企業研究
若者の3割はできれば働きたくない?若者雇用の現状と働かない理由を詳しく解説

電通が行った「若者×働く」という調査では、約3割の若者が「できれば働きたくない」という結果が出ました。*1

 

今回は、若者の働きたくない理由を探りながら、若者雇用の現状や、若者への就職支援施策などについて、詳しく解説をしていきます。

 

 

1.できれば働きたくない若者は3割いる

 

電通の調査では「できれば働きたくない若者は3割いる」という結果が話題になりました。

 

ここでは、若者が働く目的や転職に関する意識について解説をしていきます。

 

①働く目的の7割は「安定した収入のため」

内閣府がまとめた「就労等に関する若者の意識」によると、若者が仕事をする目的としては7割が「安定した収入のため」という結果が出ました。

 

次に多いのは

「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」15.8%

「自分の能力を発揮するため」15.7%

で、仕事に対して生きがいや、社会に対して承認欲求を満たしたいという人は、あまり多くはありません。

 

「働くのがあたりまえだから」14.8%、

「人の役に立つため」13.6%

と言う数字と合わせ、理想より現実を重視している若者が多いのが特徴です(図1)。

 

仕事をする目的

図1 引用)内閣府「特集 就労等に関する若者の意識」図表5 仕事をする目的(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/s0.html)

 

 

②安定志向はあるものの会社に固執しない

上図1で表されているように、働くことは「収入を得るため」が一番の目的であり、安定した生活をしたいという志向が現代の若者には多いです。

 

下図2のデータによっても、若者全体の76%は「常用での正規雇用」を望んでいるという結果が出ました。

 

現在の就学就業状況別の希望する雇用形態

図2 引用)内閣府「特集 就労等に関する若者の意識」図表1 現在の就学・就業状況別の希望する雇用形態(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/s0.html)

 

ただ、下図3の「転職に関する意識」の調査では、全体の36.7%が「自分の能力や適性に合わない職場ならば転職することもやむをえない」という意向を示しています。

また、「自分の能力や適性に合わない職場ならば転職するほうがよい」が25.4%、「自分の能力や適性に合う職場を求めて積極的に転職する方が良い」が10%という結果です。

これら転職に対して積極的な意見も合わせると、「転職もOK」とする人は全体の72.1%を占めており、現在、勤務している会社には、それほど固執しない傾向が見られます。

 

転職に関する意識

図3 引用)内閣府「特集 就労等に関する若者の意識」図表8 転職に関する意識(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/s0.html)

 

 

2.若者の就労実態

 

それでは、わが国における若者の就労実態とはどのようになっているのでしょうか。

ここでは、若年労働力人口(15~34歳)と学歴別の就職者数の推移について、解説をしていきます。

 

①若年労働力人口(15~34歳)は10年間で約320万人減少

若年労働力人口(15~34歳)は、2007年には2,035万人でしたが、2017年には1,711万人となっており、10年間で約320万人減少しました。(図4)

 

2040年には、少子化による人口減少なども加わり、若年労働力人口(15~34歳)は1,364万人と、さらに減少していく見込みとなっています。

 

労働人口の推移

図4 引用)厚生労働省「若年者雇用対策の現状等について」P2(https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/000548637.pdf)

 

 

②学歴が高いほど就職者数が多い

学歴が高いほど就職者数が多いのも特徴と言えるでしょう。

 

平成30年の「学歴別就職者数の推移」のデータ(図5)では、中卒は2,746人、高卒では186,234人、大卒では436,156人と、学歴が高くなるほど就職者数が増加しています。

 

平成10年3月卒の就職者数において高卒と大卒が逆転した以降は、高卒より大卒の方が就職者数が多くなっており、平成30年では、大卒の方が高卒より約2.3倍ほど多い数値です。

 

学歴別就職者数の推移

図5 引用)厚生労働省「若年者雇用対策の現状等について」P3(https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/000548637.pdf)

 

 

3.若者が働かない理由

 

内閣府が平成27年に発表した「若年無業者・フリーター・ひきこもり」の調査によると、若年無業者(15~34歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者)は56万人おり、15~34歳の人口に占める割合では2.1%となっています。*2

 

ここでは、若者が働いていない理由と将来の生活の展望について見ていきましょう。

 

①働かない理由は「希望する仕事がない」「病気」

若者が働かない理由で一番多いのは「希望する仕事がない」と「病気」で、どちらとも14.7%となっています。

 

次に多いのは「どこにも採用されないから」が12.6%であり、若者が働かない理由は、「働きたくないから働かない」というより「働きたいけれど働けない」というのが主な原因です。

 

ただ、「働くのが嫌だから」という若者も10%おり、このような若者が、働きたくなるような支援策やサポートを提供することが、これからの課題と言えるでしょう。

 

現在働いていない理由

図6 引用)内閣府「特集 若者の仕事観や将来像と職業的自立,就労等支援の現状と課題」図9 現在働いていない理由
(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h24honpenhtml/html/honpen/toku_2.html)

 

 

②将来の生活の展望は「親を大切にしている」がトップ

 

将来の生活の展望は「親を大切にしている」がトップになっており、現代の若者の心優しい一面が垣間見えます。

 

続いて「幸せになっている」「自由にのんびり暮らしている」「子供を育てている」などが多く、若者は明るい未来を描いて現在を生きていると言えます。

 

将来の自分の姿

図7 引用)内閣府「特集 若者の仕事観や将来像と職業的自立,就労等支援の現状と課題」図10 将来の自分の姿(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h24honpenhtml/html/honpen/toku_2.html)

 

 

4.厚生労働省で行っている若者への就職支援施策

 

厚生労働省でも若者に対して、数々の就職支援施策を打ち出しています。

 

ここでは、その施策を2つ、ご紹介していきましょう。

 

①わかものハローワーク

全国の「わかものハローワーク」、「わかもの支援コーナー」、「わかもの支援窓口」では、概ね35歳未満で正社員を目指す若者を対象に就職支援を行っています。

 

就職支援ナビゲーターが、担当者制による個別支援で、若者の正社員就職をサポート。個々の求職者の状況に合わせて支援プランを作成し、正社員就職を目指します。

 

就職に役立つ各種セミナーの受講や、求職者同士のグループワーク参加などが無料で体験できるのがメリットでしょう。

 

就職後の定着支援の実施もしており、UIJターン就職など地元や地方で就職したい人の相談にも乗ってくれます。*3

 

②ジョブカフェにおける支援

ジョブカフェは都道府県が設置を主導している、若者の就職支援をワンストップで行う施設です。

 

厚生労働省でも、ジョブカフェにハローワークを併設し、職業紹介等を行っています。

 

ジョブカフェとは通称であり、実際の名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」のことです。

 

若者が自分に適した仕事を見つけるために必要な様々なサービスを、1か所で受けられる場所であり、費用はもちろん無料です。

 

ジョブカフェでは、各地域の特色に合わせた就職セミナーや職場体験、カウンセリングや職業相談、職業紹介など、様々なサービスを行っており、保護者向けのセミナーも実施しているのが特徴です。

 

ジョブカフェという名前の通りに、気軽にカフェに立ち寄るような気分で体験してみてはいかがでしょう。*4

 

5.まとめ

 

今回は「働きたくない若者」について詳しく解説をしていきました。

 

電通の調査では約3割の若者が「できれば働きたくない」という結果が出ましたが、働きたくない理由には「希望する職種ではない」「病気」「どこにも採用されない」など、致し方無い理由が大半を占めています。

 

しかし、若者の将来の展望は明るい内容のものが多く、自分に適した仕事を見つけさえすれば、働く意欲が増すと言えるかもしれません。

 

日本の若年労働人口は、少子化によりますます減少の一途をたどっています。

 

国が打ち出している「わかものハローワーク」「ジョブカフェ」などの若者向けの就職支援施策を利用して、自分にぴったり合った仕事を探してみてはいかがでしょう。

 

参考文献/参考サイト
*1 参考)電通「電通総研、(若者×働く)調査を実施」
www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0813-004113.html
*2 参考)内閣府「第1部 子供・若者の状況(第4章 社会的自立 第2節 若年無業者・フリーター・ひきこもり)」
www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/b1_04_02.html
*3 参考)厚生労働省「わかものハローワーク」
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000181329.html
*4 参考)厚生労働省「ジョブカフェにおける支援」
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/jobcafe.html

 

 

執筆者
名前:矢口ミカ
プロフィール:フリーランスの転職・不動産ライター。複数のメディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。住まいに関する資格である整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級も取得済みです。趣味は整理収納と料理。

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