就活生の人気企業ランキング常連のJAL。コロナウイルスの影響で前年度に比べ、人気度は落ちてしまったものの、JALを志望する学生は依然として多い傾向にあります。
また、コロナウイルスの影響で、今後の採用活動についてや経営状態について気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はJALの採用情報や社風、求める人財像に合わせて、コロナウイルスの影響でJALはどうなっていくのか、採用は中止されてしまうのかなどについて読み解いていきます。
JALへの入社を目指されている方はぜひ参考にして下さい。
1.JALの募集職種と初任給、コロナの影響で採用中止の職種はある?
JALの募集職種は以下です。
①業務企画職(地上職 事務系)
いわゆる「総合職」の採用枠です。
携わる業務の幅は非常に広く、広報や人事、営業、商品企画、総務など、さまざまな業務内容があり、入社後に配属先が決まります。
飛行機を飛ばす路線ごとの運行便数計画や、他航空会社との共同運航便の設定、パイロットや客室乗務員のスケジュール作成なども、この事務系の業務企画職が行います。
1つの業務に長年かけて特化するというよりも、数年おきにジョブローテーションを繰り返しながら、会社全体を支える業務に携わることができるでしょう。
部署によっては海外転勤などもあり、グローバルで広い視野を求められます*1
②業務企画職(地上職 数理・IT系)
この職種には理数・IT系との記載がありますが、募集資格に学部学科の指定はありません。
理数・IT系の業務企画職は、情報通信技術や分析を用いて、最新テクノロジーの新しいサービスの開発やJALが業務上使用するシステムの開発などを行います。
また、各路線ごとの収益や競合状況を分析し、使用する飛行機の機材繰りや販売座席のコントロール等も行います。
会社の収益を最大化させるための大事な業務を担っていると言えるでしょう。*2
③業務企画職(地上職 技術系)
技術系の業務企画職は主にエンジンの整備や発注、航空機の操縦マニュアルの作成など、「安全の基盤」を支えるとても重要な業務を担っています。
さまざまな業務を担当する他の2つの業務企画職に比べて、技術職では主にエンジンや機体の整備などに特化した業務を行います。
専門的な知識や技術が必要になるため、JALで唯一の学部指定があり、理系学部学科卒の人のみ応募が可能です。*3
④自社養成パイロット
自社養成パイロットは、入社後まず地上業務実習という形でお客様と接点のある部署に配属され、エアライン業務の基礎や、航空業務にはどんな人たちがどのような形で関わっているのかについて学びます。(図1)
地上業務実習が終わると国内外で操縦訓練を行い、合格をしたのちに副操縦士に昇格、航空機の操縦に携わります。
2021年度入社の新卒採用は、ほとんどの職種の採用が中止になる中、パイロットの採用は継続されました。これは日本の慢性的なパイロット不足に理由があります。*4
日本は2030年にパイロットが大量に不足することが予測されており、パイロット不足は国全体の問題でもあるため、コロナ渦の中でも採用が継続がされたのでしょう。
ちなみにライバル会社のANAも、パイロットの採用は中止にしませんでした。
⑤客室乗務職
いわゆるCAとしてお客様へサービスを行います。(図2)
客室乗務職は、多くの航空会社が契約社員という雇用形態を取っている中、JALは正社員雇用で採用しています。
JALの客室乗務職は、女性が働きやすい環境が非常に充実しており、育児休暇は最大で子どもが3歳に達する月の末日まで取得可能です。
その他にも深夜勤務免除制度や短日乗務制度などもあります。*5
JALは2020年度の客室乗務職の採用を中止しました。
2021年度の採用活動に関しては現時点(2020年12月)でインフォメーションなどはありません。
ワクチンの普及やオリンピック開催の有無により航空需要の回復が見込まれなければ、再び採用見送りになる可能性もあるでしょう。
ですが客室乗務職は中途採用も積極的に行っていますし、社会経験のある人を好む傾向もあるため、新卒で入社出来なかった場合も、2.3年後に再チャレンジすることも可能です。
受験回数に制限はありませんので、諦めなければ受かるまで受験することもできます。
2.JALの社風や求める人財像
①経営破綻後に大きく変わった社風
経営破綻前のJALは「殿様経営」と言われており、半国営企業のような状態だったため、どんなことをしても潰れないという意識が結果として経営破綻という最悪の状況を引き起こしてしまいました。
経営破綻後のJALには京セラやKDDIの創業者である稲盛和夫氏が会長として就任。
JAL再建を担い、2年7か月という短い期間で東京証券取引所第一部に再上場を果たしました。
稲盛氏がまず初めに取り組んだのは、JAL社員の意識改革「JALフィロソフィ」の浸透です。
この「JALフィロソフィ」には破綻前のJALの考え方とは真逆と言ってよい考えい方がたくさんあります。
例えば、真面目に一生懸命仕事に打ち込む・地道な努力を積み重ねる・採算意識を高める・感謝の気持ちを持つ、などの内容が盛り込まれており、「謙虚さ」を重んじる社風になったことが窺えるでしょう。*6
JALの求める人財像にも、まず一番に「感謝の心を持って、謙虚に学ぶ」というものが掲げられており、「感謝の心」と「謙虚さ」のある人が求められているということが分かります。(図3)
②経営破綻の教訓がコロナ渦でも生きている
コロナの影響により、航空業界は大打撃を受けていますが、それでもJALはANAよりも資金流出が少なく、まだ経営が立ち行かなくなるような状況にはなっていません。
JALの資金流出が少ない理由は、稲盛会長時代のJALフィロソフィが根付いているからと言っても過言ではないでしょう。
JALは経営破綻の教訓を活かし、大型機材の投入を控え、不採算路線を排除し、国際路線も必要都市以外はコードシェアという形で路線展開を行うことで設備投資を最小限にしていました。
そのため機材を多く所有し、自社ルートを多く開拓していたANAよりも資金流出が少なく済んでいるのです。
今はコロナで航空業界はピンチの状況ですが、ワクチンが普及しコロナを克服できた暁にはリターンも期待できます。
すでに多くの海外大手航空会社が経営破綻をしているため、その部分の供給が不足する可能性もあります。
また採用人数削減により、入社する人数が少なくなるということは、いい意味で捉えると重要な仕事を任されるチャンスが多いとも言えるでしょう。
3.JALの採用で参考にしたい書籍やサイト
JALを深く知るためにぜひ参考にしたいサイトや書籍があります。
ここまでの解説でも述べましたが、JALは「JALフィロソフィ」という精神をとても大切にしています。公式サイトのJALフィロソフィに目を通してみて下さい。
JALフィロソフィ:https://www.jal.com/ja/outline/conduct.html
また、JALフィロソフィを用いて意識改革を行った経緯や、経営破綻から再生への道のりについて詳しく記載された、
・「JAL再生」
・「心は変えられる」
・「JALの奇跡」
といった書籍などもあります。
JALの面接では経営破綻のことや、JALフィロソフィなどについて聞かれることがありますので、JALの考え方や精神について理解を深めておいた方が良いでしょう。
また、ANAとの違いについて聞かれることも少なくありません。
両社は非常にライバル意識が強いため、面接官からすると「ANAよりもJALが好き」という学生を採用したいものですし、企業の価値観や理念に共感できるかどうかはとても大切なことです。
感謝の心や謙虚な姿勢を見せることを忘れずに選考に挑みましょう。
https://www.job-jal.com/work/field/field01.html
*2 JAL:職種紹介「企画業務職(地上職 I数理・IT系)」
https://www.job-jal.com/work/field/field02.html
*3 JAL:職種紹介「企画業務職(地上職 技術系)」
https://www.job-jal.com/work/field/field03.html
*4 NHK:解説委員会「パイロット不足の現状と対策」
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/285836.html
*5 JAL:職種別募集要項 客室乗務職
https://www.job-jal.com/recruit/requirement/new-graduate05.html
*6 JAL:JALフィロソフィ
https://www.jal.com/ja/outline/conduct.html