日本の女性管理職の割合は、諸外国に比べて圧倒的に少ないという事実をご存じでしょうか。
内閣府男女共同参画局が作成した「男女共同参画白書」によると、先進国だけでなく、同じアジア圏と比較しても少ないのが日本の現状です。

図1:※引用)内閣府男女共同参画局 「男女共同参画白書」
I-2-11図 就業者及び管理的職業従事者に占める女性割合(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h27/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-11.html)
この状況を打破するため、現在は国が主導で女性管理職の増加を目指しており、その数は年々増え続けています。
そこで今回は、女性管理職が多い企業にはどのようなメリットがあるのか。
また実際に女性管理職が多い上場企業も併せてご紹介をして参ります。
1.国も女性活躍を推進中
平成15年、男女共同参画推進本部は、
「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待」と提言しました。
平成25年には、安倍総理(当時)が全上場企業に向け積極的に女性役員・管理職を増やすように要請し、特に役員に一人は女性を登用することを指示しています。
結果として、総理から経済団体へ要請後に、企業の女性管理職数は増加傾向にあり、特に女性役員数が注目されています。
2.「女性役員比率が高い企業」は男女関係なく多数のメリットあり
では、女性役員数が多い会社はどのように注目されているのでしょうか。
まずは下記の図をご覧ください。

図3:※引用)内閣府男女共同参画局 「女性活躍で企業は強くなる」企業(時価総額100億ドル以上)の株価推移(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_5.pdf)
ご覧いただければわかる通り、女性取締役がいる企業は株価のパフォーマンスが高いことが分かります。
また、女性役員を登用するなど、従業員構成が多様な組織は、5年以上勤務したいと答える社員が69%にのぼるなど、人材の流出を防ぐこともできます。
この調査は男女関係なく行われており、男性も従業員構成が多様な組織を歓迎していることが読み取れます。

図4:※引用)内閣府男女共同参画局 「女性活躍で企業は強くなる」優秀人材の獲得、流出防止 右図(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_5.pdf)
機関投資家も、女性活躍の推進は長期的に企業の業績に関わると考え、投資を行っています。

図5:※引用)内閣府男女共同参画局 「女性活躍とSDGs サステナビリティの実現に向けて」女性活躍の状況が投資判断で重視されています。【投資判断や業務において女性活躍情報を活用する理由】(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_6.pdf)
このように、女性役員数が多い会社ほど企業としても従業員としてもメリットが多いのです。
3.女性役員比率が高い企業は?
では、女性役員比率が高いのはどのような企業なのでしょうか?
全上場企業(3740社)のうち、女性役員比率が10%を超えるのは887社。
このうち、女性役員比率が30%以上は32社です。この32社を業種ごとに一挙公開します!
※株式会社レナウンは現在破産手続き中のため31社

図6:※引用)内閣府男女共同参画局「女性活躍とSDGs サステナビリティの実現に向けて」女性役員比率が10%以上の上場企業 を参考に筆者作成(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_6.pdf)
業種で分けると、一番多いのはサービス業で10社。
次いで情報・通信業が6社です。
上場企業3740社のうち、女性役員数30%を超える企業は上記のみですので、かなり希少価値の高い企業といえるでしょう。
4.女性役員比率TOP3はこちら!
上記の図でご覧いただいた女性役員数30%超の企業のうち、女性役員比率TOP3をご紹介します。

図7:引用)内閣府男女共同参画局 「有価証券報告書に基づく上場企業の女性役員の状況」各業種データを参考に筆者作成(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html)
①ダントツの高比率は光ハイツ・ヴェラス(サービス業)
札幌を中心に介護付き有料老人ホームを運営する企業です。
「人生の理想郷づくり」をコンセプトに掲げ昭和62年に設立されました。
代表取締役社長を筆頭に役員の57.1%が女性であり、女性役員比率日本NO.1の実績を誇ります。
引用)株式会社光ハイツ・ヴェラス 会社概要
http://www.varus.co.jp/company/
②同率2位はシーボン
化粧品や医薬部外品の製造や販売、輸出入を中心に事業展開している企業です。
昭和41年に設立され現在55周年。
代表取締役社長は男性ですが、代表取締役副社長は女性です。
役員全体の女性比率も50%と上場企業の中でトップクラスの高比率を維持しています。
また、社員の女性比率が92.0%、役員を含む女性管理職比率は女性が86.9%と、女性主導で経営する企業です。
2019年には「ウーマンエンパワー大賞」を受賞するなど実績も評価されています。
引用)株式会社シーボン 会社概要
https://www.cbon.co.jp/company/about/outline
引用)株式会社シーボン 女性活躍の取り組み
https://www.cbon.co.jp/company/csr/women
引用)株式会社シーボン サステナビリティ/CS 社員の成長のために「アワード・表彰事例」
https://www.cbon.co.jp/company/csr/growth
③同じく同率2位のハーバー研究所
化粧品・医薬部外品・栄養補助食品の開発、製造、販売を行う企業です。
昭和58年に設立され、「無添加主義®」を貫いています。
代表取締役社長は女性です。
「ハーバー サスティナブル宣言」を提言し、「SDGs(持続可能な開発目標)」を意識した経営をしており、女性が活躍する社会の実現にも言及しています。
女性役員比率、女性管理職比率共に高いのも特徴です。
※2020年11月末の最新データでは女性役員比率は44.4%、女性管理職比率は63.3%。
引用)株式会社ハーバー研究所 会社概要
http://www.haba.com/company/about/company/
引用)株式会社ハーバー研究所 SDGsの取り組み
http://www.haba.com/company/society/
5.女性役員比率TOP3の採用情報もご紹介
それでは、女性役員比率が高い企業はどのような採用を行っているのでしょうか?
先ほどご紹介した光ハイツ・ヴェラス、シーボン、ハーバー研究所の採用情報を見ていきましょう。
①光ハイツ・ヴェラスの採用情報
新卒・中途を問わず現在は看護師や介護士など7職種を募集中です。
各職種により給与は異なりますが、どの職種にも夜勤時の朝食・夕食の無償提供、年末年始手当の支給、寮の提供があり、賞与も年2回支給されます。
また、介護職員へは、早番時に交通の便が悪い職員に対しタクシー代を支給したり、年度の実績により変動する「介護職員処遇改善加算手当別途支給」もあります。
「介護職員処遇改善加算手当別途支給」の平成30年の介護職員(正社員)への支給実績は500,000円~700,000円/年と、給与面でも好待遇です。
引用)株式会社光ハイツ・ヴェラス 採用情報
http://www.varus.co.jp/recruit/
②シーボンの採用情報
新卒・中途問わず募集していますが、新卒の採用はフェイシャリストと生産部スタッフです。2021年新卒採用は現在終了しています。
中途採用に関しては範囲が広く、フェイシャリストやビューティーアシスタントをはじめとする、サロンやショップで顧客対応をする職種が6職種、店舗スタッフをサポートする職種が2職種、本社スタッフ・生産スタッフが6職種あります。
正社員だけでなくアルバイトやパート職種でも応募できるのが特徴ですが、最も採用数が多いのはフェイシャリスト職種です。
社員の約9割が女性ということもあり、産前・産後休業はもちろん、子供が3歳になるまで育児休業を取得することが可能です。
また子育てをしながら仕事に取り組む社員を応援するために、子供が小学校に入学する歳(6歳)の3月31日までの間は育児短時間勤務制度を設けるなど、手厚い休業制度があります。
子供が小さい時はショートタイム正社員という8時間未満の勤務形態を選ぶこともできるのも特徴です。
引用)株式会社シーボン コーポレートサイト
https://www.cbon.co.jp/company/recruit
③株式会社ハーバー研究所の採用情報
残念ながら現在公開中の求人情報はありません。
引用)株式会社ハーバー研究所 採用情報
http://www.haba.com/company/recruit/
6.まとめ:企業選びの手段として、女性管理職が多い会社を選ぶもあり!
今回は女性管理管理職が多い企業のメリット、女性管理職の比率が高い企業とその採用情報をご紹介しました。
企業選びには様々な視点がありますが、安定した業績を期待したい、長く働き続けたいと希望するなら、女性管理職が多い企業を選ぶのも一つの手段ですね。
ぜひ今後の活動の参考にしてみてください。

プロフィール:フリーランスのライターとして活動中。得意分野は保険と保険に関わる社会保障制度について。
自身でも「FPかぴさんのお金のはなし」というブログを運営中。(https://fp-kapisan.com/)複数のメディアでコラムを執筆する1児の母。FP上位資格のAFP取得済み。