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未経験でも会計事務所に転職できる?税理士を目指し転職を成功させるポイントとは

会計事務所は、中小企業や個人事業主の税務・会計業務をサポートするのが主な仕事です。

税理士になることを目指している場合、会計事務所に転職して実務経験を積みたいと考えるのではないでしょうか。

 

会計事務所は実務経験を重視する傾向にあり、税務・会計に関する専門知識が求められるため、未経験でも転職できるか気になる方もいるでしょう。

そこで今回は、会計事務所の将来性や仕事内容、未経験者が転職を成功させるポイントについて解説します。

 

1.会計事務所(税理士)の将来性

 

2019年度の税理士登録者数は78,795人です。

以下のように、登録者数の推移は長期にわたって増加傾向にあります。

 

国税庁「税理士制度」

参考)国税庁「税理士制度」を参考に筆者作成(https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/seido2.htm)

 

税理士試験の受験者数は減少しているため、税務署OBや大学院修士課程修了(税法・会計学)などの試験免除者、公認会計士・弁護士の有資格者の登録により増加していると考えられます。

 

会計事務所は、中小企業や個人事業主の記帳代行や税務申告が中心業務ですが、最近では会計ソフトの機能向上により、税務・会計の知識がない人でも自動仕訳や確定申告書の作成が可能になっています。

また、英オックスフォード大学と株式会社野村総合研究所の共同研究によれば、AIやロボットによる代替可能性が高い職業として「会計監査係員」や「経理事務員」が挙げられています。*1

 

税理士登録者数は増加する一方で、記帳代行や確定申告書作成といった業務は自動化が進んでいるため、今後は高い報酬で業務を請け負うのは難しくなるでしょう。

ただし、会計基準や税制は年々複雑化しているので、会計事務所や税理士の仕事がなくなるわけではありません。

「会計ソフトの導入支援」「経営や節税対策のアドバイス」などができる、専門性が高い人材の求人は今後も増えていくと考えられます。

 

2.会計事務所の仕事内容

 

会計事務所が中小企業や個人事業主の税務・会計業務をサポートすることは知っていても、実務経験がないと、具体的にどんな業務を行うかはイメージできないのではないでしょうか。

会計事務所の主な仕事内容をまとめました。

 

仕事内容

詳細
記帳代行領収書などの書類をもとに仕訳入力をして帳簿を作成する
巡回監査定期的に顧問先を訪問して監査や経営助言を行う
給与計算・年末調整の代行顧問先の給与計算や年末調整を請け負う
税務申告・節税対策顧問先の税務申告書の作成や節税のアドバイスを行う
経営相談経営に関するアドバイスを行う
その他相続、事業承継、保険の提案など

 

会計事務所に転職した後は、複数の顧問先企業を担当し、これらの業務を一通りこなせるようになることが最初の目標となります。

すべての業務をこなせるようになるには、専門知識が必要なのはもちろん、実務経験を積む必要があります。

 

未経験で会計事務所に入所する場合、最初は記帳代行や給与計算、申告書作成補助など、税理士の補助業務を任されることが多いでしょう。

中には相続や事業承継など、特定の業務・分野を専門にしている事務所もあるので、求人情報をよく確認してから応募することが大切です。

 

3.会計事務所の求人が増える時期

 

MS-Japanの調査によると、会計事務所の転職マーケット概況(2020年1~3月期)は以下の通りです。

 

MS-Japan「2020年1月~3月期 経理・人事・法務・会計事務所の転職動向」

引用)MS-Japan「2020年1月~3月期 経理・人事・法務・会計事務所の転職動向」(https://company.jmsc.co.jp/info/2020/0430_11687.html)

 

会計事務所の新規求人数は、8月から10月にかけて大きく上昇しています。

毎年8月に税理士試験が実施され、多くの受験生は試験が終わった8月以降に就職・転職活動を始めるため、毎年8月以降に求人数が上昇する傾向にあります。

未経験者は、税理士試験が実施される8月前後から転職活動を始めるといいでしょう。

 

12~1月も新規求人数は増えていますが、会計事務所は個人の確定申告や3月決算法人の決算業務・税務申告で2~5月が繁忙期となります。

そのため、12~1月は即戦力となる経験者の求人が多く、未経験OKの求人はそれほど多くありません。

 

4.未経験者が会計事務所へ転職した場合の年収

 

未経験で会計事務所へ転職する場合、年収がいくらになるかも気になるのではないでしょうか。

事務所によって異なりますが、一般的には年収250~300万円程度からスタートします。

会計事務所では実務経験が重視され、未経験者は仕訳入力などの補助業務からスタートするので、入所時の年収はそれほど高くありません。

会計事務所で年収を上げるには、実務経験を積んで顧問先の決算・税務申告までを一通りこなせるようになること、税理士資格を取得することが求められます。

 

5.未経験者が会計事務所への転職を成功させるポイント

 

未経験者が会計事務所への転職を成功させるには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

 

①税理士試験2~3科目合格後に転職活動を始める

会計事務所の転職活動は、税理士試験で2~3科目合格してから始めるのが理想です。

税理士資格を取得するには合計5科目(会計2科目、税法3科目)に合格する必要がありますが、ボリュームが多いので、1科目合格するだけでも大変です。

未経験で転職すると、最初は仕事を覚えるだけで精一杯で、試験勉強との両立が難しくなるかもしれません。

しかし、2~3科目合格していれば、実務経験を積みながらでも合格することは十分に可能です。

また、2~3科目合格程度の知識があれば、未経験で入所してもスムーズに仕事に入っていけるでしょう。

 

②転職活動を始める年齢は若いほど有利

会計事務所に限らず、どの業界でも未経験OKの求人はポテンシャルを重視するため、年齢が若い人を求める傾向にあります。

「~歳まで」という明確な基準はありませんが、会計事務所への転職においても、年齢が若いほど有利なのは間違いありません。

未経験で会計事務所への転職を目指すなら、20代のうちに活動を始めるのが理想です。

30代以降の未経験者が転職できないわけではありませんが、年齢が高くなるほど実務経験が求められることは理解しておきましょう。

 

③税務・会計知識以外に求められる経験・スキル

会計事務所への転職で、税務・会計知識以外に求められる経験・スキルは以下の通りです。

 

  • コミュニケーション能力
  • ITスキル

 

会計事務所では、顧問先の経営者とやり取りする機会が多くあります。

経営者に節税対策や経営に関するアドバイスを行う必要があるため、コミュニケーション能力は不可欠です。

また、顧問先に新しい会計ソフトを導入するなど、ITスキルが必要になる場面も多くなります。

基本的な税務・会計知識があることは大前提ですが、コミュニケーション能力やITスキルがあると転職活動を有利に進められます。

 

6.「一般企業の経理職」という選択肢もある

 

税理士に強いこだわりがなければ、「一般企業の経理職」に転職するのも選択肢のひとつです。

会計事務所は、多くの中小企業や個人事業主の決算・税務申告に携わるのが特徴です。

企業規模は比較的小さく、基本的には節税対策などの税務が中心となります。

 

それに対して、経理職は勤務先のお金を扱う仕事で、経費精算などの日常業務から決算、税務申告まで、さまざまな業務を複数人で分担して行うのが特徴です。

会計事務所に比べて企業規模は大きく、経験やスキルに応じて任される業務が増えていきます。

 

会計事務所と経理職はどちらも税務・会計の知識を活かせる仕事ですが、業務内容は異なります。

どちらが自分に合っているか判断できない場合は、会計事務所と経理職の転職活動を平行して進めてもいいかもしれません。

 

7.まとめ

 

会計事務所の未経験OKの求人数は、税理士試験が実施される8~10月に増える傾向にあります。

税理士試験に2~3科目合格してから転職活動を始めるのが理想ですが、未経験の場合は年齢が若いほうが有利です。

最低限必要な知識やスキルを身につけたら、なるべく早く転職活動を始めましょう。

 

参考文献・WEBサイト
*1参考)野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」
www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf

執筆者
名前:大西 勝士
プロフィール:金融ライター(AFP、2級FP技能士)フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

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