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「顔採用」「野球部っぽい採用」…個性的な採用活動を実施する企業の事例と狙い

「顔採用」「野球部っぽい採用」…個性的な採用活動を実施する企業の事例と狙い

 

情熱、実力、個性…採用活動にあたって企業が学生に求める要素は様々です。

面接でも「知識を問う」のか「態度を見る」のか、企業によって方針は分かれていますが、中にはユニークな採用活動を実施している企業があります。

 

事例とその狙いについて紹介します。

 

 

 

1.「顔採用、はじめます。」

 

 

学生のビジュアルを加点要素にする「顔採用」はあるのか?

就職活動をする中では気になるところですが、文字通りの「顔採用」を実施することで話題の企業があります。

 

東京に本社を置く「伊勢半」は化粧品の研究開発、製造・販売などを展開する企業です。

「顔採用」は好きなメイク、好きな服装で面接に来てほしいというもので、そのコンセプトは以下のようなものです。

 

 

伊勢半グループの新卒採用

今年も新卒採用は、「顔採用」。

もちろん容姿で判断するわけではありません。
好きなメイクや、服装、そしてヘアスタイル含め、
あなたらしさを自由に表現してもらう採用です。
見た目が窮屈な状態では、自分の価値観を語りにくいと思うから。
もちろん私たちも、普段通りの姿でお待ちしています。

採用とは、本当の自分を見せ合う場。
お互い合う合わないを確かめる場だと思います。
いつものみなさんとお会いできること、
緊張しつつ楽しみにしています。


<引用「ようこそ、顔採用の伊勢半へ。」伊勢半グループ採用サイト(2021卒)>
https://www.isehangroup.jp/recruitment/newgrads/

 

 

もちろん男女問わず、好きなメイクや髪型、服装で臨むことができます。

化粧品に携わる企業ならではの手法でもありますが、決まり切った服装やメイクにとらわれず、学生の本来の個性を見たい、というのが大きな狙いです。

 

また、伊勢半のコーポレートブランドである「KISS ME」広報プロジェクトの一環でもあり、自分らしさを愛する、という企業メッセージも込められています。ユニークなプロジェクトは国内外で多数の表彰を受けています*1。

 

江戸時代にさかのぼる歴史を持つ企業が、多様性の時代の中で生み出したコンセプトです。

 

 

2.「わたしっぽい面接」「野球部っぽい採用」

 

 

医療・介護業界などの経営コンサルティング会社であるCBホールディングスが2019年から導入しているのが、その名も「わたしっぽい面接」です。

 

人事面接の45分間のうち、冒頭15分を「わたしっぽいを語る時間」として学生のプレゼンテーションに充てるというものです。

 

CBホールディングスの新卒採用

15分間は自分が伝わると思う内容であれば、「とにかく語るもよし。」「作ってきたものを見せるもよし。」「一緒にゲームもよし。」何をしていただいても構いません。

残りの30分間は人事からの質問やフィードバックの時間といたします。



<引用「【新卒採用】一次面接の冒頭15分間で自由に語る『わたしっぽい面接』開始」CBホールディングス>
https://www.cb-hd.co.jp/news/article/news.html?id=17

 

 

何をしても良いとは言え、15分間一方的に自分を表現するというのはそう簡単なことではありません。

自分で自分のことをどれだけ理解しているか、それをどうやれば他人に伝わるように表現できるかという能力が試されます。

また、企業としては、入社前から一人一人ととじっくり向き合うことで、採用前に学生のことをより深く理解できるというメリットがあります。

 

なお、CBホールディングスは2020年卒の学生に対して「野球部っぽい採用」を開催することも発表しています*2。

過去に野球の全国大会に出場経験がある学生であれば、最終面接を「社長面接」から「社員との遠投対決」に変更できるというものです。

 

 

 

3.内定直結の「ハッカソンインターン」

 

 

プレスリリース配信サービスを運営している「PR TIMES」は「内定直結ハッカソン」を実施しています。

 

ハッカソンとは「hack(ハック)とmarathon(マラソン)」を組み合わせた造語で、エンジニアやデザイナーなどがチームを作り、特定のテーマについて、短期間に集中的にアイデアを出し合ったり開発作業を行ったりするイベントです。

 

2日間のハッカソンインターンでの成績優秀者には初任給35万円での内定を出すというシステムで*3、まさに実力をその場で見せつけて高収入の職を得るといった雰囲気です。

日頃からの蓄積がなければ突破できない門でもあるでしょう。

 

 

これに似たものとして、SaaSや広告事業を展開するショーケースの「ワンチーム採用」があります。

3名1チームでWeb関連のビジネスアイデア立案して社長にプレゼンし、優秀賞を受賞したチームメンバー全員に内定が出されるというものです*4。

 

チームワーク力とアウトプット力が評価の対象で、参加者の声としてこのようなものが紹介されています。

 

 

株式会社ショーケースの新卒採用

従来行われている選考フローでは「自分らしさのPRが求められている中、ワンチーム採用では社会人に必須とされる「チームの中の自分」が判断されるということに意義を感じました。

<引用「ワンチーム採用」株式会社ショーケース>
https://recruit.showcase-tv.com/oneteam/

4.多様性の時代を生き抜く人材に

 

 

ここまで、いくつかの企業のユニークな採用活動を紹介してきました。

 

少子高齢化の中で、「入社後のミスマッチ」を防ぐため、採用の過程で時間をかけて個人と向き合うという企業は少なくありません。

ミスマッチを防ぐ採用方法は学生側にとっても大きなメリットになるでしょう。

 

ここまで見てきたユニークな採用の数々は、手法こそ異なれど、ひとつの「共通点」を持っているように思います。

「形式通りではない」場所でどのように振る舞えるかや、自分の意見をどんな場所でも主張する力を見ています。

 

「顔採用」や「わたしっぽい面接」はそれがわかりやすい形ですが、他の企業でも、その場で組まれたグループの中でどこまで自分の力を発揮できるかは修飾後の重要ポイントです。

特に「多様化」の時代、ビジネスシーンは目まぐるしく変わっていく時代の中で、どこまで変化に適応できるか、適応できるポテンシャルを持っている人材であるかを見極めるための企業側の工夫とも言えるでしょう。

 

 

参考資料/参考データ
*1「顔採用、はじめます。」伊勢半グループHP
https://www.isehangroup.jp/kissmeproject/kaosaiyo2020/
*2「【新卒採用】一次面接の冒頭15分間で自由に語る『わたしっぽい面接』開始」CBホールディングス
https://www.cb-hd.co.jp/news/article/news.html?id=17
*3「PR TIMES サマーインターン2019 内定直結ハッカソン 2days」
https://prtimes.co.jp/internship/
*4「ワンチーム採用」株式会社ショーケース
https://recruit.showcase-tv.com/oneteam/
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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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