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転職活動の明暗を分ける「社会人基礎力」「コンピテンシー」を身につけよう

転職活動の明暗を分ける「社会人基礎力」「コンピテンシー」を身につけよう

 

転職、副業、兼業…と、「一か所に捉われない」働き方が増えています。一方で、社会で「求められる人材」も、時代や業界によって様々に変化しています。

 

その中でも最近「社会人基礎力」というものが注目されています。

自分でキャリアを切り開いていくために、知っておきたいところです。

 

 

 

1.社会人基礎の3つのポイント

 

 

社会人基礎力とは、「3つの能力」と「12の能力要素」で構成される「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことです。

 

もとは2006年に経済産業省が提言したものですが、社会の多様性や不確実性が増し、また「人生100年時代」と言われるようになりました。そこで、これまでよりも長くなる社会人生活のなかでキャリア形成、あるいは能力を発揮し続けるために必要な能力として再構成さされています。

 

まず、基本になっている「3つの能力」「12の能力要素」とは、このようなものです(図1)。

 

 

「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料

図1 「社会人基礎力」の定義(出典:経済産業省)「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料

 

 

 

このようなベースの上に、「人生100年」の観点からは「OS」と「アプリ」の両面を向上させるべきと強調されています(図2)。

 

 

求められる「OS」と「アプリ」

図2 求められる「OS」と「アプリ」(出典:「我が国産業における人材力強化に向けた研究会 報告書」経済産業省)

 

 

このなかで、「社会人基礎力」はあくまで自分のスキルをいかすための「OS」であり、その上に専門性などの「アプリ」をいかに構築し、稼働できるかがキャリア形成には必要だと考えられています。

 

実際、読者の皆様もパソコンやスマホで様々なソフトやアプリを使っていることと思います。社会人として求められるキャリア形成をパソコンやスマートフォンに例えると、次のような解釈もできます。

 

「ハードウェア」は企業の設備や社会資源、あるいはそれらの物量と言えるでしょう。今は「人手」という言葉も、どちらかというとハードウェアとして捉えることも可能です。

 

企業はそこに「社会人基礎力の高い従業員」という質の高いOSを装備したいと考えています。どんなに大型のハードウェアがあったとしても、その利便性や稼働率を決めるのはOSだからです。質の悪いOSは不必要に時間やメモリを消費します。

ただあくまでこれは「OS」です。OSは定期的にアップデートされてこそ使い続けられます。どんなにハードウェアのスペックが上がっても、それに対応できないOSは不便でしかないということになります。

 

「OSのアップデート」とはすなわち、ハードウェア=技術の向上にすぐに対応する能力でもあります。

 

そこに「アプリ」を装備していることが必要だというのが上の概念図でもあります。

「アプリ」の場合、OSよりも頻繁にアップデートされるのはスマートフォンなどでも同じでしょう。そして、アプリの特徴として、「バグ報告がなくても、日頃からあるユーザーの意見に答えたアップデート」「積極的なアップデート」というのがあります。

 

こうしたことも、キャリア形成のために頭に入れておきたいところです。

 

変化に柔軟、また、変化の前に自ら情報収集をしてアップデートしていく積極性、これらが求められることでしょう。

「学び続ける」ことの必要性が強調されるのも頷けるのではないでしょうか。常に自らをアップデートし続ける人材が求められているのです。

 

 

 

2.「コンピテンシー」に繋がる学び続けを

 

 

さて、「学び続ける」というのはよく言われることですが、具体的にはどのようなことなのでしょうか。

 

いま、世界的に、次世代を担うリーダー育成についての研究や実践が進んでいます。その中で重要視されているのが「コンピテンシー」です。

コンピテンシーとは、高い業績を持つ人に共通している行動特性、というものです。

 

幼稚園から高校までの教育のスタンダード再設計について研究している国際的研究センターであるCCR(The Center for Curriculum Redesign)が、様々な産業のCEOなどへの調査を基に導き出した、今後の社会に必要なコンピテンシーは下のようなものです(図3)。

 

 

CCRによる21世紀コンピテンシーの枠組み

図3 CCRによる21世紀コンピテンシーの枠組み (出典:「人材像WG参考資料集」経済産業省)

 

 

知識、スキル、人間性、という「よく言われがち」なことについても、それを「どのように生かすのか」を考える必要性が重要視されています。自分を客観視する力と言っても良いでしょう。

 

また、さらに求められているのが「メタ認知」というものです。上図の「成長的思考態度」と言われると言葉としては難しく感じるかもしれませんが、つまりは自分の「知識、スキル、人間性」を客観視し、かつそれが「社会のなかでどんな存在なのか」をも客観視する、という意味合いがあります。

 

また、「学び方を学ぶ」こととも位置付けられています。

 

資格やスキルなど、キャリアアップのために何かを身に着けるのはとても良いことなのですが、それが「自分のため」にとどまらず、「社会のためになるには、このスキルについてどう学ぶべきか」という考え方を要するということです。

 

例えば、ある団体や組織から「何級」というお墨付きをもらったとしましょう。

しかし、それを持っているだけで満足してはいけないということです。ではその資格を、その道のエキスパートとして最上級まで追求するのか、あるいは何か他の知識と併用することでオリジナリティを持つのか、それを客観的に判断することまでが求められています。

 

また、「学び方を学んでいる」というのも重要なことです。

何か知識やスキルが必要あるいは必要になりそうな時、どこに行って何をやればすぐに学べるのか知っているというのは、とても強い状態です。

 

 

 

3.一度足を止めることも必要

 

 

「自分の強みをアピールする」ことは転職活動の基本です。

ただ、その「強み」について今一度冷静に分析することもまた重要です。

 

自分の持っているスキル、これから身につけていきたいことを「社会人基礎力」の3つのポイント、12の能力要素にどのように当てはめながら働くことができるのか、という視点から、今一度客観的な「自分像」や「自分の羅針盤」を描いてみましょう。

 

「社内転職」「社内兼業」という言葉もあります。

 

転職にあたって今の会社の中で役に立ちそうな組織形態や制度がある時、まずそれらを最大限活用しながら自分の方向性を探るのもひとつの手段になりそうです。

 

また、不確実性の時代でもありますので、キャリア形成の予定も常に更新し続ける必要があるでしょう。

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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。12歳と10歳の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も財閥系企業に転職しました。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく、人事/採用の担当としての本音をお届けします。

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