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終身雇用の時代は終わり?早期退職者を募集している大企業15社のリストラ内容を詳しく解説

2019年5月に、トヨタの社長である豊田章男社長が発言した

「終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきた」

というニュースが話題になりました。

 

終身雇用に関しては、経団連の中西宏明会長も

「企業からみると従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」

と語るなど、従来の雇用スタイルが転機を迎えているようです。

 

今回は、最近リストラしている大企業について、早期退職者の募集人数やリストラの概要などについて、詳しく解説をしていきます。

 

1. 早期退職者数ランキング【2020年1~6月】

 

2020年6月に、ダイヤモンド編集部が東京商工リサーチの集計データを基に作成した

「2020年1~6月 早期退職者数ランキング」

が下図1の表になります。

 

早期退職者の募集人数が多い順のランキングです。

ここでは、早期退職者の募集が多い上位15社について詳しくリサーチをしていきましょう。

 

早期退職ランキング【2020年1-6月】

順位社名業種募集人数応募人数
1レオパレス21不動産1,000-
2ファミリーマート小売業8001,025
3ノーリツ金属製品600789
4オンワードHD繊維製品350413
5レナウン繊維製品300-
6NISSHAその他製品250-
7タチエス輸送用機器250-
8廣済堂その他製品240-
9芝浦機械(旧東芝機械)機械200-300-
10曙ブレーキ工業輸送用機器200154
11シチズン時計精密機器200-
12三井E&SHD輸送用機器200-
13ユニバンス輸送用機器200-
14ぱどサービス170178
15ラオックス小売業140111

図1 引用)ダイヤモンドオンライン「早期退職者の募集が多い企業ランキング完全版【2020年1~6月】」https://diamond.jp/articles/-/240641?page=2

 

 

①トップはレオパレス21の募集1000人

図1のデータによると、早期退職者の募集が多い企業ランキングの第1位は「レオパレス21」で、募集人数が1000人でした。

 

日本経済新聞(2020/8/7付)は、経営再建中のレオパレス21が、7月末までに募集していた希望退職に1067人が応募したと発表しました。

 

3月末時点の社員5820人の約18%にも上る人数です。

同社では1000人の希望退職者を募集していましたので達成したということになります。*1

 

続く第2位はコンビニ大手「ファミリーマート」の募集人数800人。

当初の募集人員800名に対し、約3割ほど多い応募者数となりました。

 

第3位には、給湯器など住宅設備機器製造の「ノーリツ」がランクインし、600人の募集人数に対して、こちらも約3割多い応募者数となりました。

 

②レナウンは希望退職者が大幅な定員割れ

4位には「オンワードHD」、5位には「レナウン」が続き、両社ともアパレルメーカー大手です。

 

4位の「オンワードHD」は募集人数350人に対して413人も応募しました。

 

5位のレナウンは、300人の募集人数に対し、大幅な定員割れ。

7月30日に100人弱を整理解雇し、8月末にも追加で数十人の解雇を実施予定とのことです。*2

 

2.リストラに踏み切ったTOP5社の要因・募集結果・決算内容

 

 企業名リストラの主な要因リストラの結果概要決算内容(2020年)
1位レオパレス21
*発表2020/6/5
アパートの施工不備による一連の問題・35歳以上の社員を対象
・募集人数1000人
・計画通りの1067人が応募*3
・当期純利益802億円の赤字
・前期も686億円の巨額赤字*4
2位ファミリーマート
*発表2019/11/14
構造改革に伴う早期退職優遇制度を実施・40歳以上
・募集人数800人
・1025人が応募 *5
・当期純利益435億円の黒字
・前期453億円で前年比はマイナス4.1%
*6
3位ノーリツ
*発表2019/11/27
国内市場の縮小や中国経済の停滞で事業環境が悪化しているため、住設システム分野から撤退・人員削減・45歳以上
・募集人数600人
・789名が応募*7
・当期純利益15億円の黒字
・前期57億円の黒字から下降*8
4位オンワードHD
*発表2019/12/6
競争環境の激化による業績の悪化、事業規模に見合った人員体制へ再構築するため・40歳以上
・募集人数350人
・413名が応募*9
・当期純損失521億円の巨額赤字
・前期は49億円の黒字*10
5位レナウン
*発表2020/5/28
2020年5月、東京地方裁判所により再生手続開始。管財人の下で販売戦略の見直しや経費削減・人員削減・年齢制限なし
・募集人数300名
・100人弱*2*11
・年齢制限なし
・募集人数300名
・100人弱*2*11
 ・当期純損失67億円の赤字
・前期も39億円の赤字*12

図2 )*2~12を参考に執筆者作成

 

①前期から赤字の会社が多い

2020年に提出された決算内容を見てみると、赤字の会社が多いことが分かります。

特に深刻なのは1位のレオパレス21で、アパートの施工不備による一連の問題で、当期の損失利益は802億円という巨額の赤字です。

 

レオパレスは前期も686億円の損失を出しており、なかなか業績回復の目途が立ちません。

所有するアパート全棟の調査を優先させた結果、補修工事の完了が遅くなり、平均入居率が約80%に低下。賃料収入が大幅に減少しています。

 

また、オンワードHDも、前期は49億円の黒字だったにもかかわらず、当期純損失が521億円の大赤字です。

レナウンに至っては、2020年5月15日に負債138億円を抱えて、民事再生手続きに入りました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による営業休止によって、衣料品の販売が急減し、アパレルメーカーは資金繰りが非常に厳しくなったこともあります。

新型コロナの感染拡大以降、国内の上場会社が法的整理手続きに入るのは、レナウンが初めてです。

 

②「黒字リストラ」も多い

現時点では黒字でも、リストラを進めている大企業も増えています。

 

ファミリーマートやノーリツは2020年時点では黒字ですが、前年比より純利益が下がっているため、将来を見据えてリストラに着手しています。

ファミリーマートは今回の制度を利用して退職する社員に、通常の退職金に割増退職金の加算を行い、本人の要望に応じて再就職のための支援も行います。

 

業績良好でも、リストラに着手する企業が増えており、2019年に早期・希望退職を実施した上場企業35社のうち、最終損益が黒字だった企業は約6割という結果です。*13

 

③年齢は40歳前後が多い

図2を参照すると、リストラの対象となるのは40歳前後であることがわかります。

 

大手企業による中高年の早期・希望退職者の募集が相次いでいる背景としては、経営体力のあるうちに社員の見直しを行い、将来を見据えての構造改革に取り組む動きがあります。

 

2019年6月5日に、政府が成長戦略実行計画案として

「70歳までの就業機会確保(努力義務)」

など、多様な就労形態を許容する雇用改革を発表しました。

 

現在でも60歳から65歳までは雇用義務があり、企業の負担は増すばかりです。

70歳までの雇用を促す政府と、40歳前後でリストラを迫る企業の主張には食い違いがあり、いびつな社会構造が見え隠れしています。

 

3.早期退職者を募集している会社【2020年7月~9月最新版】

 

.2020年7月から9月において、早期退職者を募集している会社は、下図3の通りです。

業種としては自動車部品と繊維製品が目立っています。

 

早期退職者を募集している会社(2020年7月~9月最新版)

報道日企業名業種概要
9月8日ダイヤモンドエレクトリックホールディングス電気機器子会社のダイヤモンド電機(大阪市)で165人が希望退職に応じたと発表
8月31日河西工業自動車部品300人の早期退職者を募集すると発表した。
8月24日ユニバンス自動車部品7月末までの希望退職者制度に130人が応募したと発表した
8月17日武田薬品工業医薬品国内で勤務する医薬情報担当者(MR)などを対象に希望退職を募集すると発表
8月13日チムニー(居酒屋)飲食サービス正社員の約1割にあたる100人程度の希望退職者を募集すると発表
8月5日ワールド繊維製品9月中に約200人の希望退職を募集。関連して約360店を閉鎖する。
7月28日シチズン時計精密機器子会社の社員を対象に希望退職者550人を募集すると発表
7月8日アツギ東北繊維製品パート従業員らを中心とした約1000人の従業員を対象に約330人の希望退職を募集

図3 参考)日本経済新聞「早期退職一覧ニュース」をもとに執筆者作成https://www.nikkei.com/theme/?dw=19021901

 

4.希望退職は10年ぶり40社超え【2020年上半期】

 

東京商工リサーチは2020年7月3日、2020年1~6月に早期退職を募集した上場企業が41社だという結果を発表しました。(下図4)

 

業種別ではアパレル・繊維製品が6社で最多となり、飲食サービスも目立っています。

新型コロナの感染防止や、外出自粛による消費の冷え込みが主な原因でしょう。

 

①早期・希望退職を募集した上場企業数は41社【2020年1~6月期】

下図4のデータによると、2020年1~6月期に早期・希望退職を募集した上場企業数は41社という結果です。

 

東京商工リサーチ「2020年上半期(1-6月)上場企業「早期・希望退職」実施状況 (2)

図4 引用)東京商工リサーチ「2020年上半期(1-6月)上場企業「早期・希望退職」実施状況(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20200703_02.html)

 

前年同期(18社)では2.2倍で、既に2019年の1年間におけるデータ35社を上回りました。

 

上半期で40社を超えたのは、リーマンショック後である2010年の66社以来、10年ぶりとなります。

 

②業種別ではアパレル・繊維製品が6社で最多

繊維・アパレルは2020年の決算で4社が最終赤字、1社で減収減益でした。

 

6月には外食2社が早期退職募集を公表し、新型コロナ感染による外出自粛や消費の落ち込みは、ますます拍車がかかっていく傾向でしょう。

 

しばらくは雇用への影響が懸念されそうです。(図4の引用元より参考)

 

5.まとめ

 

かつての日本企業は、大企業に入れば一生安泰とよく言われたものですが、時代は変化し、近年では必ずしもそうではありません。

企業が存続していくには、新卒や中途にかかわらず、優秀な人材が必要とされています。

 

また、これから就職を考えている側としては、企業の事業内容のみならず、財務内容にも目を向けて、安心して長く働くことができる優良企業を選んでいくことが必要でしょう。

 

しばらくは景況感が落ち込む要素が多いようですが、企業も構造改革を決行して、財務内容を改善していこうと努力を重ねていくことが重要と言えます。

 

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