日清製粉グループは国内製粉業界で圧倒的なシェアを誇るリーディングカンパニーです。
近年では製粉事業だけでなく、中食・惣菜などにも注力し、海外展開による事業の拡大を積極的に推進中です。
製粉の他には家庭用パスタ・冷凍食品・医薬品・ペットフード・エンジニアリングなど多彩な事業活動を展開しています。
今回は日本を代表する製粉メーカー「日清製粉グループ」の採用情報や就活対策について詳しく解説をしていきます。
これから日清製粉グループに就活することを考えている方はぜひ、本記事を参考にしてください。
1.日清製粉グループの概要
ここでは日清製粉グループの概要について簡単に解説をしていきます。
(1) 社是・企業理念
日清製粉グループの社是は「信を万事の本と為す」「時代への適合」、企業理念は「健康で豊かな生活づくりに貢献する」というものです。
「信を万事の本と為す」とは創業者である正田貞一郎氏が発信した
「事業はつねに社会と結ぶことを念頭に。自分1人が儲けることを考えると事業はけっして長続きしない。すなわち信は万事の本である(信為万事本)」
という言葉から成り立っています。
一流企業にはコーポレートガバナンスや持続的成長に不可欠なサステナビリティ経営が求められていますが、日清製粉グループでは創業当初からそれらの理念を掲げ、脈々と受け継いでいるのです。
今後もグローバルな企業グループとして発展していく会社であり、この精神が変わることはないといえます。
(2) 小麦の製粉から始まった多彩な事業を展開
日清製粉グループは、小麦粉の製造及び販売を主な事業とし、加工食品、中食・惣菜、酵母・バイオ、健康食品、エンジニアリング、メッシュクロス等の様々な事業を展開しています。
小麦の製粉を利用した多彩な事業内容で人々の「健康」を支え「食のインフラ」を担うグローバル企業として世界中の人々の生活に貢献することが事業の目的です。
2019年3月31日時点での事業規模は5,653億円。従業員数は6,760名(下図1)であり現在の海外子社数は22社、拠点のある国はアジア、北米、オセアニアを中心に11か国に広げています。*1
日清製粉グループは7つの事業を展開しており概要は下図2の通りです。
製粉事業だけにとどまらず健康食品事業や酵母事業、食品工場のプラントエンジニアリング事業など多彩な事業を展開しています。
【日清製粉グループ企業】
グループ企業名 | 事業内容 |
日清製粉 | 国内No.1シェアを持つ製粉企業 |
日清フーズ | 加工食品事業、家庭用小麦粉や家庭用・業務用のプレミックスやパスタ・パスタソースを展開 |
日清ファルマ | 健康食品事業、機能性食品素材に加え医薬品原薬領域において高品質で安全な製品を供給 |
オリエンタル酵母工業 | 酵母事業、イースト・フラワーペースト、調理フィリング・マヨネーズ等、良質な食品素材を幅広く開発・提供 |
日清エンジニアリング | 食品工場等のプラントエンジニアリング事業などエンジニアリングサービスを提供 |
NBCメッシュテック | メッシュクロス事業、最先端メッシュテクノロジーに基づく高付加価値製品を幅広い分野に提供 |
日清ペットフード | 犬・猫用のペットフードを製造 |
図2 参考)日清製粉グループ「事業紹介」を参考に筆者作成
2.日清製粉グループの採用情報・従業員データ・待遇面
日清製粉グループの採用情報などについて詳しく解説をしていきます。
(1) 採用情報
日清製粉グループで募集されている新卒向けの職種は「事務系」「食品化学系」「工学系」です。
ここでは採用情報をご紹介していきましょう。
【採用情報】
初任給 | 事務系 ・大卒:21万7,400円 ・修士:23万2,000円 食品化学系・工学系 ・大卒:21万7,200円 ・修士:23万1,900円 |
諸手当 | 通勤費全額、家族手当、勤務地手当など |
勤務時間 | 平日/9:00∼17:30(事業場により異なる) 本社地区・研究所はフレックスタイム制度(コアタイムなし) |
勤務地 | 全国事業所・拠点 |
休日休暇 | 完全週休2日制(土・日)、祝日、年末年始、メーデー(5月1日)、年次有給休暇、慶弔休暇、療養・介護休暇、その他 |
保険 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険加入 |
福利厚生 | 施設/寮・社宅制度、保養所、契約ホテルなど 制度/財形貯蓄、持株会、共済会など |
図3 参考)日清製粉グループ「採用情報 募集要項」を参考に筆者作成
(2) 従業員のデータ
日清製粉グループの2019年における従業員データは下図4の通りです。
【日清製粉グループの従業員データ】
従業員数 | 全体337人(平均年齢42.6歳・平均勤続年数17.3年) 男性 NA 女性 NA |
一般社員 離職率 | NA |
3年後新卒 離職率 | 0% |
平均年収(総合職 平均42.6歳) | 862万円 |
図4 参考)就職四季報 総合版 2021年 「日清製粉グループ」P488を参考に筆者作成
図4のデータを参照すると日清製粉グループの平均年齢は全体で42.6歳、平均勤続年数は17.3年となっています。
従業員数、一般社員の離職率は男女ともに非公開ですが3年後の新卒離職率は0%です。
総合職の平均年収(平均42.6歳)は862万円となっています。
(3) 入社後の休暇・育休の実態
日清製粉グループに入社した後の有給などの取得日数、育休の取得者数などをまとめた表は下図5の通りです。
有給取得率は61%、育休取得者数は21名で男性の取得者は15名、育休期間は2歳到達月末までまで取得できます。
【日清製粉グループに入社後の休暇・育休の実態】
夏季休暇 | 有給休暇で取得 |
年末年始休暇 | 連続5日 |
有給取得 | 12.2/20日 |
育休期間と取得者数 | ・2歳到達月末まで ・取得者数は21名(男性は15名) |
図5 参考)就職四季報 総合版 2021年 「日清製粉グループ」P488を参考に筆者作成
3.求める人材や採用・試験情報
日清製粉グループが求める人材像やエントリーの流れ、試験情報などについて詳しく解説をしていきます。
(1) 求める人材像
日清製粉グループが求める人材像は
「周囲との信頼を大切にする、ボーダーレスに行動する、自分の思いを周囲に浸透できる人」
です。*2
(2) エントリーの流れ
エントリーの流れとしては、こちらの順番で行っていきます。
【採用プロセス:総合職・技術職】(3月以降順次)
- ES提出・適性検査
- 説明会
- 面談・面接・他
- 内々定(6月~)*3
(3) 試験情報
試験において重視される科目は「面接」です。*4
【選考の重要ポイント】
過去に出題されたESテーマはこちらになります。
総合職:当社グループに入社して挑戦したいことや成し遂げたいこと、学生時代に最も力を入れたこと
技術職:強み・克服すべき点、学生時代に挑戦したこと、壁に当たって乗り越えたこと、研究内容、最近興味を持った食品について *5
ESでは他プロセスとの総合判断、面接ではコミュニケーション能力、自分の考え・思いを伝えられているかについて総合的に判断されます。*6
(4) 採用数と採用実績校/学歴フィルター情報
日清製粉グループにおける各年度の採用数をまとめた表がこちらです。(下図6)
【男女別 採用実績:総合職・技術職】
年度 | 大卒 | 修士 |
2018年 | 40(男22 女18) | 43(男28 女15) |
2019年 | 42(男23 女19) | 45(男30 女15) |
2020年 | 41(男22 女19) | 38(男23 女15) |
図6 参考)就職四季報 総合版 2021年 「日清製粉グループ」P488を参考に筆者作成
2020年4月入社者の採用実績校/学歴フィルターは下記の通りです。
文系:(大)明大、早大、上智大、学習院大、一橋大、関大、慶大、国際教養大、筑波大、東大、東京農大、同大、法政大など
理系:(院)九大、岡山大、名大、広島大、横国大、早大、北大、大阪府大など *7
4.製粉業界ではダントツ首位
日清製粉グループは製粉業界で1900年に高品質な小麦粉の国産化と安定供給を目指して創立された会社で120年もの歴史を誇る大企業です。*8
「食のインフラ」を支える国内トップの製粉企業グループとして目覚ましい活躍ぶりを見せています。
(1) 製粉業界ランキングTOP5
ここでは国内の製粉業界ランキングTOP5をご紹介していきます。
日清製粉グループの売上高は7,121億円に上り堂々の第1位です。
【製粉業界ランキングTOP5】
順位 | 企業名 | 売上高 | 特徴 |
1位 | 日清製粉グループ | 7,121億円 | ・製粉首位 ・パスタなど食品も展開 |
2位 | 日本製粉 | 3,448億円 | ・ニップン、製粉2位 ・業界最古参、パスタや冷凍食品も |
3位 | 昭和産業 | 2,540億円 | ・小麦粉と植物油の2本柱 |
4位 | 日東富士製粉 | 575億円 | ・ケンタッキーのFCも展開 |
5位 | 鳥越製粉 | 223億円 | ・九州地盤の中堅 |
図7 参考)会社四季報「業界地図」2021年版「食材」 P150を参考に筆者作成
(2) コロナ後は製造ラインを業務用から家庭用に転換
新型コロナの影響により外食向けなど業務用の需要が減退し、今まで景気に左右されにくいとされていた製粉などの食材メーカーでも収益構造を見直すようになりました。
従来は家庭用よりも業務用の方が販売量が多かったのですが、外食需要が減少したので工場の稼働率は低下し収益も下がっています。
一方、量的には少ないとはいえ家庭用の出荷率は上向きになっています。
製粉ではパンケーキミックスなど家庭用製品の需要が増加し、最大手の日清製粉グループでは業務用製造ラインを家庭用に転用するなど対応を急いでいるところです。*9
下図8は食料用小麦と植物用油脂の消費量を表したグラフですが、植物油脂は2017年以降も消費量を維持しているのに対し食料用小麦は2017年以降は右肩下がりに減少しています。
食用小麦は人口減少などで国内市場では成熟化が進んでいますが、製粉各社は中食や冷凍食品など製品の多角化を実行し海外での事業を強化中です。*10
5.日清製粉グループのまとめ
今回は「日清製粉グループ」について詳しく解説をしていきました。
日清製粉グループは国内製粉業界のリーディングカンパニーとして生産性の向上と安定した供給を追求しており、海外でも北米、オセアニア、アジアで生産拠点を拡大し海外生産能力は国内を上回る水準に成長をしました。*11
ライフスタイルの変化に合わせた「時短調理」や「冷凍食品」等の新しい技術開発に挑戦し、エンジニアリングや中食・チルド事業などの事業の多角化を推進しています。
時代とともに変化する食のニーズに応えながら様々な事業展開を通じて、これからも世界中の人々も「高品質で美味しい食品」を届けることを目指している企業です。
*2・3・4・6・7 参考)就職四季報 総合版 2021年 「日清製粉グループ」P488
*5 参考)就職四季報 総合版 2021年 「ESテーマ 日清製粉グループ」P1002
*8・11 参考)日清製粉グループ「数字で見る日清製粉グループ」
*9・10 参考)会社四季報「業界地図」2021年版「食材」 P150