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20代からのキャリア形成、転職を成功させるコツとは?

20代からのキャリア形成、転職を成功させるコツは_メイン
日本企業は現在、人手不足の状態にあるといいます。 また、企業としてはやはり若い人を確保したいと考えていますので、20代での転職は有利だと考えられています。 しかし、どのような転職でも成功するわけではありません。 転職活動を成功させるために、まず人手不足の背景や、転職の現状について知りましょう。

1.企業が感じている人手不足の現状

企業の景況感をはかる指標のひとつに、日銀が4半期に一度公表している「日銀短観」があります。 その中の「雇用人員判断DI」というのは、調査段階で人手が「過剰」と考えている企業の割合から、「不足している」と考えている企業の割合を引いたものです(図1)。
雇用人員判断DI

図1 2019年6月調査の雇用人員判断DI(出典:「令和元年度 年次経済財政報告」)内閣府 () p62

2010年あたりから、全産業で雇用人員判断DIはマイナス幅を大きく広げているのがわかります。 人手が「不足している」と感じている企業の割合が、「過剰である」と感じている企業よりかなり多いという状況です。しかし、職種によって大きな差があります。
転職求人倍率

図2 転職求人倍率上位4職種と下位3職種(出典:「令和元年度 年次経済財政報告」内閣府)

図2は、1人の転職者あたりに何人分の求人があるかを示した「転職求人倍率」です。 職種によってかなりの開きがあることがわかります。 特にエンジニアの長時間労働は長くに渡って問題視されていて、それを解消するための求人は非常に多い状況です。また、専門職の求人も多くなっています。 これには、IT化の流れが年々加速していることと、技術者の場合は高齢化が進んでいるため、いわゆる「知識を持つ職人」の確保が難しくなっているという背景があると考えられます。 一方で販売やサービス、事務といった仕事は、さほど転職者を求めていません。 これらの仕事の場合、IT化で補える部分が大きく、また求められる専門性からして非正規社員やパートタイム労働者で補うことが可能だから、と考える企業も中にはあるためでしょう。

2.「売り手市場」は本当なのか

「若い」というのはもちろん、転職にあたって有利に働く要素です。 上記のように転職求人倍率が高い職種ではなおさらのことでしょう。 また、若者の就活は「売り手市場」とも言われています。 しかし、どんな企業であっても転職しやすい、あるいは、今より良いと思える企業にマッチングできるかどうかというと、そうでもありません。 下の図は、企業規模別にみた人手不足の状況です(図3)。
正社員の未充足求人比率

図3 正社員の未充足求人比率(出典:「令和元年度 年次経済財政報告」内閣府) 

人手不足の中心は中小企業であり、企業規模が大きくなるほど「不足」とする企業の割合が減っています。 むしろ大企業の場合は最近、40代以上の社員を大量にリストラする動きがあります。ただ単に人数を増やしたい、というだけの考え方ではないのです。 よって、全体的に「人手不足」と言われているからといって、簡単に大企業に入れるというわけでもないのが実情でしょう。

3.退職や転職動機が明暗を分ける

さて、現在の会社をやめて他の企業に転職しようと考える理由は何でしょうか。 実際に就職をしてみたらやりたいことと違っていた、やりがいを感じない、人間関係、待遇などがイメージと違った、20代の転職経験・検討者にはこうした傾向があります。 一方で、現在言われている「人手不足」は、少子化だけではありません。 労働力の確保にあたって、もうひとつ課題になっているのが「求職者と企業のミスマッチ」です。 求人への応募はあるものの、条件などについて折り合いがつかず、採用に至らないケースもあるのです(図4)。
求職者と企業のミスマッチ

図4 求職者と企業のミスマッチ(出典;「人手不足の高まりについて」内閣府資料) 

企業が求めるものと求職者が求めるものが、全く噛み合わない現状がうかがえます。 こうした場合、企業として取る手段は2つです。ひとつは給料や待遇を改善して条件に合う人を探す、もうひとつは今の人材への投資によって社員に専門性を持たせ、生産性を上げることです。 もちろん同時に行う必要性もありますが、企業としては「高い意欲と一定程度の専門性があり、そこからさらに訓練することで伸びるポテンシャルのありそうな人」ということになります。 特に人材への投資は長期的な戦略という側面もありますので、企業としては、長くとどまってくれるかどうかが不安材料になってしまいます。 「今の会社が嫌だから」「給料が低いから」という短絡的な動機は良くないのはもちろんのこと、「自分のスキルを生かしたい」と考える場合も、自分にどのようなスキルがあるのかを客観的に示すことが求められるでしょう。 企業にとって必要な資格を持っていれば話は早いのですが、例えば大学での専攻、どんな専門知識があるのかといったことを示すことができれば有利に働きます。 もちろん、資格を伴わない仕事であっても、これまでの経験から身についたことや、転職するとその企業で自分は何ができるのか、どうスキルアップしたいのか、といったことを具体的に示さなければなりません。 なお、筆者は、採用面接をしたことがあります。 新卒が対象ですが、その中で「学生の時にスポーツ部でキャプテンをやっていた」という経験をアピールする人が多くいました。 しかし、何人、何十人にも会っていると、そのような人はたくさんいます。 それが悪いというわけではありませんし、その資質があるのは良いことなのですが、会社はスポーツチームではありませんし、入社後すぐにキャプテンになれるわけではありません。 あくまで「なぜ前職を辞め、ここに転職しようと思ったのか」「この会社でいずれどうなりたいのか」といった、その会社に入った後の自分のビジョンを説明できることが重要です。 これまでの経験を踏まえて、どうキャリアを積んでいきたいのかが重要視されます。 社会人の経験がある転職者ならなおさらのことです。

4.転職を成功させるために必要なこと

もちろん、転職をするからには、収入アップやより良い環境を手に入れたいと考えるのは当然ですし、悪いことではありません。 そのためにも、事前にやっておくべきことがあります。 まず、情報の入手方法を知ることです。 実は、求人情報は、ハローワークと民間のマッチングサイトとでは大きく違います。得意とする職種が異なるのです(図5、6)。
ハローワークでの求人状況

図5 ハローワークでの求人状況(出典:「人手不足の高まりについて」内閣府資料) 

図5は、ハローワークでの求人について、求人数と求職者の差を示したものです。
民間職業紹介での求人倍率

図6 民間職業紹介での求人倍率(出典:「人手不足の高まりについて」内閣府資料) 

一方で図6は、転職サイトなど民間の職業紹介業者での転職者1人に対する求人者の平均数です。 一般事務などの需要が低い傾向にあるのはどちらも同じですが、その他では求人の多い業種が大きく異なることがわかります。 自分の希望する業種がどのようなものかによって、仕事探しの方法を選ぶ必要があります。 また、転職先の候補にしている会社について良く知る必要があります。 この企業はどんなものを作っている、あるいはどんなサービスをしているのかを細かく知ることは当然ですが、同業の中でのその企業の特徴や、何を学びたいのか、学べそうなのか。 「自社に対する理解」は、企業にとって人材を受け入れる上でとても大切なことです。 いくらスキルを持っていても企業の方針に合わない人は採用したくない、というのは企業にとっては当然のことですし、入社した自分もすぐに嫌になってしまいます。 学びたいことがあり、それを学べる環境に転身するというのは自分のためにもなりますので、まずは今の環境を客観的に見て、「何をしたいのか」「どう歳を取りたいのか」考えてみましょう。
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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。12歳と10歳の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も財閥系企業に転職しました。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく、人事/採用の担当としての本音をお届けします。

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