転職の求人では募集要項で「履歴書不要」と書かれていることがあります。転職活動をしていく上で、履歴書作成は定番のステップなため「履歴書の不要な企業は、きちんとしていないのでは」と転職先に選ぶことを不安に思うかもしれません。
「履歴書不要」とは企業として普通のことなのでしょうか?そこで転職で履歴書が求められる理由から「履歴書不要」とする企業の意図を説明します。
1.企業は「労働者名簿」作成のため履歴書の内容が必要
企業は選考基準として経歴、志望動機、アピールポイントを履歴書からみています。しかし転職の求人で履歴書の提出を求める理由には、企業が作成を義務付けられている「労働者名簿」も関係しているのです。
企業は労働基準法によって「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つを「法定三帳簿」として作成するよう定められています。この労働者名簿には雇用した人の以下のような情報を記載しなければいけません。
・名前
・生年月日
・性別
・現住所
・履歴(異動・昇進など社内での経歴)
・業務の種類
・雇用開始の年月日
・退職の年月日と事由
・死亡の年月日と原因
このように履歴書は労働者名簿の作成に必要な情報が載せられています。履歴書が手元にあれば、選考の参考になるだけでなく、採用決定後、労働者名簿の作成がスムーズに行えるため、多くの企業が提出を求めているのです。
2.履歴書不要だからといってあやしい企業とは限らない
それでは履歴書不要な企業は法律で求められている書類を作成しない危ない企業なのかと不安になるかもしれません。しかし健全な優良企業でも履歴書不要とするケースは多くあります。
①.企業独自のエントリーシートを用意している
履歴書不要としているケースでは、たいてい面接時に企業独自のエントリーシートや記入書類が用意されています。選考時に履歴書の内容と同じような書類を記入して提出するのであれば、履歴書不要はまったく怪しくないでしょう。
履歴書ではなくエントリーシートで選考する理由としては、応募者が選んだ履歴書のフォーマットだと企業が選考基準としてチェックしたい点の記入欄がない場合があるからです。独自のエントリーシートにすれば、学歴を重視していなければ欄を省いたり企業独自で知りたいポイントを質問したり選考のポイントに合わせてアレンジができます。
そうした場合、労働者名簿に必要な情報も一緒に記入してもらえば、内容がほとんど変わらない履歴書の提出をわざわざ求める必要はないでしょう。
②.「書類選考なし」「気軽に応募できる」をアピールしている
履歴書不要をアピールすることで、面接前の書類選考がないことを表している場合があります。また転職活動で実感するように、履歴書作成は時間も精神力も消費します。その労力を省いて気軽に応募して欲しい、という企業側の意図も考えられます。

③.労働者名簿作成が不要なケースもある
例外として履歴書送付不要、書類提出なしでも問題ないケースがあります。それは日雇いの場合です。1日の単発の仕事だと労働者名簿の作成は義務付けられていないので、履歴書不要でも問題ありません。
それ以外のケースは作成が義務付けられていますが、面接時や採用後に名前や住所などを記入した書類提出を求められるなら、転職を検討している企業が履歴書不要でも心配する必要はありません。
3.履歴書不要でも必要な情報はまとめておこう
履歴書が不要でも、転職では面接時の書類記入で履歴書と同じような内容を書かなければいけないことがほとんどです。学歴や職歴の年月日などわからなくて書けない、ということがないように必要な情報はまとめて面接に持って行くのが望ましいです。
スムーズに書けるだけでなく、志望動機なども事前に考えたものを書く方が面接官にもきちんとアピールできます。自分で確認するためだけなので、書き損じの履歴書を見本用として持って行くのがおすすめです。
他にも本人確認書類や給与を振り込む口座の通帳かキャッシュカード(もしくはそのコピー)、印鑑と朱肉があると、面接時に求められるさまざまなケースに対応できます。
4.まとめ
履歴書には転職の選考や入社後の手続きで必要な情報がまとめられているため、転職では提出することが一般的です。
しかし必要なのは「履歴書」そのものではなく、そこに書かれている情報です。同じような情報を記入した書類を提出するなら履歴書不要でも心配する必要はありません。通常の履歴書する提出の企業と変わりはないので、安心して応募・面接へのぞみましょう。