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40代の再就職 育児によるブランクを充電期間に
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出産を機に退職し、専業主婦となって育児と家事に専念する女性もいます。

 

その数は減少傾向ではあるものの、総務省の調査では2012年~2017年の5年間で「出産・育児のため」に前職を離職した女性は101 万人にのぼりました*1

 

中には、子育てが一段落して40代を回った頃に改めて働き始めたいと考える人もいることでしょう。そんな時にどのような選択肢があるのか、子育て中からできる準備も含めて見ていきましょう。

 

1.育児と仕事の両立 女性の動向は

 

5年ごとに行われている総務省の就業構造基本調査によると、2017年の時点で育児をしている女性は 630万人。そのうちの35%に当たる225万人が就業をしていませんが、就業を希望する人は137万人と6割を超えています。

 

男女,年齢,育児の有無・頻度,育児休業等制度利用の有無,就業状態・仕事の主従・就業希望意識・就業希望の有無・求職活動の有無別15歳以上人口-全

参考)e-Stat政府統計の総合窓口「平成29年就業構造基本調査」第13表「男女,年齢,育児の有無・頻度,育児休業等制度利用の有無,就業状態・仕事の主従・就業希望意識・就業希望の有無・求職活動の有無別15歳以上人口-全国」エクセル表シート③ 20行目より筆者作成
(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200532&tstat=000001107875&tclass1=000001116995&stat_infid=000031735824)

 

 

また、逆の視点から見ると、育児をしている女性の6割以上は働いており、その割合は全ての年齢階級において2012年の前回調査を大幅に上回っています。

 

年齢階級別育児をしている女性の有業率

平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要

引用)総務省統計局「平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要」P2の図Ⅰ-1
(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf)

 

 

つまり、子育てと仕事を両立する女性は増加傾向にあるのです。かつては20代後半から40歳に至るまでの間、結婚や子育てを機に就業をやめ、希望もしないという女性の割合が高く、女性の年齢階級別労働力率は「M字カーブ」を描き続けていました。しかし下記のグラフからは、近年においてその「M字」がだんだん崩れてきていることがわかります。

 

女性の年齢階級別労働力率の推移

男女共同参画白書 令和元年版

引用)内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版」I-2-3図
(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-03.html)

 

 

女性が職業を持つことに対し「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答した割合は90年代に比べて大きく増えていて、育児中の女性が働き続ける背景には、配偶者である男性の意識変化もあるようです。

 

女性が職業を持つことに対する意識の変化

「男女共同参画白書 令和元年版」I-2-5図

引用)内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版」I-2-5図
(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-05.html)

 

 

 

2.期待される女性の再就職

 

2010年に8,173.5万人だった生産年齢人口は、2030年には6,773万人まで減少すると予測され*2、企業にとっても人材の確保がますます重要な課題となっていく中、離職した女性にも労働力としての期待が高まっています。政府も「女性が再就職できるように支援していくことは、女性の活躍推進、また労働力の確保の観点からも、今後、一層重要」*3と位置付けており、子育て中の女性に対する支援制度の充実を目指しています。

厚生労働省では2014年度に「出産・育児等を機に離職した女性の再就職等に係る調査研究事業」を実施。「離職期間が長期にわたると、再び仕事ができるかどうか不安に感じて一歩を踏み出せなかったり、育児との両立のために勤務地や勤務時間等の就業状況や希望職種が限定的だったりすることで、再就職することが困難な状況」*4になりがちであることを踏まえ、対策を講じています。

厚生労働省委託事業として設けられたウェブサイト「仕事と育児カムバック支援サイト」では、「職場復帰・再就職を目指す女性のための情報提供」のためのイベント情報や体験談を紹介。その中で、再就職の成功のポイントを下記のように挙げています。

 

「仕事と育児カムバック支援サイト」資料コーナー

引用)厚生労働省委託事業「仕事と育児カムバック支援サイト」資料コーナー
(https://comeback-shien.mhlw.go.jp/source/source.html#01)
「さまざまな働き方の紹介と再就職成功のポイント」より(https://comeback-shien.mhlw.go.jp/source/pdf/seminar1.pdf)

 

 

3.「母親」に特化したハローワーク

 

明確な目標が定まらず、漠然と再就職を考えているのであれば、公的機関の利用を視野に入れてみるのも一つの手です。政策の一環として就職困難者への支援を行う厚生労働省の機関、ハローワークでは、以下のような思いを抱える子育て中の女性のニーズに応えるための施設として、マザーズハローワーク及びマザーズコーナーを全国約200ヵ所に設置しています(2020年2月現在)。

 

・子ども連れでも仕事探しができる所はないかしら?
・育児や家庭と両立できる仕事を探したい。
・今は子育て真っ最中。でも働く前から情報収集しておきたい。
・出産・育児を機に退職したけど、そろそろ再就職したい。
・子育てしながら働くためにはどんな準備が必要か知りたい。

引用)厚生労働省「マザーズハローワーク・マザーズコーナー」https://www.mhlw.go.jp/kyujin/mother.html
所在地一覧(パンフレット)よりhttps://www.mhlw.go.jp/kyujin/dl/mother_pamphlet.pdf

 

子育てと両立しやすい仕事の紹介や育児に理解ある企業とのマッチングだけでなく、再就職に役立つセミナーやスキルアップ講習等も地域ごとに実施されています。原則無料で年齢制限はなく、託児付きやキッズスペースあり、といった子連れでも参加しやすいのが特徴です。

たとえばパソコン講座では、初級からエクセルやパワーポイントの使い方といった中級向けの講座も開かれていて、パソコンに苦手意識がある方が基礎知識をつけるのにも良いでしょう。OS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)というパソコン利用スキルを証明できる資格取得を目指すのもおすすめです。

また、ハローワークが提供する公的職業訓練(原則無料・テキスト代のみ自己負担)では託児サービス付きのコースもあります。大阪ハローワークの一例を見てみると、総務・経理事務科や医療・調剤事務科等、女性に人気の職業コースも充実しています。特に医療機関や薬局は日本全国にあるため、近所で見つけやすく自分のペースで長く働けるのが魅力的です。さらに超高齢化社会で医療業界へのニーズは高まっており、需要も増加傾向となっています

 

大阪ハローワーク「託児サービス付訓練コースのご案内」

引用)大阪ハローワーク「託児サービス付訓練コースのご案内」離職者等再就職訓練より一部抜粋
(https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/kyushokusha/new_page_8/tanjikan.html)

 

 

4.制度等に関する知識も深めて

 

その他、ハローワークでは応募書類や面接対策、ビジネスメイクのセミナーまで、仕事上のスキルとは異なる、持っておくべき知識に関するセミナーも提供しています。配偶者の扶養の範囲で働き方を選択すべきか、もしくは収入やキャリアを考えてフルタイムで働いていくべきか、といった迷いを抱える人へのヒントとなるような税金と保険のセミナーもあります。正社員にこだわらず、パートタイムや在宅勤務といった選択の幅も広がるかもしれません。

また、男女ともに育児と仕事の両立を後押しするため、育児・介護休業法の改正も進められてきました。法律上、3歳未満を養育中の親に認められている「短時間勤務」制度や残業を免除される「所定外労働の制限」等、女性だけでなく男性も利用可能な制度が定められています*5。企業によっては3歳未満の区切りを取り除き「子どもが小学校就学前まで」等の独自の就業規則を設けている場合もあります。このような知識も得られれば、一緒に育児を行う配偶者の働き方も見直すことができ、子どもがまだ小さくても女性の再就職への可能性は広がるでしょう。

 

5.まとめ

 

近年、働き手の減少を補うためにも、一度離職した女性の再就職は期待され、政府も公的サービスの充実に力を入れています。再就職に役立つ資格やスキルの習得だけでなく、制度に関する知識等についても深めることで、自分の生活環境に応じた再就職を目指してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

参照データ
*1 参考)総務省統計局「平成 29 年就業構造基本調査 結果の概要」P3の表Ⅰ-4 「男女,就業状態別出産・育児のために過去5年間に前職を離職した者」
www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf
*2 参考)厚生労働省「女性の再就職・再雇用 出産・育児等を機に離職しても女性が活躍できる社会に向けて」P2
www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-03_itakuchousa01.pdf
*3 引用)厚生労働省「女性の再就職・再雇用 出産・育児等を機に離職しても女性が活躍できる社会に向けて」P1「はじめに」
www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-03_itakuchousa01.pdf
*4 引用)厚生労働省「女性の再就職・再雇用 出産・育児等を機に離職しても女性が活躍できる社会に向けて」P1「はじめに」
www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-03_itakuchousa01.pdf
*5 参考)厚生労働省 都道府県労働局 雇用均等室「平成24年7月1日から改正育児・介護休業法が全面施行されます」
www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h23_9.pdf
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