いまや日本では転職することが当たり前となり、新卒で入社した企業に定年まで勤め上げることのほうが珍しくなりました。
しかし転職をするときには、これまで勤めていた企業と同じ業種を選ぶ方がまだ多く見られ、また企業側も即戦力としての同職種の経験者を求めることがほとんどです。
そのような状況で、他職種への転職活動をしていくには、どのように自分をアピールすればよいのでしょうか。
そこでこの記事では、他職種への転職にチャレンジする方に、職務経歴書でのアピールの仕方をご紹介します。経験者が求められる中で、未経験者としてどんな点をアピールすればよいのか、ぜひチェックしてみてください。
1.現在の日本社会の大卒・高卒の離職状況
終身雇用があたりまえの日本社会で、2000年以降リクナビネクスト・マイナビ転職・DODAなどのインターネットで転職情報が簡単に検索できるようになり、人材の流動化(転職)が日本社会でも根付くようになりました。
インターネットが広く普及してから約20年。現在の日本社会の離職率はどのようになっているでしょうか。
厚生労働省では、以下の通り、大卒の就職者の32%が3年以内に離職しているというデータを出していますのでご覧ください。
新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率
事業所規模 | 大学卒 | 高校卒 |
1000人以上 | 25.0% | 26.0% |
500~999人 | 29.6% | 33.1% |
100~499人 | 32.2% | 37.6% |
30~99人 | 39.3% | 46.0% |
5~29人 | 49.7% | 55.4% |
5人未満 | 57.7% | 64.9% |
引用)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」
業種によっても差があります。
新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
大学卒 | 高校卒 | ||
宿泊業・飲食サービス業 | 50.4% | 宿泊業・飲食サービス業 | 62.9% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 46.6% | 生活関連サービス業・娯楽業 | 58.0% |
教育・学習支援業 | 45.9% | 教育・学習支援業 | 58.0% |
医療、福祉 | 39.0% | 小売業 | 49.4% |
小売業 | 37.4% | 不動産、物品賃貸業 | 46.7% |
引用)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」
業種にもよりますが、サービス業系は、3年以内に半数以上が離職されています。こういった方は…次どのような業種・職種へ転職されるのか…。
2.他職種への転職は今後増えていく
転職者には同職種での経験を求める企業がまだ多い一方、「未経験可」の求人を見かけることもずいぶん増えてきました。
特に業績が伸びている企業や、業界として需要が高まってきている成長産業などは、積極的に未経験者を受け入れる傾向があります。例えば、高齢化が進むなか、明らかに人材が不足している医療や福祉、介護などの業界ではその傾向が顕著です。
そういった企業では、人材を一から育てるとともに、これまでの他職種での経験を活かした活躍を期待して、今後も未経験者を積極的に受けいれていくと考えられます。
3.他職種からの転職者に求められるポイントを確認する
それでは実際に他職種に転職するための職務経歴書を作成するときには、なにから始めればよいのでしょうか。
他職種への転職を成功させるためには、まず企業がどんな人材を求めているのかを想像し、自分がそこにマッチしているのかを確認することから始めましょう。
例えば、企業側には募集するポジションについて「求める人物像」があるはずです。営業職であれば、未経験であってもコミュニケーション能力の高さを評価するであろうことは容易に想像できるでしょう。
また、デスクワークの場合には、他職種であってもパソコンスキルなど最低限のスキルを必要としていると考えられるのではないでしょうか。
企業が求める人材に、自分が合致しているポイントがわかれば、職務経歴書ではその部分を積極的にアピールしていけばよいでしょう。
4.他職種に転職するときの職務経歴書でのアピール方法
それでは次に、職務経歴書にはどんなことを記入すればよいのか、具体的に4つのポイントに分けてご紹介していきます。職務経歴書には職務経歴を書いた下に、自己PRや志望動機を書く欄を設けるのが一般的ですので、そちらをうまく活用してアピールするのがおすすめです。
(1)転職の目的と志望動機を明確にする
まずは今回の転職に際し、これまでとは違う職種に転職しようと思った理由を明確に記す必要があります。企業側にとって、どんな目的や動機があって他職種への転職を希望しているのかは、重要なチェック項目です。
どうしてその職種や業種を選んだのか、その会社でこの先どんなことをしたいのかを、具体的にまとめておきましょう。転職に至った経緯と、その職種を選んだ理由とが、論理的にしっかり結びついているとよいでしょう。
(2)転職先に関連した知識やスキルをアピールする
他職種への転職といっても、これまで社会人として培ってきた経験やスキルのなかで、活用できるものがあると思います。
それがもし希望する職種に直接関係することではない場合でも、共通点や活かせるポイントを探し、積極的にアピールすることが大切です。
その経験やスキルが、具体的にどんな場面で活用できるのかまで想像し、採用担当者に明確に伝わるようにしましょう。
(3)仕事に対する意欲や適応能力の高さをアピールする
未経験で他職種に応募する場合には、初めての職種に対する意欲や適応能力があることをアピールすることはとても重要なポイントです。特に新しい知識やスキルなどを積極的に学んでいく意欲があることは、しっかりと伝えるようにしましょう。
またコミュニケーション能力の高さなども、未経験者を受け入れる企業としては重要視すると考えられるため、大きなアピールポイントになります。
(4)具体的な取り組みや将来のビジョンを伝える
未経験での転職に際し、資格の取得など具体的に取り組んでいることがあれば、積極的にアピールしましょう。意欲を持って前向きに取り組んでいる姿勢を見せることで、未経験者を採用することに対する採用担当者の不安を払拭することも可能です。
またその業界で、今後どのようなキャリアを思い描いているのかを具体的に伝えることでも、採用担当者に効果的に熱意を伝えることができるでしょう。
5.まとめ
未経験で他職種に転職するときには、経験の部分を売り込めない分、違った方面から積極的に自分をアピールし、「採用に値する人材」であることを伝える努力が必要です。
職務経歴書でアピールするときには、熱意だけではなく、これまでの仕事のなかで培ってきた自分の経験やスキルを、具体的にどう活かしていくのかといった点を中心に、しっかりとまとめるようにしてください。