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転職・就職するなら女性が働きやすい企業を選ぼう 探し方と企業例を紹介!

転職・就職するなら女性が働きやすい企業を選ぼう-探し方と企業例を紹介!

「妊娠・出産後も正社員として働き続けたい」

そう考えている人は多いのではないでしょうか。

働く女性が年々増えている一方、妊娠・出産後にも正社員として働き続けている女性は依然として少ない傾向にあります。

国家資格や専門知識がない限り、産後に新たな会社に正社員として再就職することは、決して簡単なことではありません。

 

出産後、育児と仕事を両立させ、いきいきと正社員で働き続けるためには、大企業のネームブランドや年収にとらわれるのではなく、「女性が働きやすい企業」を選択することが重要です。

 

そこで本稿では、女性が働きやすい企業の特徴や具体的な企業例をご紹介したいと思います。

 

1.女性の就業率の現状

 

内閣府発表の「第1子出産前後の女性の継続就業率」の調査結果によると、出産後も就業を継続している女性の割合は、下記図1のように推移しています。

 

第1子出産前後の女性の就業率の動向関連データ集

図1 引用)内閣府/「第1子出産前後の女性の就業率の動向関連データ集」p3(http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_39/pdf/ss1.pdf)

 

 

このデータによると、第1子出産を機に退職をした女性の割合は46.9%、就業を継続した女性の割合は53.1%と、約半数の女性が出産後に仕事を退職していることが分かります。

 

また、この図1の就業率は「正社員」に限ったものではなく、非正規社員も含まれています。

女性従業員のうち、非正規雇用社員の割合は平成30年で56%(図2)ですので、第1子出産後に就業を継続した女性の割合53.1%のうち、正社員で働いている女性の割合は25%前後であることが予測できます。

 

平成30年版働く女性の実情

図2 引用)厚生労働省/「平成30年版働く女性の実情(令和元年6月24日公表)」p17(https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/18-01.pdf)

 

 

「産後も正社員として働き続けたい」というニーズは高まっているにもかかわらず、非正規社員の数は年々増加傾向にあります。

 

では、なぜ第1子出産後に、仕事を辞めてしまう女性や、正社員で働き続けられない女性が多いのでしょうか。

それは「女性が働きやすい企業」の数が少ないからという理由が挙げられます。

 

「第1子出産後も就業の継続を希望していたが継続しなかった女性」の意見調査では、下記図3のように、企業の制度・環境が整っていれば良かったと感じる女性が非常に多かったのです。

 

 

第1子出産後も就業の継続を希望していたが継続しなかった女性

図3 引用)内閣府/「第1子出産前後の女性の就業率の動向関連データ集」p15を元に筆者編集(http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_39/pdf/ss1.pdf)

 

 

「働き続けたい」と思っていたのに、企業の制度・理解不足によって仕事を辞める決断をした人が非常に多いことが分かります。

 

そのため産後も働き続けたいと考えているのであれば、

「もっと産休や育休が充実している会社を選べば良かった」

「女性のライフイベントに対する理解が少ない」

と入社後に後悔しないよう、「女性が働きやすい企業」を選ぶことがとても重要なのです。

 

2.女性が働きやすい企業の特徴

 

具体的に「女性の働きやすい企業」には以下の特徴があります。

 

・望まない転勤がない

・女性管理職の割合が高い

・育児休暇制度・勤務日数短縮制度・時短勤務制度が充実している

・残業がない・または残業時間が少ない

 

①望まない転勤がない

転勤の多い企業の場合、子どもを持つ女性は長く仕事を続けることができません。

配偶者が専業主夫という場合を除き、母親である自分が単身赴任をする、もしくは自分と子ども2人で転勤先の地域に行くというのは現実的ではありません。

 

会社の転勤命令は基本的には拒否できないため、子どもを持つ女性が転勤を言い渡された場合、仕事を辞めるという選択をせざるを得ない状況になってしまうのです。*1

 

そのため企業選びをする際には、「望まない転勤がないか」をまず確認しましょう。

 

企業によっては、転勤のある職種と転勤のない職種をエントリー段階で選択できる場合がありますので、産後も長く働き続けたいと考えているのであれば、転勤のない職種を選んだ方が良いと言えます。

 

転勤のある職種の方が年収は高い傾向にありますが、結果的に産後は辞めざるをえない状況になってしまう可能性が高いため、年収に踊らされず長い目で見ましょう。

 

②女性管理職の割合が高い

女性管理職割合が高い企業は、それだけ女性が長く働いてきたという前例・実績があると言えます。

 

東洋経済の「最新!女性が働きやすい会社ベスト100」*2や日経woman「女性が活躍する会社BEST100」*3において上位に選ばれた企業は、女性管理職の比率が高い、または女性管理職比率20%以上を目標に掲げているところが多く挙げられています。

 

このように女性管理職の割合は「女性の働きやすさ」の1つの指標となるのです。

 

企業選択の際には女性管理職の割合を確認しましょう。いくら検索しても公表されていない場合は、女性管理職の割合が低い可能性があります。

 

③育児休暇制度・勤務日数短縮制度・時短勤務制度が充実している

 

「出産」と「育児」は多くの女性が経験する人生の大きなライフイベントです。

数十年前に比べ、育児に積極的に参加してくれる男性は増加傾向にあるとはいえ、女性への負担の方が多いのが現実。

 

そのことを考慮し、育児と仕事のワークライフバランスが取りやすいよう、育児休暇制度や勤務日数短縮制度、時短勤務制度を充実させている企業は「女性が働きやすい企業」と言えます。

 

法律では、最大で子どもが2歳になるまで育児休暇が取れることが定められていますが、2歳以上になっても育児休暇を取ることを個別で認めている企業も存在します。

 

時短勤務とは、1日の労働時間を通常の8時間よりも短くした働き方のことです。

保育園は17時~18時までに閉園するところが多いので、時短勤務で16時~17時までに仕事を終えることができれば、仕事終わりに子どものお迎えに行くことも可能です。

 

④残業がない・または残業時間が少ない

 

残業時間が少なければ、仕事終わりに子どもを保育園にお迎えに行ったり、帰宅後に家事をしたりすることができます。

急な残業を言い渡されてしまうと、最悪の場合誰も子どもを迎えに行けなくなるといったリスクもあるため、残業の有無や頻度は要確認です。

 

残業時間を公表している企業は少ないため、就活・転職エージェントを活用して情報を得たり、企業のOBを訪問して実情を聞いたりなど、情報収集を自ら行う必要があります。

 

 

3.女性が働きやすい企業例

 

①東京海上日動火災保険

 

東京海上日動火災保険は、転勤制度が非常に充実している企業として知られています。

 

エントリー段階から国内外転勤のあるグローバルコース従業員、もしくは転勤のないエリアコース従業員のどちらが良いか選択でき、コースごとに採用活動が行われます。*4

 

また入社後にグローバルコースからエリアコースへのコース転換も可能で、本人のキャリアビジョンに応じてスキルアップが計れる環境も整っているのです。*4

 

女性の活躍推進

図4 引用)東京海上日動火災保険/「女性の活躍推進」(https://www.saiyou.tokiomarine-nichido.co.jp/company/woman/)

 

 

また、配偶者が県外転勤になった場合、配偶者の転勤先地域の支店へ勤務地変更の希望を出せるなど、望まない転勤がないだけでなく「転勤したい場合」にも柔軟に対応をしてもらえる制度もあります。*4

②全日本空輸株式会社

全日本空輸株式会社は、短縮勤務制度が充実している企業です。

 

客室乗務職として入社した場合、子どもが小学校3年生を修了するまで、「正社員のまま」月の勤務日数を10日(5割勤務)、14日(7割勤務)、16日(8割勤務)に短縮することが可能。フルタイムで勤務する場合も月3日の育児休暇日を取得できます。*5

 

年度ごとに勤務割合を変更できるため、子どもの成長に合わせて徐々に仕事量を増やしていくなどの調整も可能です。

③ワコール

DIAMOND社発表の「女性が働きやすい企業ランキング」で1位を獲得したワコール。*6

 

女性管理職比率は2020年3月時点で23.7%と、日本の平均である12%を大きく上回る高い水準にあります。

また今後は30%を目指すと公表しており、さらに女性が働きやすい環境が整うことが期待できる企業です。*7

 

育児休暇制度や時短勤務制度、フレックスタイム勤務制度も充実しており、家庭状況に合わせて働き方を選択することが可能。

「働き方・休み方改革プロジェクト」という取り組みが2017年よりスタートされており、月の平均残業時間は5.7時間、有給取得率も83%と、常に高水準を保っています。*8

 

このように女性が企業選びをする際には、年収やネームブランドにとらわれるのではなく、「本当に女性が働きやすい企業なのか」「ライフイベントによって辞めなければいけなくなる要素はないか」に注目することを心がけてがけてください。

 

 

参考文献/参考サイト
*1 ベリーベスト法律事務所「転勤命令は拒否できる?拒否するための正当な理由と転勤のメリット」
https://best-legal.jp/transfer-refusal-12116
*2 東洋経済「最新!女性が働きやすい会社ベスト100」
https://toyokeizai.net/articles/-/185837?page=2
*3 日経woman「女性が活躍する会社BEST100」
https://woman.nikkei.com/atcl/award/050700016/050700002/?i_cid=nbparia_sied_sol_oyalist
*4 東京海上日動「女性の活躍推進」
https://www.saiyou.tokiomarine-nichido.co.jp/company/woman/
*5 ANA「キャリア」
https://www.anahd.co.jp/group/recruit/ana-recruit/newgrads/ca/career.html
*6 DIAMOND online「女性が働きやすい企業ランキング2020」
https://diamond.jp/articles/-/246080
*7 ワコール「女性の活躍推進」
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/women/
*8 ワコール「働き方・休み方改革」
https://www.wacoalholdings.jp/sustainability/resource/workstyle/
執筆者
名前:平井
プロフィール:大学卒業後、日系大手航空会社にて客室乗務員として勤務。学生時代の就職活動にて楽天・ソフトバンク・みずほ銀行等の大手企業から内定をいただく。その経験を活かし、現在は就活塾にて特別面接対策講師や、就活関連記事のライター業を行っている。
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