく、労力に見合っていないと感じている人が多いのでしょう。

仕事の大変さには、人手不足に伴う忙しさや身体的負担など、さまざまな要因が関係していると考えられます。

 

③身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)

介護の仕事は、入浴介助やベッドへの移乗など、体力を使う場面が多くあります。

また、オムツ交換や衣類の着脱介助は、腰をかがめた状態で介助するため、腰痛にもなりやすいでしょう。

実際に、筆者が働いていた職場でも、腰痛に悩む介護士が多くいました。

 

4.未経験でも大丈夫!介護への転職時におさえたいポイント

 

上記の見出しで、介護職員が感じる悩みの上位は「人手が足りない」「仕事内容の割に賃金が低い」「身体的負担が大きい」と紹介しました。

これを踏まえて、未経験の人が介護業界に転職するときにおさえたいポイントを解説します。

 

①どんな職場で働くか考える

介護の仕事には、施設や在宅などさまざまな分野があります。

それぞれの特徴を調べたうえで、自分がどのような職場で働きたいのか考えましょう。

 

訪問介護で働くためには、介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格が必要です。

そのため、資格がない場合は、施設サービスか通所サービスに従事することになります。

 

例えば、通所介護(デイサービス)への転職を考えたとしましょう。

通所介護は、夜勤がありません。

加えて、通所介護に通う利用者は、施設に入所する利用者に比べて自分で動ける人が多いので、介助の割合が少なく体力の消耗は少ないといえるでしょう。

一方で、夜勤がないと賃金は低くなります。

そのため、通所介護は身体的負担が心配な方には向いていますが、収入を重視したい方は満足できないかもしれません。

職場の特徴と自分の希望がなるべく一致するところを選びましょう。

 

②研修がしっかりしている職場を選ぶ

入職時の研修は、介護未経験の方にとって重要なポイントです。

人手が足りない職場の場合、研修をおろそかにし、丁寧に教えてもらえない可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、研修の期間、内容、どのようなステップで現場に入っていくのかは、十分に確認しましょう。

入職時の研修で負担の少ない介助の仕方を教えてもらえれば、身体的負担の軽減にもつながります。

 

③可能であれば職場見学をする

希望する職場が職場見学を実施しているときは、ぜひ参加してみてください。

実際に職場を見ることで、現実とイメージのギャップが埋められます。

人手不足の職場では、職員の余裕がなく、ピリピリした雰囲気になりがちです。

働いている職員の表情や利用者に対する態度をよく観察しましょう。

 

職場の人間関係や雰囲気が悪ければ、「仕事内容のわりに賃金が安い」という不満にもつながります。

業務自体が大変でも、人間関係が良好でお互いに助け合う環境であれば仕事の満足度が高くなり、負担も軽くなります。

入職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、可能であれば職場見学をしましょう。

 

④転職前に介護職員初任者研修を取得する

いきなり介護の仕事を始めるのは不安、転職まで時間の余裕があるという方は、介護職員初任者研修を取得するのがおすすめです。

介護職員初任者研修とは、ホームヘルパー2級に相当する資格として、2013年介護保険法改正とともに新設されました。

130時間の研修後、試験に合格すると取得でき、その後は訪問介護でも働けます。

研修の一部は通信学習でも受講可能なので、働きながら取得を目指す人もいます。

また、研修で知識や技術が学べるので、入職後の負担が軽くなります。

 

さらに、介護職員初任者研修の取得によって給与がアップするというデータもあります。

厚生労働省の調査によると、介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者)は、保有資格なしで261,600円、介護職員初任者研修取得で285,610円と、24,010円の差がありました。*7

 

このように、介護職員初任者研修を取得するとさまざまなメリットがあるので、興味のある方は検討してみてください。

 

5.まとめ

 

介護業界では、未経験の中途採用が多く行われています。

昨今の情勢で仕事に不安を抱えている方や以前から興味があった方は、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

 

ただし、人手不足や身体的負担など、介護業界ならではの問題点もあります。

自分がどのような働き方をしたいのか考えつつ、研修の充実度や職場の雰囲気をみながら、なるべく負担の少ない職場を選ぶことが大切です。

 

 

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