世界大手のグローバル硝子メーカー「AGC」の会社情報と履歴書・採用試験対策を解説！

世界大手の硝子メーカーであるAGC株式会社。アジア・アメリカ・ヨーロッパを中心に、30を超える国・地域で事業展開するグローバル企業です*1。

今回は、AGCの会社情報と選考対策について、詳しく解説していきます。

１．AGCの会社概要

(1) AGCの歴史と変遷

AGC株式会社は東京都千代田区に本社を置く日本の硝子メーカーです*2。現在はガラスだけでなく、電子、セラミックス、化学の分野でも事業を展開しています*3。

1907年（明治40年）に、三菱創業者である岩崎彌太郎の甥「岩崎俊彌」が旭硝子株式会社を創業したのが同社の始まりで、現在も三菱グループの一員です*4*5。

2018年には旭硝子株式会社からAGC株式会社に社名変更しました*6。

(2) AGCのグローバル展開

AGCは、日本・アジア、ヨーロッパ、アメリカの3極体制を中心に、30以上の国・地域で事業を展開しています*1。中東・アフリカ地域にも進出しています*1。

地域別の売上高比率と従業員数は次の通りです。

図1 参考：AGC株式会社 企業情報 グループ企業を参考に筆者作成

(3) AGCのグループビジョン

AGCのグループビジョンは「Look Beyond」です*7。

Look Beyondには、

・将来を見据える

・自らの領域を超えた視点を持つ

・現状に満足せず飽くなき革新を追求する

という思いが込められています*7。

そして、グループ全体が持つ大きな潜在力を発揮し、世界に価値を提供し続けることを目指しています*7。

２．AGCの従業員データ

(1) AGC従業員の平均年齢と平均勤続年数

従業員の平均年齢と平均勤続年数のデータはこちらです。

図2 参考：東洋経済新報社「就職四季報2022年版」 p.534を参考に筆者作成

なお、新卒として入社した方々の「3年後定着率」は全体で90.3%です*8。

男女別で見ると、男性は93.1%、女性は78.6%となっています*8。

(2) AGC従業員の残業状況と休暇状況

AGCの総合職社員の平均残業時間は、1ヶ月あたり約23時間です*9。

また、総合職社員の有給休暇の消化率は80.5%となっています*9。

夏期休暇は有給で取得する必要がありますが、年末年始休暇は連続7日以上あります*8。

３．AGCの女性の働き方と制度

(1) AGCの女性従業員の割合

全体の従業員4399人のうち、男性は3541人・女性は858人で、女性割合は19.5%です*8。

なお、新卒社員（2020年入社）における女性比率は23.9%です*9

(2) AGCの女性活躍推進の取り組み

AGCでは、女性、LGBTの方、障がいを持った方、外国籍の方など、様々なバックグラウンドの人々が活躍できる組織を目指しており、中でも女性活躍の推進は重要テーマの1つとなっています*9

AGCグループでは2009年から様々な施策検討を開始しており、2017年には「女性活躍事務局」を設けました*9。

現在では、育児休業から復職した人（復職1年以内）を対象にしたセミナー実施や、仕事と子育ての両立について先輩の女性社員が後輩をサポートする「女性メンター制度」の設置、結婚・出産・育児・配偶者の転勤・介護などでやむを得ず退職した人のための「退職者再雇用希望登録制度」の創設など、各種制度の整備や女性社員のネットワークづくりなどにも力を入れています*9。

(3) AGC女性従業員の育児休業取得率

AGCの女性の育児休業取得率は、100%です*9。（2019年度実績）

復職率もほぼ100%となっています*10。

なお、男性の育児休業取得率は15%となっています*9。

４．AGCの採用情報

ここでは、AGCの募集情報や選考フローについて解説していきます。

(1) AGCの募集要項と採用コース

AGCの募集職種は、技術系と事務系の2職種です*11。

詳しい仕事内容は次の通りです。

図3 参考：AGC株式会社 新卒採用サイト 募集要項を参考に筆者作成

応募資格は原則、入社年前年の6月〜入社年の3月末までに、4年制大学・大学院修士課程、博士課程を卒業および修了見込みの方となっています*11。

なお、フルタイム就労経験がない方に限り、既卒の方も新卒として応募できます*10。

初任給は下記の通りです。（2020年7月実績）

図4 参考：AGC株式会社 新卒採用サイト 募集要項を参考に筆者作成

(2) AGCの採用人数・採用実績校

ここではAGCの採用実績をご紹介していきます。

まず直近3年の学歴別・男女別採用数を見ていきましょう。

※単位：人

図5 参考：東洋経済新報社「就職四季報2022年版」 p.534を参考に筆者作成

2019年〜2021年の3年のデータを見てみると、毎年100人以上採用されています。

学歴別の割合を見てみると、修士約8割・学部約2割、男女別では男性8〜8.5割・女性1.5〜2割がここ3年のおおよその採用割合です。

次に、実際に採用された方の出身校（学歴フィルター）を見ていきましょう。2021年4月入社予定者の出身学校（大学院含む）は次の通りです*8。

表立って企業側は言いませんが

MARCH・関関同立以上でないと厳しい事が一目瞭然です。

一方で採用の約80%が修士課程(大学院)の方になりますので、一層大卒者には狭き門と言えます。

(3) AGCの選考フロー

AGCの選考フローは、事務系と技術系で分かれています。

詳しく見ていきましょう。

・事務系

図6 参考：AGC株式会社 新卒採用サイト 選考フローを参考に筆者作成

・技術系

図7 参考：AGC株式会社 新卒採用サイト 選考フローを参考に筆者作成

深い相互理解のため、またミスマッチを防ぐため、AGCでは「面談」が複数回組まれる点が特徴です。

なおAGCでは、海外大学に通っている方からの応募も受け付けています*10。

５．AGCの求める人物像・採用試験情報

(1) AGCの求める人物像

AGCは、創業の精神である「易きになじまず難きにつく」を今も大切にしています*12。

そしてこの精神を実践するために、次の5つのアクションができる人財が求められています*12。

図8 参考：AGC株式会社 新卒採用サイト 求める人物像を参考に筆者作成

(2) AGCの採用試験情報

AGCの採用試験で、過去に出されたESテーマは次の通りです*13

[事務系]

・学生時代に力を入れて取り組んだこと

・企業選びで重視する点

[技術系]

・研究内容

・自己PR

・学生時代に力を入れて取り組んだこと

・企業選びで重視する点

面接のポイントは、主体性、チャレンジ精神、論理性があるか、です*8。

なお選考通過率や応募倍率は、非公開となっています*8。

６．新型コロナウイルスによる影響とAGCの今後の展望

(1) 新型コロナウイルスがガラス産業に与えた影響

2020年頃から急激に感染拡大した新型コロナウイルスにより、世界各国・各地域でロックダウンが行われ、ガラス産業も大きな打撃を受けました*14。自動車用のガラス製造工場が停止し、稼働率が大きく低下したためです*14。また建築用ガラスは、欧州市場で2019年の半ばから落ち込んでいた需要がさらに悪化しました*14。

AGCの建築用・自動車用のガラス事業は「コア事業」として位置付けられ、規模も世界首位級ですが、もともと収益性が低い状態でした*8*15。

そこに先述の通り、新型コロナウイルスの影響も加わり、AGCでは現在、建築用、自動車用ガラス事業への投資額抑制や固定費削減など、構造改革を進めているところです*8*15。

(2) AGCの今後の展望

建築用・自動車用のガラス事業では構造改革が進められる一方で、半導体向けの材料や医薬品の受託製造などは「戦略事業」と位置付けられ、投資額は増やしていく方針です*15。また、次の戦略事業として「エネルギー関連の領域」に注目していると同社社長の平井氏は語っています*15。

７．まとめ

AGCの祖業はガラス事業です。しかしそれに固執せず、新たな成長分野に果敢に投資し、構造改革や注力事業の転換に挑んでいます。

AGCは、創業スピリットの「易きになじまず難きにつく」を、100年以上経った今も体現し続ける企業です。