2.採用では自分の意思・考えを自分で伝えることが採用できるかの分かれ道
3.些細なことでもいいから目的意識をもって取り組んだ経験を貯めておこう
就職活動はみなさんにとっては初めてでも、企業の採用担当にとっては1年の半分くらいは就活生とやり取りしているため、まるでマネキンを見るように無で見ています。面接を何回もしていると「同じようなこと」を伝える方も多く、何かの本にでも載っているのかな?と考えたりもします。
今回3社の人事の方に、最近の学生の印象・学生へのアドバイスを聞いてきました。
私だけではない現場のプロの声をお届けします。
1.採用担当者から見た「最近の学生」とは?
ここ数年「素直で真面目だが大人しい」学生が多くなってきている印象が強いです。
アベノミクス後から商社業界全体の業績が上向きになり、各社事業強化を行っています。そういう背景なので学生の中でもなんとなく「受かりやすい」という気持ちがあるように思えています。
キャリア教育に力を入れている大学も増えていると聞いています。プレゼンテーションやグループディスカッションの上手さには目を見張るものがありますが、いざ面接をしてみると、「その自己PRどこかで聞いた話だな」と思うことが多くあります。
会話を重ねていくと「その話が聞きたかった」と思うエピソードが出てくるのですが、当の本人は自身が無さそうに話されることがほとんどです。個性が大切なことを理解しつつも、人と違う表現をすることに若干臆病になっているのではないでしょうか?
スーパーゼネコンの採用担当から見た最近の学生
2014年以降は大学3年生の夏からインターンシップなど学生との接点の前倒しが顕著となっており、意識の高い学生とそうではない学生の差(乖離)が目立つようになってきたと感じています。
世間が標準的な人材を是としていると思い込んで、無駄に目立たないように気を使っています。各々が持っている個性豊かな人格を隠しているので、不可ではない可でもない、判断しかねるという評価がになります。
つまり、多くの方が自分の意思を自分の意見で伝えていないとみています。そういう人は意識が低いと言わざるを得なく、結果そういった人は選考通過させることができないため、全体の選考過程が長引いてしまっています。内定を取ることに熱心なのか、業界の内容や・仕事内容を理解したうえで志望しているのか、仮面の下をのぞくのに選考側も工夫が必要になったなという印象です。
生命保険相互会社の採用担当から見た最近の学生
といいますのも、インターネットやスマートフォンの普及により就職活動の情報も手軽に収集できるようになりました。そのためエントリーシートの書き方、面接での受け答え、服装、お化粧、髪型に至るマニュアル通りの学生が多く、本音や個性を読み取りかねることも少なくありません。もう少し自分の考えを自分の言葉で話してほしいと思っています。
一方で、女性の目線から見ると、女子学生のみなさんは、結婚や出産してからも働き続けたいと、働くことに対して意欲的な学生が多くなってきたように感じます
2.採用担当者から学生へのアドバイス
大手商社株式会社の採用担当から学生へのアドバイス
学生時代で一番無駄なことは「何もしない事」です。社会にとって勉強ができるだけの人は何も役に立ちません。留学やボランティア活動などを経験している学生の方が年々増えていて、とても貴重な体験をしてきているのだなと感心しているのですが、部活・アルバイト・趣味・友人と過ごす日々も貴重な体験です。経験に大小は関係ありません。
「どんな経験をしたか」ではなく、「その経験から何を学んだか」が大切です。
様々なことに興味を持ち、あらゆることにチャレンジしてほしいと思っています。その一つ一つの経験の積み重ねがその人の魅力となり、人間力になっていきます。採用というのは極論ではありますが、そういった人間力を見抜き、一緒に働きたいと思えるかどうかで選別しています。
スーパーゼネコンの採用担当から学生へのアドバイス
答えがでないかもしれないが、論文を完成させるために専門家にメールをおくり取材できるかチャレンジしてみる、などですね。社会人として組織の一員になれば専門性が低く、それをこなすことによって自己成長につながるとは思えない雑多な業務にも多く携わります。
そこで何に気づき、何を身に着けるかはその人次第です。
学生生活での授業や課題に関しても、興味のない科目や苦手なフィールドワークがあった場合、まずは真剣にやってみることを心がけてください。苦労した経験の方が身に沁みます。後々困難に当たった時に思い出し、考え方を変えるきっかけになります。
ダーウィンがこんな言葉を残しています。
最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。
今の企業では10年前には想像もしていなかったようなことが当たりまえに起こっています。終電まで勤務することもあった企業がパソコンが20:00でシャットダウンし強制退社するようになっています。スーツが当たりまえと言われていた会社でも夏場はポロシャツで勤務が当たりまえになっています。
これまでの経験で何に気づき、どう変化してきたのか。社会は変化する人しか生き残れません。どんな経験でもいい「何に気づき・どう変化してきたのか」を自分の言葉で伝えられるようになってください。
生命保険相互会社の採用担当から学生へのアドバイス
面接で「アルバイトを頑張りました」と答える学生が多いのですが、お給料をもらっている以上、頑張るのは当然です。私たちの関心は、そのいただいたお金を何に使ったのかという点にあります。それが学業であれ、クラブ活動であれ、趣味・旅行であれ、将来への貯蓄でも構いません。
何を目的として、それを行たのか。その行った結果、目的は果たせたのか?
「頑張る・努力する」という言葉は、とても素敵で耳障りがいいものです。しかし、何事も頑張る・努力するのは当たりまえで人に伝えることではないのです。我々が知りたいのは、なぜ頑張ることにしたのか、どこにたどり着くために努力をしたのかなのです。
自分の人生は自分でしかコントロールできません。こういった目的意識・物事をいかに自分事にするのか。自分の頭に考え主体的に動いた経験をされた方が社会でも輝く「即戦力人材」となるわけです。
学生の時間は有限です。どんな些細なことでもいい目的意識を忘れないようにしてください。
3.まとめ
3社とも、同じようなアドバイスになりました。どこの会社も業態・業種が違えど、採用したい人の特徴は似ているもの、このアドバイスを力にすれば日本のどの企業でも内定が取れるようになります。
一報で、いまの学生は、就職活動の情報取得により「何重にも仮面をかぶっている状態」と採用担当はそう思っているということでした。
どの企業も学生の意思・意見・想いを自分の言葉で説明ができる人に内定を出すのですね。
筆者もマニュアル学生とはマネキンと接するように面接をします。話を聞いているふりして、エントリーシートを眺めて終わりです。
学生の間に、「目的意識をもって」「取り組み」その中で「どんな気づきをして」「どう自分を変化させていきたのか」を自分の言葉で語れるようになれるといいですね。
取り組みの大小は関係ありません。サークルでもいい、ゼミでもいい、アルバイトでもいい。いかに物事を自分事として受けとめ、よりよくするために何に気づき・どう変化させていき、その目的は果たせたのか。果たせていないのであればその後どうしたのか。
自分事で取り組むと、自分の言葉で伝えられるようになります。この考え方が学生のうちから身につけられるようにしましょう。