企業研究
法務部門への転職に有利な資格を解説 安定性抜群の職種でキャリアアップを目指そう

昨今、新型コロナウイルスによる業績不振を理由に、大手の航空会社や旅行会社などを中心に人員削減が進められています。

また、働き方改革やAIなどの導入により多くの仕事が失われるという予想もある現代では、安定性があり、転職に強い職種というのは非常に魅力的と言えるでしょう。

 

そこで、今回は安定性があり転職に強い職種として法務職を紹介するとともに、法務への転職に有利な資格をご紹介いたします。

 

 

1.法務部門とは?仕事内容について

 

法務部門というのはどのような仕事をしているのか知らないという方は結構多いのでは無いでしょうか。

一般的な法務部門の業務内容は以下のようなものです。

 

・契約書の内容確認、リーガルチェック

・法律相談

・法令、制度調査

・訴訟対応

 

会社によってはこれに加え、株主総会対応やコンプライアンス体制の構築といったものも業務となる場合があります。

 

以上の様な業務内容からお分かり頂けるように、法的な知識を有していることが法務部門の業務では求められます。

特に契約書の内容確認やリーガルチェックは法務部門において最も日常的に行われる業務です。

契約書の内容を確認するためには、民法や商法をはじめとする法律について知識を有している必要があります。

そのため、企業においても専門性の高い職種として重宝され、転職市場においても専門性が評価されやすい傾向にあります。

 

 

2.法務部門を設置している企業

 

では、どのくらいの数の企業が法務部門を設置しているのでしょうか。

以下は、上場企業の法務担当者が多く所属する経営法友会が5年ごとに行っている調査結果から引用したデータです。

このデータを見ると2000年当時は部レベルでの法務部門を設置している企業は全体の27.2%程度でした。

しかし2015年では43.2%と約半数近くまで増加しており、ここ20年の中で確実に増加傾向にある部門と言えるでしょう。

背景には企業のコンプライアンス意識の高まりや、法令違反の際ノレピュテーションリスクの増大などがあると言われています。

 

法務部門の設置状況

(経営法友会「会社法務部【第11次】実態調査の分析報告」より)(https://www.keieihoyukai.jp/275)

 

また、人員面でも増加傾向にあります。

同じく経営法友会の行った調査によると、2005年に6530名であった法務担当者の総数は、2015年には7749名にまで増えています。

法務部門を設置している企業や人員の拡充を図っている企業が多いと言うことがここから読み取れます。

 

法務部門の人的充実度状況

(経営法友会「会社法務部【第11次】実態調査の分析報告」より)(https://www.keieihoyukai.jp/275)

 

以上のような傾向は今後も続くことが予想されるため、法務関係のキャリアの未来は明るいと言えるでしょう。

 

 

2.法務部門で働くことのメリットと転職市場における強み

 

では、法務部門で働くという事について、どのようなメリットがあげられるでしょうか。

 

法務部門で働くことのメリット

法務部門で働くことの最大のメリットは、専門性の高い職種であることから、専門知識を身につけることができるという点にあります。

特に法務部門への転職は経験者が優遇されやすいため、こうした経験を積め、市場価値を高めることができるというのは大きなメリットです。

 

また、会社の重要な契約などの確認を通じて大きなプロジェクトに関わることができ、その中で存在感を示すことができればご自身のキャリアにとっても非常にプラスとなります。

こうした点が法務部門で働くメリットと言えるでしょう。

 

 

転職市場における強み

転職市場における法務部門経験者の強みは、なんと言っても経験者が優遇されるという点です。

 

法務担当の採用方針

(経営法友会「会社法務部【第11次】実態調査の分析報告」より)(https://www.keieihoyukai.jp/275)

 

上記のデータは、法務担当者を採用する際の各企業の方針についてアンケートを取ったものです。

中途採用は46.8%と約半数近くになっており、経験者が優遇されやすいというデータが見て取れます。

 

意外に思われるかもしれませんが、弁護士を採用しようという会社は全体の約36%程度にとどまり、弁護士資格の有無はそれほど重要視されていません。

むしろ経験者であることの方が重視されているというのが、法務部門への転職の特徴と言えるでしょう。

 

3.法務部門への転職で求められているのは?

 

では、法務部門へ転職するに当たっては、業務経験以外にどのようなものが求められているのでしょうか。

特に、未経験から転職する際にはどのような能力があることをアピールすれば良いのかについて、見てみましょう。

 

採用時に重視する能力

(経営法友会「会社法務部【第11次】実態調査の分析報告」より)(https://www.keieihoyukai.jp/275)

 

中途採用者の場合に重視されているのは、コミュニケーション能力と法律知識です。

半数以上の企業で求められています。

コミュニケーション能力が重視されているという点は意外に思われる方もいるかもしれません。

しかし法務部門の業務は他部門とのコミュニケーションが必須ですので、重視されて当然と言えるでしょう。

 

特に法律相談業務では、依頼部門がどのような解決を求めているのかなどを正確に聞き取り、法的な観点からのアドバイスやリスクの提示などを行う必要があります。

そのため、未経験でもこのような能力が高いことをアピールできれば、採用へつながる可能性は十分にあるでしょう。

 

 

4.法務部門への転職に役立つ資格

 

先ほどのアンケートからも分かるように、法務部門への転職にはやはり法律知識を有していることが求められます。

では、どのような資格を取得していれば必要な知識を持っているとアピールできるのでしょうか。

ここでは、働きながらでも取得可能と思われる資格を紹介いたします。

 

ビジネス実務法務検定

法務部門での勤務経験者も多く取得している資格です。

ビジネス実務法務検定は東京商工会議所が主催している資格で、試験は年2回行われており、例年約3万人もの人が受験する資格となっています。

 

3級から1級までがあり、1級は2級を合格した場合に受験資格が与えられることになっています。

法務部門勤務を目指すのであれば、さしあたり2級を目標に勉強を進めていくと良いでしょう。

なお、2級の合格率は40%前後となっており、簡単とは言えませんがしっかりと勉強を進めていければ十分合格可能な範囲の試験と言えます。

 

試験結果

(東京商工会議所HPビジネス実務法務検定「受験者データ」)(https://www.kentei.org/houmu/data.html)

 

知的財産管理技能検定

製造業やIT関係の法務では、知的財産権(特許権、商標権、意匠権、実用新案権、著作権など)に関する知識が求められるケースが少なくありません。

こうした知的財産権に関する知識を有していることをアピールできるのが、知的財産管理技能検定です。

 

知的財産管理技能検討・受験申込者数の多い企業

(参考:知的財産管理技能検定HP「活用状況」より)(http://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kekka_dantai.html)

 

合格基準が予め定められているのが特徴で、多くの方が取得を目指すと思われる2級は80%以上の正答率が求められています。

過去問などを着実に進めていくことが合格への近道と言えるでしょう。

 

その他の資格

法務部門への転職に役立つその他の資格としては、行政書士や宅地建物取引士といったものも考えられます。

いずれの資格も民法・商法が試験範囲となっているため、業務に必要な法的知識を有していることをアピールするのに適しています。

 

 

5.経験者になるまでのハードルは高めだが、経験者になれば転職に有利

 

今後も人員の増加傾向が見込まれ、経験者を欲しがる企業が増え続けると予想される法務部門。

転職やキャリア形成にあたって安定した職種であり、法務部門を置く企業がある程度以上の規模になることなどを想定すると、非常に魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

 

資格取得を目指し、また未経験でも応募できる企業があれば是非積極的に応募してみましょう。

法務部門という新たな生き方を目指して、キャリアを積まれてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者
名前:静
経歴:法科大学院を卒業後、司法試験を3回受験(短答式合格、論文試験不合格)
メーカーの法務部門(2社)にて国際・国内法務、株主総会対応、M&Aなどを行う。
現在はライターとして法律・税務に関する記事を中心に執筆を行う。
趣味は居酒屋巡りで大の日本酒党

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