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面接当日に風邪をひいたらどうする?ピンチを乗り切る市販薬の使い方を薬剤師が解説します

面接当日に風邪をひいたらどうする?ピンチを乗り切る市販薬の使い方を薬剤師が解説します

転職や就職の面接当日に風邪症状がある場合は、感染拡大を防ぐために面接への参加は控えたほうが良いでしょう。

しかし、症状がごく軽く、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症ではないことが明らかな場合は、市販薬で症状をおさえて

「無理をしない」

「まわりの人に迷惑をかけない」

範囲で参加することは可能です。

 

特に最近は、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン面接を導入している企業も増加しているため、風邪を理由に面接を辞退するのはできるだけ避けたいものです。

  

企業のオンライン面接導入状況(20203月末時点)*1

 

リクルートキャリア「いま知ってほしい「働く」のこと>人事・採用に関する情報>採用担当者に聞く、オンライン面接の導入状況」

引用)リクルートキャリア「いま知ってほしい「働く」のこと>人事・採用に関する情報>採用担当者に聞く、オンライン面接の導入状況」*1(https://www.recruitcareer.co.jp/covid19_hataraku/hr/data01/)

 

そこで今回は、面接当日に風邪症状が出てしまった場合に備え、用意しておくべき市販薬と注意点について解説します。

 

 

1.風邪の主症状に対応できる市販薬を複数用意しておきましょう

 

市販されている風邪薬のうち、さまざまな症状に適応がある総合感冒薬は、眠気の出やすい成分が配合されている商品が多いため、面接を控えた方にはおすすめできません。

しかし、症状ごとに薬を選ぶと、眠気の生じやすい成分を避けることができます。

 

①熱やのどの痛み

熱やのどの痛みには、解熱鎮痛成分のみを配合している薬剤を選びます。

店頭では、「頭痛薬」や「痛み止め」として分類されている場合もあります。

 

成分としては、アセトアミノフェン・アスピリン(アセチルサリチル酸)・イブプロフェン・エテンザミド・ロキソプロフェンナトリウム水和物などが該当します。

 

なお、解熱鎮痛薬には、主成分の作用を高めるためにブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素などが含まれている場合があります。

しかし、眠気が出やすくなるため、これらの成分が配合されている商品は避けてください。

 

解熱鎮痛効果が期待できる成分 眠気が出やすくなる成分
アセトアミノフェン・アスピリン(アセチルサリチル酸)・イブプロフェン・エテンザミド・ロキソプロフェンナトリウム水和物など ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素など(鎮静作用があるため)

 

②鼻水・鼻づまり

鼻水や鼻づまりを一時的におさえたい場合は、点鼻薬がおすすめです。

鼻水やくしゃみには抗ヒスタミン剤が、鼻づまりには血管収縮剤が有効です。

 

市販の点鼻薬の多くは「抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミンマレイン酸塩)+血管収縮剤」の組み合わせで販売されています。

ただし、「血管収縮剤」のみのタイプもあるため、注意してください。

 

なお、抗ヒスタミン剤は眠気の出やすい成分として知られていますが、外用(点鼻薬など)で使用する限りにおいては、眠気が問題になることは少ないと考えてよいでしょう。

 

市販の点鼻薬に含まれる代表的な成分(急性鼻炎に適応があるもの)

くしゃみ・鼻水に効果が期待できる成分 鼻づまりの解消に効果が期待できる成分 殺菌作用を有する成分
クロルフェニラミンマレイン酸塩など ナファゾリン塩酸塩・塩酸テトラヒドロゾリン・オキシメタゾリン塩酸塩など 塩化ベンザルコニウム・セチルピリジニウム塩化物水和物など

 

アレルギーの影響で鼻症状が出ている場合は、抗アレルギー薬を服用するのもおすすめです。眠気の出にくいタイプも多く販売されているので、迷ったら薬剤師に相談しましょう。

 

眠気が出にくいとされる市販の抗アレルギー薬

成分名 代表的な市販薬

フェキソフェナジン

塩酸塩ロラタジンなど

アレグラ

クラリチンなど

参考)久光製薬「商品情報>アレグラFX>アレグラFXとは>商品情報「添付文書」」*2

https://www.hisamitsu.co.jp/、https://www.allegra.jp/file/product.pdf

大正製薬商品情報サイト「製品カタログ>カテゴリー一覧>感冒薬・鼻炎治療薬他>鼻炎治療薬>クラリチンEX>添付文書」*3

https://brand.taisho.co.jp/、https://www.catalog-taisho.com/explanationbook/04839_Explanation1.pdf

 

③咳・痰

咳止めに効果が期待できる飲み薬は、眠気の出やすい成分が含まれている商品が多くあります。トローチや漢方薬で対応しましょう。

 

トローチは、殺菌成分だけではなく咳止め成分や痰を切りやすくする成分を含むものを選びましょう。

 

市販のトローチに含まれる代表的な成分(咳・痰に適応があるもの)

咳に効果が期待できる成分

痰を薄める効果が期待できる成分

殺菌作用を有する成分

ノスカピン・デキストロメトルファンフェノールフタリン塩・dl-メチルエフェドリン塩酸塩など

グアヤコールスルホン酸カリウムなど

セチルピリジニウム塩化物水和物など

 

漢方薬は、体力により選択すべき薬が変わりますが、体力が中等度以下で乾いた咳が続く場合は麦門冬湯(ばくもんどうとう)*4、体力が中等度以上で咳の症状が強く、黄色い痰が絡む場合は五虎湯(ごことう)*5がおすすめです。

 

2.【薬剤別】風邪症状に市販薬を使用する際の注意点

 

風邪症状に市販薬を使用する際には、眠気などの副作用以外にも注意すべき点があります。面接という大切な場面であせらないように、必要に応じてあらかじめ対策を講じましょう。

 

①解熱鎮痛剤

解熱鎮痛剤を服用すると、解熱時に大量の汗をかく場合があります。

通常、服用から30分~1時間以内に熱が下がり始めますが、平熱程度まで体温が下がれば発汗は治まります。

 

解熱作用は34時間は続くため、面接会場へ赴く場合は熱が下がってから移動しましょう。

時間調整が難しい場合は、着替えを持っていくほうが無難です。

オンライン面接の場合は、面接開始時刻の2時間前に飲めば良いでしょう。

 

なお、痛み止めとして使う場合は、汗をかくことはあまりありません。

 

また、解熱鎮痛剤は胃を荒らす場合があるので、空腹時の服用は避けてください。

胃腸が弱い方は、胃腸障害の副作用があらわれにくいアセトアミノフェンを主成分とするものを選ぶか、胃を守る成分が入っているものを選ぶと良いでしょう。

 

胃腸の弱い人でも使いやすい市販の解熱鎮痛剤

・アセトアミノフェンを主成分とするもの

・胃の粘膜を保護する成分(酸化マグネシウム・乾燥水酸化アルミニウムゲル・メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)が配合されているもの

 

②点鼻薬

点鼻薬は、必ず鼻をかんで鼻の通りを良くしてから使用しましょう。

鼻が詰まったまま使用すると、薬剤の効果が十分に発揮されない可能性があります。

適切に使用すれば、点鼻薬は数分で効果を発揮します。

面接会場についてから、あるいはオンライン面接の1015分前に用量用法を守って使用してください。

なお、効果持続時間が長い112回タイプのものは、使用間隔を1012時間以上あけなければなりません*6

購入時には、使用間隔にも注意しましょう。

 

③漢方薬

漢方薬は即効性が期待できない場合もあるので、面接直前ではなく前日あるいは朝から服用しましょう。

商品によっては、用法が食間あるいは食前になっているので、注意してください。

万が一飲み忘れた場合は、食後に服用しても大丈夫です。

 

④抗アレルギー剤

抗アレルギー剤は種類が豊富なので、薬剤師や登録販売者に眠気の出にくいものを教えてもらうのがおすすめです。

ただし、体調や体質によっては眠気が出る場合もあるため、過信しないようにしましょう。

抗アレルギー剤は効き目の持続時間が長いので、面接直前ではなく、添付文書の用法通りに服用してください。

 

⑤トローチ

トローチは、のみ込んだりかみ砕いたりすると十分な効果が発揮されないことがあります。

口の中でゆっくり溶かして服用してください。

面接前に口の中をさっぱりさせたい場合は、洗口剤ではなくうがい薬を利用しましょう。

洗口剤はミントなどの清涼成分がのどに刺激を与えるおそれがあるため、おすすめできません。

 

なお、茶色や青色など色の濃いうがい薬は、衣類につくと簡単に落とせません。

うがい時にシャツなどを汚さないように注意しましょう。

面接時間に合わせて使用すべき薬剤

添付文書の用法通りに使用すべき薬剤

・解熱鎮痛剤

(オンライン面接の場合は2時間ほど前に飲めばよい。)

・点鼻薬

(面接の1015分ほど前に使用。ただし使用間隔に注意。)

・トローチ

(面接時に口の中に残っていないようにする。)

・漢方薬

・抗アレルギー剤

 

3.薬の選択に迷ったら薬剤師や登録販売者に相談しましょう

 

面接までに時間がない場合、あるいは風邪症状がつらくて薬を選ぶのが難しい場合は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

 

相談する際は、「面接時に風邪症状をおさえたいこと・眠気を避けたいこと」を必ず伝えます。

そして、薬を選んでもらったら、効き目があらわれるまでの時間や効果持続時間を教えてもらいましょう。

面接時間を伝えて、飲むべきタイミングをアドバイスしてもらうのもおすすめです。

 

ただし、風邪症状が新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの影響である可能性が否定できない場合は、絶対に面接へ行かないでください。

早めに応募先へ連絡して辞退ではない旨を伝え、その後の指示を仰ぎましょう。

 

参考文献・参考サイト
*1参考)リクルートキャリア「いま知ってほしい「働く」のこと>人事・採用に関する情報>採用担当者に聞く、オンライン面接の導入状況」
https://www.recruitcareer.co.jp/covid19_hataraku/hr/data01/
*2参考)久光製薬「商品情報>アレグラFX>アレグラFXとは>商品情報「添付文書」」
https://www.hisamitsu.co.jp/
https://www.allegra.jp/file/product.pdf
*3参考)大正製薬商品情報サイト「製品カタログ>カテゴリー一覧>感冒薬・鼻炎治療薬他>鼻炎治療薬>クラリチンEX>添付文書」
https://brand.taisho.co.jp/
https://www.catalog-taisho.com/explanationbook/04839_Explanation1.pdf
*4参考)クラシエ「商品紹介>「クラシエ」漢方麦門冬湯エキス顆粒A[8包]>この商品の添付文書情報」
https://www.kracie.co.jp/
https://www.kracie.co.jp/products/pdf/4987045068478.pdf
*5参考)クラシエ「商品紹介>「クラシエ」漢方五虎湯エキス顆粒A[10包]>この商品の添付文書情報」
https://www.kracie.co.jp/
https://www.kracie.co.jp/products/pdf/4987045068461.pdf
*6参考)佐藤製薬「ブランドサイト一覧>ナシビンMスプレー>製品情報>製品概要」
https://www.sato-seiyaku.co.jp/nasivin/product/outline.html
執筆者
名前:中西 真理
プロフィール:公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。
・サムネイル画像:前回と同じものです。
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