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日本の不動産業界をリードする財閥系会社!歴史や事業内容などを詳しく解説

不動産業は、わが国において重要な産業の一つですが、そんな不動産業界を牽引するのは財閥系の不動産会社である「三井・三菱・住友」の三大財閥企業です。

 

今回は、財閥が解体された今もなお強い影響力を持っている各グループについて、歴史を振り返りながら詳しく解説をしていきます。

 

日本を代表する大企業「三大財閥系不動産会社」にご興味のある方は、ぜひ、最後までご覧ください。

 

1.財閥系不動産会社とは

 

ここでは、不動産業界を牽引する存在である財閥系不動産会社についての定義や、事業規模などについて解説をしていきます。

 

①三井・三菱・住友の三大財閥系の不動産会社

財閥とは、戦前において独占的に事業を展開していた一族、あるいはその経営形態のことを指しています。

簡単に言えば「大金持ちの一族が経営する企業グループ」ということです。

 

戦後に解体されましたが、現在でも資本のつながりなどによって、それぞれに企業グループを形成しており、日本経済に多大な影響を与えています。

 

一般的には三井・三菱・住友の企業グループを三大財閥系と呼び、これに安田グループを加えると四大財閥と呼ばれます。

これら財閥は、明治中期ごろから系列不動産の経営管理に当たっていました。*1

 

②不動産業界を牽引する存在

三井・三菱・住友の三大財閥系は、現代の日本における不動産業界で売上高のトップ3を占めており、圧倒的な存在感を発揮しています。

 

【三大財閥系不動産会社の売上高】

企業名 売上高 営業利益 主要開発エリア
三井不動産 1兆9,056億円 2,806億円 東京・日本橋
三菱地所 1兆3,021億円 2,407億円 丸の内・大手町
住友不動産 1兆135億円 2,343億円

図1 参考)業界地図 「NO.128 不動産」P206を参考に筆者作成

 

2.三大財閥系不動産会社の歴史

 

財閥系不動産会社には、新興の不動産会社にはない由緒ある歴史が存在しています。

 

ここでは、その歴史を少し紐解いていきましょう。

 

①三井不動産

1673年の江戸時代に、三井高利が江戸日本橋に呉服店「越後屋」を創業したのが始まりです。

「越後屋」はその後、事業の幅を広げ、1909年に日本初のホールディング・カンパニーである「三井合名会社」を設立。

1914年には、三井家が所有する土地や建物を管理する不動産課を設置しました。

そしてこの不動産課が1941年に独立し、「三井不動産株式会社」が設立されます。

戦後の高度経済成長期をきっかけに、臨海部の埋立事業に取り組み、日本を代表する「デベロッパー」へと発展し、現在でも魅力ある都市空間を創り出しています。*2

 

②三菱地所

土佐藩出身の岩崎弥太郎が創立した三菱商会が、明治政府の保護を受けながら造船業や鉱業などあらゆる分野に進出し、不動産業もその一つとして発展させていきました。

1890年には陸軍からの要請を受け、当時は不毛の地であった丸の内の広大な土地の買収を行い、大正時代に東京駅が開業。

すると丸の内は日本を代表するオフィス街へと進化し、三菱地所は「丸の内の大家」というポジションを確立したのです。

 

1997年、三菱地所は初代丸ビルを取り壊し、2002年に2代目丸ビルを開業。

商業施設の誘致を進め、丸の内の街の魅力をさらにパワーアップし、オフィス賃貸事業でも業界で不動の地位を保ち続けています。*3*4

 

③住友不動産

住友政友が京都で開いた「富士屋」が発祥であるとされている住友財閥ですが、1949年の財閥解体により、住友本社の不動産部門を継承する会社として設立されました。

なお、当時は泉不動産株式会社と称していました。

その後、1957年に「住友不動産株式会社」に商号変更し、1962年に高級賃貸アパート「目白台アパート」(東京都文京区)を完成。

1963年には清算中の株式会社住友本社を吸収合併した後、香港に現地法人・香港住友置業有限公司を設立し、現代においてもグローバル化を推進しています。

 

2015年に「東京日本橋タワー」を竣工し、「新築そっくりさん」事業の累計受注棟数は100,000棟を突破。

押しも押されぬ主要デベロッパーとして事業を拡大し続けている企業です。*5

 

3.三大財閥系不動産会社の企業情報

 

ここでは、三大財閥系不動産会社の事業内容や従業員データ、求める人材などの企業情報を見ていきましょう。

 

①主な事業内容

三大財閥系不動産会社の主な事業内容は以下の通りです。(図2)

 

東京都心の大規模再開発やオフィスビルを多数保有している点などが共通しています。

企業名 主な事業内容
三井不動産 ・賃貸ビル、住宅分譲、商業施設では不動産業界でNO.1
・東京 日本橋や八重洲などで街の再開発を推進
・アメリカでも大規模開発事業に着手
三菱地所 ・大丸有(大手町・丸の内・有楽町)でオフィスビル賃貸事業
(別名「丸の内の大家さん」)
・常盤橋や有楽町で大規模再開発を進行中
住友不動産 ・東京都心部にオフィスビルを多数保有
・分譲マンション発売戸数ではNO.1
・住宅リフォーム「新築そっくりさん」が好調

図2 参考)業界地図 「NO.128 不動産」P206を参考に筆者作成

 

②従業員数・平均年収

従業員数や平均年収をまとめた表は以下の通りです。(図3)

 

従業員数が一番多いのは住友不動産で、5,841人と多くの従業員を雇用しており、男女別では全ての会社で男性の比率が多いのが特徴です。

 

平均年収も43歳前後で1,200万円を突破し、不動産業界の中でもトップクラスの年収の高さを誇っています。

企業名 従業員数(人) 平均年収
三井不動産 1,577(男949 女628) 1,263万円(平均43歳)
三菱地所 899(男662 女237) 1,247万円(平均41歳)
住友不動産 5,841(男4,298 女1,543) 1,239万円(平均43歳)

図3 参考)就職四季報 総合版 2021年 P585 P586 P626

 

③求める人材

各企業が求める人材としては、三井不動産は

「何事にも本気で向き合える人 人との関わりを大事にする人」*6

を求めており、多様な価値観や才能を持った人材が活躍する組織を目指しています。

 

三菱地所は

「多様な関係者と信頼関係を構築し、プロジェクトリーダーとして事業を推進できる人物」*7

を求めており、女性も含めた誰もが働きやすい会社を推進中です。

 

住友不動産が求める人材は

「前例にとらわれず、自らの頭で考え、リーダーシップを持って最後まで仕事に取り組める人。」*8

 

困難に立ち向かいながら最後までやり抜く、責任者としてプロジェクトを推進できるような骨のある人材を募集しています。

 

4.三大財閥系不動産会社のグループ会社

 

三大財閥系不動産会社には様々なグループ会社があり、それぞれ不動産業界で活躍をしています。

ここでは、主なグループ会社をご紹介をしていきましょう。

 

①三井不動産

三井不動産のグループ会社はマンション開発、不動産売買仲介、注文住宅など多岐に渡る事業を展開。

 

「三井のリハウス」で有名な三井不動産リアルティは、不動産売買仲介では業界NO.1の地位を築いています。

 

「ららぽーと」などの商業施設も有名です。

 

グループ会社名 事業内容
三井不動産レジデンシャル マンション「パークホームズ」戸建住宅「ファインコート」を販売
三井不動産リアルティ ・不動産売買仲介で業界NO.1
・「三井のリハウス」が有名
三井ホーム 戸建て注文住宅大手でツーバイフォー工法が人気
三井不動産商業マネジメント 商業施設「ららぽーと」やアウトレット施設を運営
三井不動産アメリカ アメリカで高層ビルの開発事業を展開

図4 参考)業界地図 「NO.128 不動産」P206を参考に筆者作成

 

②三菱地所

都心や全国の都市部を中心にマンション「ザ・パークハウス」を開発販売している三菱地所レジデンスや、池袋サンシャインシティの運営をしているサンシャインシティなどがグループ会社として傘下に入っています。

 

メックグループインターナショナルでは、マンハッタンで保有するオフィスビルの大規模改修工事を行うなど、米国での事業も展開中です。

 

グループ会社名 事業内容
三菱地所レジデンス マンション「ザ・パークハウス」を開発販売
三菱地所・サイモン 商業施設「プレミアム・アウトレット」を運営
メックグループインターナショナル 旧ロックフェラーグループで米国での事業を展開
サンシャインシティ 池袋サンシャインシティの運営

図5 参考)業界地図 「NO.128 不動産」P206を参考に筆者作成

 

③住友不動産

住友不動産販売は不動産売買仲介では業界2位の地位にあり、STEP(ステップ)の愛称で知られているグループ会社です。

 

住友不動産ヴィラフォンテーヌでは、宿泊特化型のビジネスホテルチェーンを展開し、東京 汐留や六本木でホテルを運営しています。

 

グループ会社名 事業内容
住友不動産販売 不動産売買仲介2位 STEP(ステップ)の愛称
住友不動産建物サービス マンション管理を受託
住友不動産ヴィラフォンテーヌ 東京 汐留や六本木でホテルを運営
住友不動産ベルサール イベントホール・貸会議室を運営

図6 参考)業界地図 「NO.128 不動産」P206を参考に筆者作成

 

4.不動産業の労働生産性はきわめて高い

 

不動産業の労働生産性はきわめて高いのも特徴です。

 

労働生産性とは、「従業員1人当たり、または1時間当たりに生み出す成果」を表した指標を指していますが、下図5を参照すると、産業によって労働生産性にはそれぞれ違いが見られます。

 

農林水産業や宿泊・飲食サービス業などでは労働生産性が低く、情報通信業や金融・保険業などでは労働生産性が高くなっていますが、中でも不動産業の労働生産性はきわめて高い値を示しているのです。

 

このように、不動産業は全産業の中でもきわめて労働生産性が高く、特に業界の最高峰である三井・三菱・住友の三大財閥デベロッパーは、不動産業界の中でも社員一人辺りが生み出す利益が非常に大きいと言えるでしょう。

 

産業別労働生産性

図5 引用)参議院「経済のプリズム 不動産業の労働生産性(調査情報担当室)」(https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h30pdf/201817104.pdf)

 

5.日本の不動産財閥系企業の歴史や事業内容まとめ

 

今回は、財閥系不動産会社の歴史を紐解きながら、各企業の事業内容や従業員の人数、年収、関連企業など幅広く解説をしていきました。

 

現在の日本における不動産業界のトップ企業である財閥系不動産会社の3社ですが、街の再開発やオフィスビル、商業施設、ホテル・リゾートなど、人々の暮らしが豊かになるような街づくりを手がけています。

 

これからも日本の不動産業界でリーダーシップを発揮しながら、街の魅力を引き出すことを期待されています。

 

参考文献/参考サイト
*1 参考)日本不動産学会誌「不動産業の成立その変遷」P111
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jares1985/8/1/8_1_110/_pdf/-char/ja
*2 参考)三井不動産「歴史からみる三井不動産」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/roots/
*3 参考)三菱地所「沿革」
https://www.mec.co.jp/j/company/history/
*4 参考)三菱グループ「三菱のあゆみ」
https://www.mitsubishi.com/ja/profile/history/outline/
*5 住友不動産「沿革」
http://www.sumitomo-rd.co.jp/corporate/history.html
*6 参考)就職四季報 総合版 2021年 P585
*7 参考)就職四季報 総合版 2021年 P586
*8 参考)就職四季報 総合版 2021年 P626
執筆者
名前:矢口ミカ
プロフィール:フリーランスの転職・不動産ライター。複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。
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フリーランスの転職・不動産ライター。複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

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