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平均年収が高い職業・低い職業は?厚労省のランキングを確認し収入アップを目指そう

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転職理由は人さまざまですが、近年では、より良い条件の仕事を探すために転職をする人が増えています1_3

より良い条件といえば年収もそのひとつでしょう。

平均年収は学歴や勤続年数などで差がつくことも多く、会社を変わっただけですぐに年収アップにつながるとは限りません。

それなら、平均年収が高めの職種にジョブチェンジを目指し、職業能力を高めていくよう試みるのがいいかもしれません。

 

そこで本記事では、職種による平均年収の違いをデータをもとに紹介していきます。

転職を検討している人は、職種ごとの平均年収も参考にしてみましょう。

 

 

 

1.増える転職者、その状況は?

 

まずは最近の転職の傾向を見てみましょう。

総務省の調べによると、2019年の転職者数は351万人1_12011年から緩やかに増加を続けていましたが、調査データの比較可能な2002年以降、2019年には転職者の人数は過去最多となりました。

 

転職後の勤め先として企業規模別に見ると、従業員数が30人~499人の中小規模企業が最も多くなっていますが、近年では従業員500人以上と比較的規模の大きい企業で転職者のなかでも緩やかな増加傾向がみられています。

従業員数500人以上の企業では、2019年の転職入社者は92万人と前年から10万人増加、2002年以降で過去最多の状況です1_4

 

雇用形態別では、「非正規雇用から非正規雇用」で転職した人が142万人で人数的には最も多くなっています。

増加幅を見ると「正規雇用から正規雇用」の転職(84万人)では前年から9万人増加し、最も高くなっています1_5

 

大企業や正規社員として働くことは雇用の安定をイメージできて、そのまま同一企業で働き続けるのも良さそうに考える人もいるかもしれません。

しかし、転職理由を見ると、「より良い条件の仕事を探すため」が127万人で最も多くなっています1_3

転職する理由や目的には、たとえば倒産や人員整理など勤めていた会社の都合によるもの、結婚や配偶者の転勤、子どもの教育、介護など家庭の都合によるものなど、さまざまものがあるでしょう。

理由は様々でも、転職者全体の約4割の人はさらに好条件の仕事を求めていることが、調査結果から窺えます。

 

 

2.仕事に求める3大条件は「仕事内容」「労働条件」「賃金」

 

ひとくちに良い条件の仕事といっても、その内容はさまざまです。

たとえば、「仕事内容」「収入」「福利厚生」「雇用形態」「勤務地」「勤務時間」など。

このうち何を良い条件とし、実際に転職するに至るかは人それぞれに異なります。

過去に転職した人に対する統計調査によると、主な理由として多い順に「労働条件」「仕事内容」「賃金」となっています2

 

 

直前の勤め先を自己都合により離職した具体的な理由

出所)厚生労働省「転職者実態調査(2015年)/個人調査」を基に筆者作図

 

 

 

具体的にやりたい仕事がある場合には転職先の候補探しもスムーズに行えそうです。

しかし、今の労働条件や賃金に不満で、今よりも良い会社に転職したい場合には、別の企業を個別に確認する必要もあるでしょう。

 

 

3.年収が高い職業は?

 

より良い収入を求める場合には、職業ごとの給与相場を知っておくのもいいかもしれません。

学歴や勤続年数、性などをもとに給与規定を設定している会社も多いため、同じような職種・業種への転職では、勤続年数が短くなって逆に前職よりも年収が下がる可能性も考えられます。

 

そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で調査対象となっている全65種の職種3のうち、さまざまな観点で給料が高い職種を紹介します。

 

毎月の給与が多い順から職種の紹介をしていますが、転職してすぐに相当額を得られるとは限らないことも知っておきましょう。

平均給与額に達するまでの勤続年数などの影響も考慮しておくことが大切です。

また、参考としてボーナスその他手当の額も紹介していますが、そもそもボーナスは会社の業績や景気などにも左右されるうえ、転職してすぐにこれらに相当する額をもらえるとは限りません。

転職先の参考にする場合には月額給与に注目するのがおすすめです。

 

①平均給与(毎月きまって支給する現金給与額)が多い10職種(男女計・企業規模計)

 

職種 きまって支給する現金給与額 年間賞与、その他特別給与額 勤続年数
航空機操縦士 122万4,300円 225万4,500円 10.3年
医師 91万円 77万2,300円 5.2年
大学教授 66万9,500円 297万2,200円 16.3年
大学准教授 54万2,900円 220万8,800円 10.8年
記者 51万5,500円 173万6,200円 13.6年
弁護士 50万2,500円 125万5,600円 5.5年
不動産鑑定士 49万300円 166万2,300円 7.5年
大学講師 47万3,000円 151万3,400円 7.6年
公認会計士、税理士 47万2,000円 117万1,500円 11.0年
一級建築士 46万1,800円 148万7,200円 13.4年

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/2019年/職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作表

 

 

②医療・歯科医療関係の職種

 

職種 きまって支給する現金給与額 年間賞与、その他特別給与額 勤続年数
医師 91万円 77万2,300円 5.2年
歯科医師 45万400円 29万6,200円 5.7年
獣医師 42万5,900円 60万4,800円 9.2年
薬剤師 39万8,600円 83万3,300円 7.9年
診療放射線・診療X線技師 34万6,200円 86万5,100円 10.0年
看護師 33万4,400円 81万6,300円 8.2年
臨床検査技師 31万1,400円 87万5,400円 10.1年
歯科技工士 29万6,200円 29万3,500円 10.1年
理学療法士、 28万7,500円 64万6,400円 6.2年
作業療法士
准看護師 28万2,400円 64万1,600円 11.6年
歯科衛生士 26万8,700円 48万400円 6.7年
看護補助者 21万6,400円 43万5,100円 8.5年

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/2019年/職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作表

 

③専門士業

 

職種 きまって支給する現金給与額 年間賞与、その他特別給与額 勤続年数
弁護士 50万2,500円 125万5,600円 5.5年
不動産鑑定士 49万300円 166万2,300円 7.5年
公認会計士、税理士 47万2,000円 117万1,500円 11.0年
一級建築士 46万1,800円 148万7,200円 13.4年
社会保険労務士 33万4,900円 84万1,400円 13.4年

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/2019年/職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作表

 

④営業、販売系の職種

 

職種 きまって支給する現金給与額 年間賞与、その他特別給与額 勤続年数
自動車外交販売員 35万1,400円 92万5,800円 12.7年
家庭用品外交販売員 34万800円 55万8,500円 6.9年
保険外交員 29万2,800円 53万7,900円 10.1年
販売店員 24万4,900円 39万8,100円 9.4年
(百貨店店員を除く)
百貨店店員 23万6,500円 41万100円 12.7年
スーパー店チェッカー 19万3,600円 17万3,900円 9.7年

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/2019年/職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作表

 

 

④転職する前に職業能力を高めよう

 

航空機操縦士や医師のように、大学進学時から専攻選択が必要だったり、視力や身体能力も必要な職種もあります。これらは収入アップを目指してジョブチェンジを試みるのは難しいものでしょう。

 

一方で、社会人になり、ある程度年齢が経ってからでも、学び続けることで資格を取り、新たに就業できる職種もあります。たとえば公認会計士や税理士、建築士など、働きながら勉強し、資格を取得することは可能です。

 

実はこれらの専門家として必要な専門知識や資格、免許は、企業内の特定部署で働くのにも役に立ちます。

また、企業が転職者を採用した理由で多いのは、「経験を活かし即戦力になる」という理由や「専門知識・能力がある」という理由です4_8

専門的な知識を必要とする部署や職種では給料を高めに設定している企業は多いため、収入アップも実現するかもしれません。

スキルや職業能力の向上に努めることが収入アップを目指すための一番の近道かもしれませんね。

 

まずは今の会社を辞めてしまう前に、雇用保険の教育訓練給付制度を活用し、働きながら通信や通学などで学び、専門知識の習得や資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

 

教育訓練給付制度については、「3種の「教育訓練給付制度」の違いは何?上手く使ってキャリアアップや転職に活かそう」の記事で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。 

可能でしたら別に納品した記事にリンクしていただきたいです。

 

 

参考資料/参考サイト
*1:総務省「統計トピックス No.123 増加傾向が続く転職者の状況」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/pdf/topics123.pdf
*2:厚生労働省「転職者実態調査(2015年)/結果原表(個人調査)/第20表」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031979191&fileKind=0
*3:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2019年)/職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031919843&fileKind=0
*4:厚生労働省「転職者実態調査(2015年)/事業所調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-h27-1-02.pdf
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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。二人の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も転職。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく採用現場の本音をお届けします。

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